http://www.asyura2.com/09/gm15/msg/153.html
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とても興味深いサイトを見つけました。細胞死についてのサイトです。
情報量が大変多く、自分もまだほとんど読めていませんが、こちらに一部のみ引用させていただきます。
http://www-personal.umich.edu/~ino/si.htm
死はどこから来たか -生命の進化と死-
紀元前、かつて孔子は弟子の質問に対してこう答えました。
「お前は死について聞くが、私は未だ生について知らないのだよ。どうして死について知っていようか」(巻第六先進第十一11-12)
科学の発達した今日、多くの生命現象が分子レベルで解明されてきています。現在、科学の分野では死についても真剣に研究されるようになってきています。
諸行無常、生きとし生けるものはいつか死ぬ
これは真実です。しかし、人の死のパターンにもいろいろあります。不幸にしてやって来る事故死、老いからくる死、どちらともいえない病死、計画的な殺人と自殺。
人は多くの欲を持っていますが、もっとも強い欲求はもっと生きたいというものではないでしょうか。そこで交通事故や病原感染の防止といった不慮の死を回避する様々な手段をこうじています。年々、技術が発展して人は長寿化する傾向にあります。にもかかわらず、人は死にます。現代では上記が減少するのに応じて、今まで感染症や循環系異常などによる死に隠れて見えなかった癌による死が増えています。なぜ、死はあるんでしょう、かつて仏陀は四門に四相を見て出家を決心しましたが、これは仏陀のみが感じた疑問だけではなく人類の大命題です。
人の体を作るのは細胞です。
ですから人が死ぬ(個体死)時はふつう細胞の死ぬ時でもあります。しかし、人の体は約60兆の細胞からできていますが、これらの細胞は培養してやると個々に生きることができます。それでも細胞はいつか死にます。そのうちの一つは摂取する栄養分がなくなったり、物理的に傷ついたりといった「不慮の死」です。
そも、昔の生命には「不慮の死」以外のこうした死は存在しなかったと考えられます。
遺伝子と体の類似性などから、今の生命は同一の起源より起こったものと容易に推定されます。化石的根拠などからこれらは単細胞生物であると考えられています。単細胞生物は一般に無限増殖を繰り返し、いつまでたっても老いず不慮の死以外には死にません。しかし、人の体はこうした細胞の単なる集まりと異なって、全体で「からだ」として働くために、ちがう働きを持った、ちがった形をした細胞(機能的・形態学的に分化した細胞)からなります。生きた細胞は新陳代謝を行いますが、体の中のいくつかのしくみを維持するためには、それを支える細胞自体が絶えず増殖して死滅を繰り返す必要があります。たとえば、皮膚では絶えず表皮細胞が増えて死んで垢となっていますので、たとえ皮膚の細胞が太陽光線で傷ついても次の新しい細胞が皮膚を守れます。これを計画細胞死と呼びます。
では、進化の過程ではこの有限の生と計画細胞死はどのように獲得されたのでしょう。
真実は時の彼方ですが、系統分類などから、以下のことが推定できます。「卵」以外にそれを保護する「殻」をもつものがあらわれました。初めは単に乾燥などの急激な単純な環境変化に耐えるだけのためでした。その後、この殻はより効率のいい繁殖を支える母体となります。初めは単なる殻であったのに、やがて形も複雑になり、生殖を効率的に進める器官となります。その多様性を個々にあげると先に話が進まないので省略します。こうして生殖細胞を保護していた殻は今や人の体の大半を占めるまでになったわけです。殻は所詮殻、いつかは腐り落ちていくものです。しかし殻を持つことで生存に有利になったことはいうまでもありません。さらにその「殻」がもっといろんなことをしてくれると、もっと有利です。つまり長い進化の末、我々生命は積極的に有限の生(老化)と細胞死を獲得したと言えるわけです (後述の「再び問う 死はどこからきたか」参照)。
関連項目 関連リンクの説明 リンク先 推奨
細胞の誕生と死 by和田勝氏。細胞の誕生と生死についてよくまとめてある。全体も秀作なので時間のある人は最初から読むことをお勧めする 東京医歯大生物学内 AA
宇宙観 by匿名。時間別によくまとめてある。
A
死もまた生に必要 -計画細胞死-
こうして獲得された「殻」の体は時代と共にどんどん巨大に複雑に進化していきました。また、むしろ殻であるべき体(体細胞)が生殖細胞の運命まで決めるようになってしまいました。今や人の生殖細胞が一人前になるまでには体細胞と直接繋がって命令を受ける必要があります。この命令のうちには生殖細胞のその後の生死をも決定するものまであります。つまり、後の繁殖に直接繋がらない無駄な増殖行為を抑制した方がいいという判断からです。こうした脳や他の体のしくみを利用した「判断」は原始的な単細胞状態に近い生殖細胞ができるわけもなく、体細胞の主導の生命体の誕生となったわけです。
ヒトなどのこうした体細胞中心の生命体では、全体(個体)の統合性がもっとも大切です。
そのために、こうした生物では、個体という自分らの集団に、その存在を脅かす厄介者がいたら排除するしくみを身に着けています。大きくおおよそ3つに分けると
厄介者からまず逃げる
自分たちから厄介者を取り除く (さらに再攻撃を受けないように殺す)
厄介者にやられた仲間の細胞や厄介者の影響を受けて悪さをするようになった細胞を取り除く
厄介者のもっとも最たるものは天敵や体の中に入ってくる病原体です。また、厄介者は外からだけとは限りません。
体の中で分業している細胞や、体を作ったり維持するために一過的に必要な細胞のなかには、その場所や時期以外にいてもらっては困るものもいます。たとえば、赤ちゃんの体ができる途中でいつまでも水かきが手にあると、ちょっと困ります。
また、発癌剤や放射能などで遺伝子が傷つくと、ちょっとぐらいなら細胞は自分で直してしまうのですが、あんまり遺伝子の壊れ方がひどいようだと、修復不能になったり、修復の途中で間違ったりしてしまい、癌細胞などの元となります。癌細胞は体全体のことを考えず勝手なことをやるので、これも厄介者です。
また、人は「自分」の細胞を病原といった外敵から守るためのしくみを持ちますが(免疫系といいます)、免疫系の細胞が正常な仲間の細胞をも攻撃したのではこれまた厄介者です。
こうした身内の厄介者は、外部からの侵入者である病原のようにやがて除かれてしまいます。ヒトの場合、最終的に免疫系の細胞に食べられて除かれてしまいます。ただ、除く側の立場からすると、病原のように外部のやつらと、このような元々身内だった厄介者では対処の方法が異なっています。外部の者の場合、強力な免疫兵器で攻撃して撃退するだけでなく、次回の攻撃に備えて、顔をしっかりと覚えておき、入ってきたとたんに袋叩きにすることができます。ところが、このような元々身内だった厄介者の場合、こんな特徴のヤツが厄介者になりましたよ、ということで覚えておくと、今まともに仕事をしている仲間の細胞も同じ顔をしているわけですから、彼らまで攻撃してしまうことになります。これが自己免疫疾患と呼ぶ病気です。そこで、こうした内部の厄介者たちは、外部からの敵とは違った方法で粛々と処分されることとなります。ではどうやって?生命は奇想天外な方法を思いついたのです。
自分が厄介者になったら自殺する(計画細胞死を行う)ように細胞一つ一つに遺伝的にプログラムしたのです。
遺伝子か傷ついたり、体に不必要になったりした細胞は静々と自らに備わったしくみで、自らを分解していきます。体の重要な成分である蛋白質を分解する酵素(プロテアーゼ)と自らの遺伝子を壊す酵素(DNA 分解酵素-DNase-)を活性化されます。
表 ヒトの計画細胞死 (体の中で積極的に細胞が死ぬ時) 役割 具体的な役割 例
いらない細胞を除く 有害細胞を除く 遺伝子が傷ついた細胞(癌細胞の予備軍)
自分を攻撃する免疫細胞
余った細胞を除く 脳のネットワークができる途中で余った細胞
役割を終えた細胞を除く みずかきとか、体ができる途中ではいるんだけども完成するとき不必要な細胞ができたとき
体の機能を維持するための細胞の代謝
表皮の細胞
免疫系の細胞
こうして、個々の細胞の死は、全体の統合性のために、つまり個体として生きるために必要になったのです。
細胞の自殺には共通性がある。
こうした細胞の生死調節に関する研究ははじめ癌細胞の研究からはじまりました。彼らの中には不死化し、増殖を重ねることができるものがあります。かつて米国でヘレンという人が癌でなくなりました。しかし彼女の細胞は不死性を獲得し、増殖を続けています。今では世界各地の実験室で人の実験細胞として飼われています。こうした不死化した細胞の種類は星の数ほどあり、今の医学の基礎研究に多いに役立っています。こうした細胞は遺伝子に変異異常を抱えています。
癌細胞は増殖性を獲得するだけではなく、深刻なものでは抗癌剤も放射線も効かず自殺を引き起こしません。ふつう、これは細胞の正常な増殖と生存を監視する癌抑制遺伝子が壊れているためです。なかでも癌抑制遺伝子産物p53は遺伝子の異常を発見し、その細胞が自殺するように仕向けます。もしもp53遺伝子そのものが壊れると、遺伝子異常を起こすほどの放射能を浴びても細胞は死にません。こうしてp53 がないと高発癌性となります。
細胞死の研究の上で重要な第二の因子も癌から見つかりました。ある濾胞性リンパ腫の原因遺伝子を突き詰めると、この遺伝子は細胞の増殖ではなく専ら死を調節していることがわかったのです。Bcl-2の発見です。かくて、細胞の生死を制御するメカニズムを解明する時代が始まりました。
癌を未然に防ぐ死、体ができる過程での死、あとで述べるエイズのような病気で見られる死には共通性があることがわかっています。
不慮に細胞が機械的に破壊されたり、飢餓状態に陥れられたりした時の死(ネクローシスといいます)と異なった形の変化と共通の過程をたどるのです。このホームページ先頭で示したように遺伝子の場である核が凝縮します(下表内図参照)。凝縮した核の中には密度の濃いところが見られます。核に収められている遺伝子DNAは分解酵素でバラバラにされます。細胞表面の膜(原形質膜)の構造が破壊され細胞の本体部分に当たる細胞質も細切れになってきます(これをアポトーシス小体とよびます)。しかし、あくまで細胞の内容物はその膜の「袋」に包まれたままです。「袋」ではその細胞自身の蛋白質やDNAの分解酵素が働いて自分自身を分解しているのです。こうした細胞死をアポトーシスと呼びます。
体がだんだんとできたり、老朽化した細胞を排除する過程ではアポトーシスを起こした細胞は炎症を起こすことなく、細胞の内容物が外に漏れる前に免疫系の細胞に食べられてしまいます。わたしたちの体は免疫により病原などの外敵から守られているのですが、この場合、細胞がこうした病原体で殺されるとしばしば細胞の内容物が漏れでて、病原体をやっつける様々な免疫反応を起こします。自分の体内の要らない細胞や危険な細胞を除くときには自分自身を攻撃しないように、こうした外敵を除く免疫系を活性化しない方法で細胞を処理するのです。
図 目で見るアポトーシス 何のアポトーシス? 内容 説明 リンク先 推奨
好中球 HTML 膜のブレビングがくっきり。動画あり CELLS alive AA
ハラキリで JPEG 核が凝縮したり、ばらばらに このHP内 AA
CIDEで JPEG 細胞が凝縮し、膜がブレビング このHP内 BB
c-Mycで MOV 細胞死の経時変化がよくわかる(重い) Gerald Evans' AA
LLCPK細胞 JEPG 黄色い核の凝縮がはっきりと Miguel's AA
乳腺細胞 JEPG 核凝縮がくっきり。 Miguel's AA
アポトーシスは偶発的な死と異なり、いろんなしくみで制御されています。細胞の情報の根元は遺伝子です。遺伝子DNAには細胞の生死を決定する遺伝子があり、これによって厳密に調節されています。またこれらの遺伝子自体も細胞同士の相互連絡で制御されており、いつ死ぬべきか個体としての全体的統合性を考えた上で決められています。こうした点からもアポトーシスは他の死と大きく異なります。計画細胞死は下等な動物から植物まで広く認められますが、動物のほとんどの計画細胞死はアポトーシスです。
余談ですが、植物などの動物以外の生物でのアポトーシス様の形態をたどる細胞死が観察されていますが、前に述べたようにアポトーシスはこれらの生物にはない免疫系との関連が強い生理的意味合いを持つため、同義に論じられるかどうか語論のわかれるところです。また、動物以外にはこれからこれら述べるアポトーシスの立役者たちは原則的に存在しません。
続く
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