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遺伝子組換え作物で、飢餓が増えている 安濃一樹
http://www5.plala.or.jp/nijiya231-9288/Q_A/idennsi/hatake_0512_idennsi.htm
畑の便り 05-12 2005年3月15日小針店で印刷・配布したものに加筆
アルゼンチンは豊かな国土に恵まれ、「世界の穀物倉」と呼ばれるほどの農業大国でした。90年代に遺伝子組換え作物の栽培が本格的に始まると、わずか10年足らずのうちに、アルゼンチンは遺伝子組換え作物の産出国としてはアメリカに次いで世界第2位となります。その過程で食糧難が深刻化し、人びとは十分な食べ物を得られなくなりました。
3年間で45万人が餓死
アルゼンチンの環境と健康の悪化
インド、組み換え綿花で2万人の自殺者
ワクチン内臓ポテト
アルゼンチンは豊かな国土に恵まれ、「世界の穀物倉」と呼ばれるほどの農業大国でした。90年代に遺伝子組換え作物の栽培が本格的に始まると、わずか10年足らずのうちに、アルゼンチンは遺伝子組換え作物の産出国としてはアメリカに次いで世界第2位となります。その過程で食糧難が深刻化し、人びとは十分な食べ物を得られなくなりました。
専門家によると、全人口3800万人のうち2000万人が貧困ライン以下の収入しか得られず、600 万人が極度の飢えに苦しんでいます。経済が下降し始めた90年から03年のまでに、45万人が十分な食料を得られないことが原因で死亡しました。毎日、子ども55人、大人35人、老人15人が死んでゆく計算になります。
しかし、アルゼンチンは依然として年7000万トンの穀物を産出する農業大国であることに違いありません。それなのになぜ食糧難に苦しまなければならないのでしょうか。遺伝子組換え作物の栽培によって農業が輸出志向の巨大産業に変わり、伝統の農業システムが失われてしまったからです。
全農耕地の54%にあたる1400万ヘクタールで大豆が栽培されています。04年には、3400万トンを超える収穫がありました。しかし、その99%が遺伝子組換え大豆です。アルゼンチンの遺伝子組換え大豆は食用とはならず、ほとんどが家畜の飼料としてヨーロッパの先進諸国や中国へ輸出されます。
遺伝子組換え大豆を開発した米モンサント社は、大農場と提携して遺伝子組換え大豆を広めていきました。つづいて周辺の中小農場も、遺伝子組換え大豆が高収入を上げるというモンサント社のPRに引かれて、在来種の大豆から遺伝子組換え大豆へと切り替え、あるいは他の作物をすべて刈り取ってまで遺伝子組換え大豆を栽培しました。
中小農場は大農場との競争に勝てません。遺伝子組換え大豆の使用料を払い高価な除草剤を買うために借金を重ね、それが返済できなくなると土地は競売にかけられます。その土地を買い取った大農場はさらに巨大化してゆきます。地元の警察を獲り入れた大農場主が傭兵を使い、小農民を暴力で脅し、村落を襲撃して追い出した上で、土地を奪うということさえ行われました。
こうして地方の小農民たちが土地を失い流浪してゆきます。地域の食料となる作物のほとんどを生産してきたのがこの農民でした。そして、アルゼンチン農業の伝統を受け継ぎ、数多くの作物を育て、さまざまな品種の種子を保っていたのもこの人びとでした。
遺伝子組換え作物は後進国が先進国のために生産する安価な輸出商品です。高度に商業化された遺伝子組換え農業には食料を自給する力も意志もありません。多国籍企業は、アルゼンチンの農業を企業に利益をもたらすシステムに変えてしまいました。アルゼンチンは、家畜の飼料になる遺伝子組換え大豆の栽培に広大な耕地を奪われ、食料となる作物の栽培が激減し、国民の食料を自給することができません。
食料の自給率が低下して、輸入食料に依存するようになると、他国との経済や政治の交渉で不利な立場に追いやられ、ついには国家の独立と統治権さえ脅かされると考え、先進諸国は後進国からダンピングに等しいと批判されても、自国の農産物に莫大な補助金を出し続けています(2001年度、先進29カ国で総額はおよそ3700億ドル)。
環境や人体への影響
自給率だけではありません。米モンサント社が遺伝子組換え大豆と一組にして売り込む除草剤は強い毒性を持ち、どんな雑草にも効果があるという触れこみで、ラウンドアップ(一網打尽)と名づけられました。その毒性から作物自体を守るために、遺伝子組換え作物はラウンドアップ耐性を備えるように遺伝子を操作されています。
しかしラウンドアップの散布をつづけると、耐性を持つようになった雑草がかえって増えました。ほかの除草剤を合わせて、濃度を高めたミックス薬剤を頻繁に散布するしかなく、在来種を栽培するときよりも二倍の農薬が必要になりました。毒性の高い薬剤が広大な大豆畑に堆積しながら、周辺の耕地へも拡散してゆきます。すぐに遺伝子組換え大豆の大農場に隣接する中小農場の作物が被害を受けて収穫できなくなりました。ブタやニワトリが死に、子ヤギが死産か奇形で生まれてきます。人への悪影響も確かです。大農園で散布された農薬が風で流れてくると、目が痛くなる。子どもたちの足には発疹が出ます。
1999年、ラウンドアップの主成分であるグリフォサートには発ガン性があるとの報告。さらに、併用される2,4-Dやパラコートなど先進国ではすでに禁止されている除草剤です。大量の農薬で栽培される遺伝子組換え作物や、それを飼料として育てられた家畜を人が食べたとき、健康に障害を起こすことはないのでしょうか。
単位面積あたりの収穫量は逆に減少しました。遺伝子組換え大豆は在来種と比べて5%から10%も収穫が少ないという研究報告があります。遺伝子組換え大豆が収穫総量を伸ばしつづけているのは、大農場との競争に敗れ経営難に陥った小農園を買収し、暴力で農民を追い出して土地を奪い、貴重な熱帯森林を切り崩して、莫大な耕作面積を獲得していったからです。
インド、組み換え綿花で2万人の自殺者
インドやインドネシアへ遺伝子組換え綿花が進出したとき、モンサント社はPR戦略でGM綿花を「白い金塊」と呼びはやし、必ず高収益が得られると宣伝しました。農民は借金をしてまで、モンサント社から種子を買うようになります。しかし、GM綿花の栽培には、高価な農薬が大量に必要でした。在来種と比べて農薬の経費が20倍になった地域もあります。さらに遺伝子組換え綿花は害虫にも弱く、各地で被害が出ています。そして、世界市場で綿花の価格が下がると、収穫しても耕作経費を回収することさえできなくなりました。
インドでは、借金に苦しみ絶望した農民が2万数千人も自殺しています。インドネシアでは、農民に種子と農薬を買う資金を貸したのがモンサント社の系列会社だったので、借金を返せなくなった農民がモンサント社との契約に縛られ、さらに悪い条件で労働を強いられました。インドの農民は、多国籍企業による侵略戦争の犠牲者であり、インドネシアの農民は、企業の奴隷にされたと言われました。
遺伝子組換え大豆(作物)を栽培すると、年ごとに種子を買わなければなりません。使う農薬も決められています。遺伝子組換え大豆(作物)と農薬の特許(知的所有権)を持ち独占しているのがモンサント社ですから、遺伝子組換え大豆の栽培はモンサント社に依存することになります。さらに、収穫された遺伝子組換え大豆を買い上げて、販売するのも多国籍企業。市場を独占すれば、企業は価格を自由に設定することができ、莫大な利益を得ます。遺伝子組換え作物という特定の商品に依存する度合いが強いほど、企業の支配力が高まります。問題の核心は、利益の追求だけを目的として後進国を侵略する多国籍企業の活動にあります。
多国籍企業が、自由貿易の名の下に企業グローバリゼーションを推進しています。世界社会フォーラムは、企業グローバリゼーションと戦い、より公平な新しい社会を築くために、世界の市民が連帯する運動です。1月30日、社会フォーラムの開催に合わせて、ブラジルとベネズエラの間で種子を交換する協定が結ばれました。調印にあたって、ブラジルMST(土地なき農民運動)労働者からベネズエラ大統領チャベスへ手渡された小さな一缶の大豆は、多国籍企業の侵略を阻止する大きな一歩を標す象徴となるでしょう。
虹屋が要約しました。全文は http://www.japana.org/start.html
ネタ元
日本バイオ産業人会議(JABEX)http://www.jba.or.jp/jabex/index.html
イネゲノムの研究状況は農業生物資源研究所http://www.nias.affrc.go.jp/の中の研究活動⇒イネゲノム・プロジェクト
国の農業分野で遺伝子技術の動きは農林水産技術会議http://www.s.affrc.go.jp/のなかのゲノム・遺伝子組換え等先端研究
遺伝子組み換え反対の市民運動の状況は遺伝子組み換え食品いらないキャンペーンhttp://www.no-gmo.org/
遺伝子組み換え反対の立場からの科学的情報は遺伝子組み換え情報室http://www2.odn.ne.jp/~cdu37690/index.htm
遺伝子組み換え賛成、推進の研究者の見解は愛媛大学農学部、分子細胞生物学研究室http://web-mcb.agr.ehime-u.ac.jp/の「遺伝子組換えの安全性の情報」が興味深い
自然交配を基礎とする従来の伝統的育種の危険性を指摘するコーナーを読むと、研究者と一般市民の意識、危険感覚のずれがよくわかる。いうまでもなく、我々は両親の自然交配の結果として誕生している。指摘されている自然交配の危険性は、そっくり、そのまま、我々にも当てはまるのである。それは、私たち自身に起こりえたかもしれないし、私たちの子供に起こりえた、起こっているかも、起こるかもしれないことなのである。
”伝統育種品”こそフランケンフードという指摘は、貴方(貴方の子)は遺伝的にはフランケンかも知れないということなのだ。そのような可能性があるにしても、それは我々や自然の持つ可能性の一つとして、起こった場合は顕在化した場合は受け入れざるを得ないのだ。
それは、死に似ている。何時死ぬかは誰にも判らない。それが自然死や事故死なら受け入れざるを得ない。しかし、その死が故意にもたらされた殺人だったら、許すわけにはいかないし、未然に防がなければならない。
遺伝子組み換え反対の一般市民の意識、危険感覚の根底にはこれがある。遺伝学的には同じ現象かもしれないが、それは故意にもたらされる遺伝的殺人行為と感じているのだ。
また従来の伝統的育種による新品種も安全性試験を行えという主張は、全ての出産で事前に遺伝的安全審査を行い、チェックしろということでもある。我々の社会は、それを受け入れていない。このような研究者と一般市民の意識、危険感覚のずれがよくわかる興味深いサイト。
Biotechnology Japanは日経BP社が運営する「バイオテクノロジーの研究や産業化に携わる皆さんの情報サイト」だが、そのバイオ投票のコーナーは研究者と一般市民の意識、危険感覚のずれがよくわかる興味深いサイト
日経BPhttp://www.nikkeibp.co.jp/index_j.shtmlのサイトマップ⇒WEBサイトのBiotechnology Japan
2005年3月14日印刷・小針店で配布したものに加筆
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更新日 : 2011/01/23 .
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