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日印原子力協定は核拡散に加担するもの/原子力資料情報室
2010-06-29 18:02:52 | 世界
菅直人内閣総理大臣
岡田克也外務大臣
直嶋正行経済産業大臣
近藤駿介原子力委員会委員長
日印原子力協定は核拡散に加担するもの
報道によれば、菅内閣は日本とインドとの原子力協定
の締結に向けて、6月28日に交渉に入った。
「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限
り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に、自
主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進ん
で国際協力に資するものとする」は、日本が原子力発
電を始めるにあたっての基本方針であった。いま、そ
れが菅内閣によって捨て去られようとしている。
ヒロシマ・ナガサキでの言語に絶するいたましい体験
を経たうえでなお、日本が原子力に取り組むことを決
意したとき、「平和目的に限ること」が絶対的条件で
あった。この歴史的事実を軽視し忘却することは、国
際情勢や経済事情のどのような変化があろうとも、決
して許されることではない。
インドは国際世論を無視して核開発を強行してきた国
である。いまだNPT国際条約に加盟しようとはせ
ず、核兵器廃絶への国際的な努力にも背を向けてい
る。核兵器製造用の原子炉と電力供給用の原子炉とを
持ち、双方が截然と分離されているのではない。そも
そも、一国の中で、人材、教育、技術、機器などが軍
事と民事とで別々だということもありえない。
米、露、仏などの諸外国がインドとの原子力協定を結
んだからという理由で、かつ、わが国の商業的利益が
期待できるからという理由で、日印原子力協定が結ば
れるならば、今後もはや、世界の核拡散は止めようが
なくなるだろう。ヒロシマ・ナガサキの惨劇が再び、
現実のものとなるだろう。
1953年、アイゼンハワー米大統領は米ソの緊張関係の
中で「平和のための原子力」という主張を語った。し
かし、これは大なる仮説というべきものである。その
後の世界は核の拡散が止まらず、核の「平和利用」は
成立しないのではないかという現実が続いている。
原子力資料情報室はこの35年、「平和利用」そのもの
さえも、人類の平和で持続可能な未来をそこなう心配
があるのではないかと、警鐘を鳴らしてきた。
すくなくとも、これまでの日本の基本姿勢に立ち返っ
て、インドとの原子力協定に踏み込んではならない。
関係各位に強く、このことを求める。
2010年6月29日
特定非営利活動法人原子力資料情報室共同代表 山口
幸夫 西尾漠 伴英幸
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