投稿者 クマのプーさん 日時 2010 年 5 月 06 日 20:24:37: twUjz/PjYItws
(回答先: 「もんじゅ」運転再開に反対する声明(核開発に反対する会) 投稿者 クマのプーさん 日時 2010 年 5 月 06 日 20:21:49)
http://kakukaihatsu-hantai.jp/aim.html
【軍事利用のための平和利用】
原子力は、原子爆弾の製造から始まった。1938年、物理学者は特殊な原子核に中性子を当てると核がふたつに割れて(核分裂)、莫大な熱を発生することを発見した。ただちに、各国の物理学者は政府にこの核分裂で兵器を作ることを進言した。核分裂する原子核はウラン235とプルトニウム239である。ウラン235は天然ウランの中にごくわずか含まれている。兵器を作るには「濃縮工場」で天然ウランからウラン235を濃縮すればよい。しかし、これには大量の電力(莫大な費用)を必要とする。一方、プルトニウム239は天然には存在しない。これは天然ウランの主成分であるウラン238に中性子を衝突させて生産する。このプルトニウム239の生産炉を「原子炉」という。この軍用プルトニウムは、軍用の濃縮ウランを生産するよりも安くできる。しかし、これを生産する時に人体に悪影響を与える放射能という毒物が発生する。第二次大戦後、アメリカは、多数の「濃縮工場」と「原子炉」を建設し、莫大な国家予算を投入した。その結果、濃縮ウランは生産過剰になってしまった。単なる過剰なら減産すればよい。しかし、それではソ連との「冷戦」に負けることになる。そこで考えたのが、原子力の民間利用であった。この軍事工場で低濃縮のウランを作る。その低濃縮ウランを「軽水炉」という原子炉で用いて民間に発電させる。軽水炉では軍用プルトニウムは作れないから「平和利用」だと宣伝した。要するに、アメリカの軍事能力を温存するための民間利用だった。この時アメリカは「原子力は安い」と宣伝した。低濃縮ウランは既設の軍事工場で作るので、原価は電気代だけである。その電気代もアメリカ政府が負担して、ダンピング販売した。また、イギリスは「黒鉛炉」で軍用プルトニウムを作っていた。イギリスはこの黒鉛炉を用いて発電し、販売することにした。「軍事利用のための発電」である。そしてイギリスはこの原子炉を日本に売った。それが日本最初の原発、東海原発である。この原発は、電力を東電に売り、軍用プルトニウムをイギリスに売っていた。イギリスはこの軍用プルトニウムで原爆を作り、またその一部をアメリカに転売していた(国際プルトニウム会議(1991)大宮)。マスコミも、脱原発運動も問題にしなかったが、東海原発はイギリスとアメリカのための「軍用原子炉」だったのである。
【毒物対策ができないのに、原子力が利用される理由】
原子力の放射能対策は現在も成功していない。原子力を「科学技術の粋」と言う人がいるが、放射能対策に失敗している以上、そもそも科学技術とは言えない。放射能という毒物の処理ができないのであれば、原子力産業は、ダイオキシンやアスベストの産業と同様に禁止すべきである。それなのに、原子力産業が特別扱いされるのは、これが兵器産業と関係するからである。原子力という兵器産業を維持するには、原発から生ずる放射能もやむを得ないと各国政府は認めたのである。
本会が、「軍事はもちろん、一切の原子力に反対する」 ことを第一の目的にするのは、原子力産業が単なる民間商業ではなく軍需産業であって、それが深刻な放射能災害をもたらし、また子孫に放射能の管理作業を強制することになるからである。原子力の利用は、軍事・平和ともに、人間に災害をもたらす国家による犯罪である。
【日本政府は、これまで執拗に原爆製造を準備してきた】
サンフランシスコ講和条約発効(1952)に前後して、日本政府は原爆の製造と所有の準備を始めた。科学技術庁を設置した理由は、原子兵器と宇宙兵器の技術を所有するためであった。この動きは、イギリスに軍用プルトニウムを売っていた東海原発についての防衛庁の事前研究(1957年)から本格化する。そして東海原発は1959年に設置許可された。防衛庁の『日本の安全保障(1968)』によれば、この原発は軍事目的に使用すれば、軍用プルトニウムを年間240キログム製造できる。発電目的に使用しても軍用プルトニウムを年間6〜10キログラム製造できる。そこでこの軍用原子炉をイギリスから購入することになったのであった。この当時、アメリカは日本とドイツの原爆開発を認めていなかった。イギリスの原発を買うことは認めたが、この使用済み燃料の再処理はイギリスでおこなうこと、得られる軍用プルトニウムはイギリスに売ることというふたつの条件をつけたのである。結局、日本はこの東海原発により原爆材料を入手することに失敗した。次の計画は、カナダからの「重水炉」の購入である。しかし、インドがこの原発で得た軍用プルトニウムで原爆実験をしたので、アメリカのカーター政権の強い反対となり、日本はこのカナダの原子炉の購入に失敗した。そこで、日本は外国から軍用原子炉を買うことをあきらめ、独自開発することにした。その最初が、茨城県大洗の高速炉常陽である。そして試運転中に軍用プルトニウムを19キログラム作った。しかし、アメリカは本格運転で軍用プルトニウムを作ることを許さず、また試運転で作った軍用プルトニウムの再処理も許さなかった。次いで、日本は高速炉もんじゅを設計し、軍用プルトニウムの大量生産を計画した。アメリカはレーガン政権以後それまでの政策を変更し、もんじゅの建設に加えて、軍用プルトニウムの再処理も認めた。しかも、それを抽出する機器を日本に提供した。ところが、日本の現状はおそまつであった。もんじゅは試運転中に出力が40%まで上昇したところでナトリウム漏れ事故を起こし、原子炉内部に17キログラムの軍用プルトニウムを残したまま、現在運転を停止中である。もんじゅは来年運転を再開することになっている。もしもこれを正常に運転できれば年間62キログラムの軍用プルトニウムが生産できる。この事実を、日本のマスコミは一切報道しないし、脱原発運動も話題にさえしない。何故だろうか。
本会の第二の目的を「特に、日本の核武装に反対する」 とするのは、報道もされず、議論もないまま核武装を準備する日本の現状に、危機を感ずるからである。
核開発に反対する会 代表 槌田敦
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