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廃炉・新設の衝撃（上） 大転換に渦巻く賛否 揺れる地元御前崎
投稿者: 浜岡原発問題取材班 日時: 2008年12月24日 16:14
水面下で何かが動いている―。中部電力浜岡原子力発電所が立地する御前崎市の石原茂雄市長（６１）は今月中旬、公務で訪れた静岡市内で、偶然出会った関係者から耳打ちされて直感した。（２００８年１２月２４日 静岡新聞朝刊）
「浜岡原発が大変になりそうですね」。その言葉から浮かぶのは停止中の１、２号機の扱い。ただ、中電からは「２０１１年３月までに運転を再開する」と説明を受けている。同時に頭をよぎったのは６号機新設の可能性。「プラントの純増は石川嘉延知事も容認しない方針を示してきた。中電も難しいことは承知しているはず…」。いずれの推測も確信には至らなかった。
思いを巡らせる中、１、２号機廃炉と６号機新設をセットで進めるリプレース（置き換え）計画が数日後、一気に表面化した。「まさか同時とは。中電は重大な経営判断をした」。想像をはるかに超えた計画は、石原市長を驚がくさせた。
過去に５基の原発を受け入れてきた。「原発には慣れっこ」。そんな見方をされる御前崎市民の間にも、リプレースについては「これまでとは別次元の問題」（市議）との受け止め方が目立つ。「地域振興」か「安全性」か―。中電の正式発表を待たずに賛否両論が噴出した現状が、市民に与えた衝撃の大きさを物語る。
賛成派が何よりも期待するのは６号機の“特需”。市商工会関係者は「新規建設が始まれば、市の人口が１万人増える。雇用拡大にもつながるし、地元業者は間違いなく潤う」。旧浜岡町商工会は５号機増設で町内が割れていた１９９６年、町当局に早期建設を要望した経緯がある。
当時はバブル崩壊の波が地方にも押し寄せていた。元町議（６２）は「経済環境が今とそっくり。中電は、あえてこの時期を狙って計画を出したんじゃないかと、勘繰りたくもなる」と話す。
旧浜岡町と旧御前崎町の合併で２００４年に誕生した御前崎市は、企業誘致専門部署を置き、「原発依存からの脱却」を図ってきた。しかし、急激な不況で先行きは不透明。２００９年度は９億円近い税収減が避けられない。そんな逆風が吹き荒れているだけに、「一番喜んでいるのは、電源三法交付金などの原発マネーが入る行政のはず」＝無職男性（６２）＝との声もある。
一方、反対派が問題視するのは東海地震が懸念される状況下での安全性だ。加えて、「新しい原発を造るたびに、中電は『今回が最後』と言ってきた。裏切られた気分」＝５０代女性＝など、中電に対する不信感も根強い。１、２号機廃炉については歓迎ムードが高まる中、市議の１人は「作業工程の中で出てくる放射性廃棄物の処理方法だって分からない。そんな簡単な話じゃない」とくぎを刺す。
６号機新設には漁業関係者の同意も必要になる。「漁業権放棄」という切実な問題を伴うだけに、反発も予想される。牧之原市の元漁業者は「１号機の時は役場に石を投げ込んだ」と、当時の反対運動を振り返る。３９年前の１９６９年。長い議論の末にその１号機受け入れを地元漁協が決定したのはくしくも、リプレース計画が発表されたのと同じ１２月２２日だった。
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地元関係者の前に唐突に出現した中電の浜岡原発リプレース計画。国のエネルギー政策の未来を左右する先導的な計画は地域社会にどう影響するのか。耐震対策や運転差し止め訴訟など課題が山積する中、中電の思惑通りに進むのか。大転換を図った中電の試み。計画策定の背景などを探った。
- 【浜岡原発の選択】廃炉・新設の衝撃（中） 「震源域」重い課題 耐震性に根強い不安（静岡新聞） クマのプーさん 2009/5/09 00:07:29
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- 【浜岡原発の選択】廃炉・新設の衝撃（下） 国内初「置き換え」 立地難打開へ新戦略（静岡新聞） クマのプーさん 2009/5/09 00:09:03
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