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のレビューの引用
14 人中、11人 4.0 反骨ではない、正統である, 2012/3/23
KashiwaRunaway (Work at Tokyo, Live in Chiba)
著者の橋本美香氏。音楽が真ん中にある根性の人である。実は長い歴史を持つアイドルグループ、制服向上委員会（ＳＫｉ）のかつてのメンバーであり５代目リーダーで現在は会長職。
自叙伝的内容を期待すると、軽く予想を裏切られるかも知れない。何故なら本書は、アイドルビジネスで如何に成功を収めたか、長く続けていられるか、どのようにメンバーをマネジメントしたか、といった点に焦点が当てられているからである。
アイドルを若さと媚だけ、脱がずに齢をとったら使い捨てられる存在と蔑まず、誰のこころの中にも存在する輝ける存在として磨きを掛けていく。それを目指すために必要のないものは切り捨てるが、社会の中での自己の考えや芯を研鑽するための情報はどんどん提供し行動させる。
そこから出てくるものが偽物だったり、子供じみた反骨である訳がありません。口パクなし、パンチラなし。もちろんクオリティは様々でしょうが、本物かあるいはその卵である事に間違いありません。
２０１２年春にキャンペーンが行われている「ＧＫ宣言」など本来、件ののグループではなく、以前から若者の自殺問題をテーマにした「STOP! STOP! STOP!」STOP! STOP! STOP! 制服向上委員会を唄っているＳＫｉが担うべきものです。
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5 人中、4人 5.0 ”制服向上委員会”的な事物から離れて衰滅しつつある日本を洞察できる古典的定点資料, 2015
投稿者
flourish
本書は、今の日本のあり方や進みつつある方向に違和感等を抱きつつ、その本源を感知したいと思う人にお勧めできる内容になっています。本書に記載されている「制服向上委員会」の方針や運営様式は
「戦後日本の民主主義・平和主義・人権向上・平等・生活向上等の推進および、それらを具現するための最も良質な学校文化」
そのものである、と理解できるからです。
例えば、詳細であるが明示されている諸規則・給料のランク付けの理由の詳細な提示・恋愛は禁止されてはいないこと・ステージの後に先輩後輩の区別なく意見を出し合う・自律的に折り目正しく行動する等々、多くの点において戦後日本の学校が当初目指したやり方そのままが記載されています。本グループが当初、着崩せないようにする・動きやすいようにする等の合理的な制服向上のためのファッションショーチームとしてスタートした事も、その一環です。ボランティア活動や社会の動きに関心を持ち意見を述べると言うことも、意欲と意識のある先生方や経営陣がおられる学校では昔からやってきていた事です。
だが、かような戦後日本の理想と学校文化は
「自堕落な商業主義」と「保守（”戦時体制回帰主義”と表現した方が適切でしょう）・ウヨ（”権力的支配主義”と表現した方が適切でしょう）・ヤンキー」
によって突き崩されて行きます。本書には2006年に一度解散状態になった際のいきさつが記載されていて興味深いのですが、”人気が落ちてきていた”と言う記述が見られます。正に2001年から2006年までの小泉改革により日本社会は甚だしく荒廃が進みました。このため、かような理想や学校文化が疑わしく見え始めていた事が背景にあるように思えます。本書はかように、その時代状況を考えながら読むこともできます。
本書の出版から3年経過した2015年現在、この
「”制服向上委員会的なこと”からの日本の離脱・漂流とそれ故の日本の自滅」
は更に急速に進行しています。明らかに日本の破滅しか予想できない動きが公的なものとして急激に推進されつつあります。産業の競争力は27位に低下し、報道の自由度は後進国の類に低下しつつあります。某アイドルグループでは恋愛をしていたメンバーを丸坊主にしてYouTubeに曝し、海外からファッショなやり方だと批判されました。
彼女たちはマイナーで左翼なプロテストグループなのだと認識されつつあるようで、組織的なのでしょう、facebookに集中的に罵詈雑言が書き込まれています。小生はあちこちのCDショップを廻ったのですが、どこにも置いていませんでした。加えて、本書を発注して手にしたところ未だに第1刷でしたし、東京都内の各図書館では2か所しか所蔵していませんでした。
以上のような次第で本書は、向こう何十年も続くであろう日本の衰退・自滅・破綻を考察する際の”定点”として読む事が可能だと思われます。音楽・アイドル・組織運営論等複数の切り口から読む事が出来るので、かなり幅広い読者が読み込む事ができるでしょう。早くも”古典的”資料としての価値が予想できるので、☆５つとします。
9 人中、7人 5.0 「付録」の資料も魅力, 2012/6/5
ポポロ
巻末の「付録１」は、制服向上委員会をよりよく知る上で役立ちました。
歴代リーダー、メンバーリスト、ディスコグラフィーは保存版ものです。
「付録２」の規律ノートでは、芸能界の「おはようございます」一本調子ではなく、
朝が「おはようございます」、昼は「こんにちは」、夜は「こんにちは、こんばんは」
など１例ですが、ノーマルで清く正しく好感が持てます。
橋本美香会長の人柄とポリシーがしっかり語られていて良書だと思いました。
11 人中、8人 4.0 このアイドル像はすべてのビジネスに通じるものがある, 2012/6/28
かかとおとし (東京都)
「売れないより売れたほうがいい。、、だけど、大事なのは”何で”売れたかということ。」 書名の「脱がない」はヌードはもちろん、「見せパン」のパンチラや水着すらも否定する。あくまで「清く、正しく、美しく。」
メジャーではAKB、スパガ、ハロプロのスマイレージまで水着姿の曲をだし、マイナーでは、もふくちゃんをして「キャバクラの接客のような」と言わしめたほど（媚びる）物販が横行するなかで、これは全く真逆の姿勢である。
「そんなキレイ事じゃやっていけないよ」というのはどのビジネスもいわれることだが、その方針を貫いたからこそ、20年も続いた、というのが本書の趣旨である。
曰く、多売をする立ち食い蕎麦屋ではなく「一日1000食限定」のこだわり蕎麦屋。
大手の大きな仕事であっても、水着姿だったり、「アイドルが『おまえ』呼ばわりされる」バラエティーは受けない。CMの仕事であっても、環境に悪い商品と思えばうけない。
「ダッ！ダッ！脱・原発の歌」などで、過激とか色物と思われがちな制服向上委員会だが、しっかりしたスタッフに守られ、優秀な音楽指導をうけ、企業に依存しないその姿は、アイドルのひとつの理想の姿だといえるだろう。
10 人中、7人 4.0 一所懸命に書いていますね, 2012/4/18
birdsong
(VINEメンバー)
第一章：制服向上委員会という生き方
第二章：アイドルの自覚と社会認識
第三章：アイドル誕生、そして卒業
第四章：「清く、正しく、美しく。」の精神
第五章：高橋プロデューサー・インタビュー
付録
歴代リーダー（二代目の青山れいさんはなし）の近況とメンバーリスト
規律ノート
ディスコグラフィー
という章立て。なんか岩波新書みたいですね。第一章は制服向上委員会（SKi）全体のおおまかな紹介、第二章はメンバーから見たSKiの特色、第三章は橋本美香さんの自伝（ネットで有名な「土下座事件」も）、第四章はSKiの社会活動や音楽活動の詳しい紹介、というわかりやすい構成です。第四章までが約6割で、文章にこなれていない所や重複があって、橋本さん自身が一所懸命に書いたんだろうなあ、という感じがぷんぷんします。「お葬式」なんて歌をそのままのタイトルでリリースしちゃう人らしいなあ（「お葬式」ってちょっとさだまさし風なフォークで、とてもいい歌ですよ）。第五章のインタビューになるととたんに文章がしっかりするのがご愛嬌。
元祖制服アイドル、社会的（ないしは政治的）な活動をする、という点以外に、音楽でも口パク無し、洋楽の勉強推奨など、結構骨太（これも印象の悪い言葉になりました）なグループだという感じ。音楽重視な姿勢っていいですよね。それが、制服の紹介ビデオ＋吉成圭子さんプロモーションの副産物だったとは…
(* 2012年7月10日：「お葬式」じゃ伊丹十三だ orz。正しくは「お墓参り」です。なんでこんな間違いを… フォークが好きな方にはお勧め。 *)
6 人中、4人 5.0 歌のお姉さんのエチカ, 2013/5/31
ファンレター
著者やスタッフがスピノザやネグりの本を読んだとは思えないが、これらをお読みになったことがある各位には、親近感をもたれたかもしれない。彼女らが歌う曲は人々の幸福と平和を希求する思いや、あるいは不正に対する糾弾が少なからずみられるが、なるほど、「清く、正しく、美しく」をモットーにして活動しているからには、そうなるのであろう。このことが、この著作によって理解されよう。
さわやかで、きれいな彼女の歌声を知ったのは僅か３ヶ月ほど前であるが、音楽なんぞにこれまで興味を示さなかった者が、還暦をすぎてファンになったくらいである。エチカを連想させるようなこの本を老若男女にお勧めしたい。また芸能界にすすむのだという少女たちが、使い捨てにならないために、警告のほんとして、この少女らに。
著者に言いたいのは、著者はまじめすぎるのではなく、ただ「あたりまえ」なのであって、世の中の多くが「あたりまえ」ではなくなっているのである。これからも「あたりまえ」に活動していただきたい。
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