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<日刊サイゾー総力特集!「押尾学事件」>
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「自民党の捜査潰しも......」押尾学事件 再逮捕の裏側にあった政権交代の影響[日刊サイゾー]
http://www.cyzo.com/2009/12/post_3356.html
警察・検察当局およびマスコミの内情に精通するジャーナリストが、テレビでは絶対に報道しない、気になるニュースの裏側をレポートします。
こんな逮捕がまかり通るのだろうか。20年以上にわたる警察、検察ウオッチャー暦の筆者からみると、「それはないだろう」と言い出したくなるような摩訶不思議な逮捕劇である。
合成麻薬MDMAを使用したとして麻薬取締法違反罪に問われ、11月2日に執行猶予付きの有罪判決を受けた元俳優・押尾学容疑者。否認して控訴したのならまだしも、かれは罪を認め、11月17日には有罪判決が確定したというのに、警視庁捜査1課は7日、同じ麻取法違反を適用し、再び逮捕状を執行したのだ。
<日刊サイゾー総力特集!「押尾学事件」>
実は、この逮捕劇の裏側をのぞくと、自民党にばかり向いていた警察当局が、政権交代によって逆に追い込まれてしまったある事情が浮かび上がってくる。その内幕をレポートする。
まず、今回の逮捕容疑を見てほしい。8月2日、港区の六本木ヒルズ内のマンション一室で、押尾と一緒にいたホステス田中香織さん(当時30歳)にMDMAを渡した疑いがそれだ。
この同じ日、同じ場所でMDMAを使った罪で、押尾容疑者はすでに有罪判決を受けている。つまり、同じ現場で起きたひとつの事件をまるで別物であるかのように2つに切り分け、忘れたころにわざわざ逮捕容疑に仕立てるなんて、筆者は聞いたことがない。刑事裁判に詳しい弁護士もこう首を傾げる。
「ひとつの事件で判決が確定したら、再び罪に問われることはないという『一事不再理』と呼ばれる大原則が刑事訴訟法にあります。同じ事件で何度も逮捕されたら、それこそ不当逮捕だからです。今回の警視庁の対応は、この一事不再理に抵触する可能性があります」
新聞・テレビは盛んに、殺人専門の捜査1課が投入されていることを理由に「田中さんの死亡について押尾容疑者の保護責任者遺棄容疑も視野に入れている」と捜査の正当性を説明しているが、それは的外れだろう。田中さんの死亡が発覚した当初から、捜査1課は投入されているからだ。
本来なら、最初の逮捕に続けて、田中さん死亡に関する容疑で再逮捕すればいい話。それをしなかった理由はただひとつ。田中さんの事件を立件するつもりなど、警視庁にはなかったという事情だけである。
「ちょうどこのころ、押尾容疑者のタニマチといわれたパチンコ業界の実力者が動き、彼にゆかりの深い自民党の大物議員2人が警察当局に圧力をかけたと警視庁内部でも噂になった」
と語るのは、警視庁関係者。さらにこんな内情を打ち明ける。
「押尾容疑者が8月に逮捕され、起訴に持ち込まれて一件落着した後の9月のことだが、急に捜査態勢が変わったんだ。もう捜査は終わったという時期に、捜査1課のやり手の捜査員たちが次々と投入され、態勢が拡充したんだよ。明らかに、9月に警視庁内で異変が起きた証拠だね」
お気づきだろうか。衆院選で政権交代が実現し、9月に民主党政権がスタート。警察当局を指揮する国家公安委員長には、三重県選出の中井洽氏が就任している。ここがポイントだという。
「岐阜県に住む田中さんの遺族は、警視庁の捜査が進まないことに業を煮やし、しかも自民党が捜査潰しをしているという話を聞きつけ、地元の民主党東海ブロックの関係者のもとに不当捜査を訴えたようだね。同じ東海ブロックの中井氏は、もちろん、この経緯を知っている。彼が警察当局の指揮官に就いたために、再捜査を余儀なくされたのが真相だよ」(同)
それにしても、あまりにも真相解明に時間がかかりすぎてはいないだろうか。政権交代に揺れる警察当局のひずみは根深いようだ。
引き続き、この押尾事件を検証していきたい。
(文=由利太郎)