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http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51309138.html
2010年01月10日23:45
永住外国人選挙権最高裁判決〜〜これが傍論なら、あれも傍論か!?
(1)「永住外国人地方選挙権付与法案に対するデマによる反対運動はやめるべきだhttp://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51248307.html」と投稿で、最高裁判決は、永住者等の地方選挙権について憲法がそれを保障してはいないと判示しているが、同判決は地方レベルでの選挙権付与することは立法府である国会の判断に委ねているので、「最高裁判所は、永住外国人に地方選挙における選挙権を付与することが憲法違反であると判示した」旨、言って反対運動を行うのは、デマゴーグなので、やめるべきだと書いた。
そうしたところ、2週間程してから極一部の方々から様々な反応があった。
(この投稿がアップされるころには、もっとあることでしょう。)
そのうち、先の投稿との関連で重要な反応にのみ応答するために、少し解説をしておこう。
(2)外国人の参政権の論点は多数あるが、そのうち、今、国会で成立する可能性があるのは、「永住外国人」の「地方」の「選挙権」である。
例えば「旅行で日本に滞在ししている外国人」が対象ではない。
また、「国政選挙」が対象ではない。
さらに、「被選挙権」が対象ではない。「参政権」ではない。
(3)すでに紹介した最高裁判決の以下の部分は、永住外国人の地方選挙権につき憲法がそれを保障していないという判決文である。
憲法第八章の地方自治に関する規定は、民主主義社会における地方自治の重要性に鑑み、住民の日常生活に密接な関連を有する公共的事務は、その地方の住民の意思に基づきその区域の地方公共団体が処理するという政治形態を憲法上の制度として保障しようとする趣旨に出たものと解されるから、我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではないと解するのが相当である。しかしながら、右のような措置を講ずるか否かは、専ら国の立法政策にかかわる事柄であって、このような措置を講じないからといって違憲の問題を生ずるものではない。
この判決だけでは、この判決が、永住外国人に地方選挙権を付与する法律を制定した場合、それが憲法違反になると判断しているのか、それとも憲法違反にはならないと判断しているのかは、不明である。
言い換えれば、永住外国人に地方選挙権を法律で付与することを、憲法が禁止していると判断しているのか(禁止説)、憲法が許容していると判断しているのか(許容説)どうかは、上記判決部分だけでは、わからない。
(4)それに答えを出しているのは、すでに紹介した以下の判決部分(上記紹介判決に続く部分)である。
憲法第八章の地方自治に関する規定は、民主主義社会における地方自治の重要性に鑑み、住民の日常生活に密接な関連を有する公共的事務は、その地方の住民の意思に基づきその区域の地方公共団体が処理するという政治形態を憲法上の制度として保障しようとする趣旨に出たものと解されるから、我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではないと解するのが相当である。しかしながら、右のような措置を講ずるか否かは、専ら国の立法政策にかかわる事柄であって、このような措置を講じないからといって違憲の問題を生ずるものではない。
これにより、最高裁は、永住外国人に地方選挙権を法律で付与することを、憲法が禁止しているという禁止説の立場をとらず、憲法が許容しているという許容説の立場をとっていることがわかる。
(5)永住外国人に地方選挙における選挙権を付与する法案成立に反対される方の中には、最高裁が立法政策と判断した判決部分を「傍論」とみなし、その上で、それを軽視ないし無視する論調で反対を主張している方々がいるようだ。
「傍論」であるかどうかとは無関係に(「傍論」であろうと、なかろうと)、最高裁が地方レベルでの選挙権付与することは国会の立法政策に委ねている判決を書いたことには、なんら変わらないのである。
(くどいようだが、私は憲法解釈について、このようような立場ではない。)
だから、”最高裁が地方レベルでの選挙権付与することを国会の立法政策に委ねていると判断していることを、「傍論」だから軽視・無視して構わない”ということにはならないのである。
反対論者の中には、地方選選挙権についての上記最高裁判決を禁止説だと主張する方々がいるが、それは自己の立場に都合の良い読み方である。
(6)以上紹介した最高裁判決は、すべて、一人の裁判官の補足意見ではないし、反対意見でもなく、5人の裁判官による法廷意見である
よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 可 部 恒 雄
裁判官 園 部 逸 夫
裁判官 大 野 正 男
裁判官 千 種 秀 夫
裁判官 尾 崎 行 信
実際に一人の裁判官が判決文を書いていたとしても、上記紹介最高裁判決は5名の裁判官「全員一致」の法廷判決である。
(7)ところで、立法政策論を唱えた上記紹介の判決部分が「傍論」と評すべきかどうかについては、議論の余地があるだろう。
従来の最高裁判決では、ついでに書いた、いわゆる「なお書き」が典型的な「傍論」だったからだhttp://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/50898591.html。
また、自衛隊イラク派兵違憲名古屋高裁判決は、自衛隊イラク派兵差止等請求の控訴が棄却されたものの、自衛隊の活動には違法・違憲な活動が含まれていると判断しており、これは、私見によると「傍論」ではないhttp://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51020570.html。
したがって、前掲の、立法政策論を唱えた最高裁判決の部分が「傍論」であるとみなしてよいのかは、もっと学問的にきちんと検討する必要があるだろう。
(8)ところで、もしそれが「傍論」だとみなしうるとなると、同じ判決の中で、憲法が永住外国人の国政レベルの選挙権を保障してはいないと判断している最高裁の以下の部分も、「傍論」になるのだろうか!?
憲法一五条一項にいう公務員を選定罷免する権利の保障が我が国に在留する外国人に対しても及ぶものと解すべきか否かについて考えると、憲法の右規定は、国民主権の原理に基づき、公務員の終局的任免権が国民に存することを表明したものにほかならないところ、主権が『日本国民』に存するものとする憲法前文及び一条の規定に照らせば、憲法の国民主権の原理における国民とは、日本国民すなわち我が国の国籍を有する者を意味することは明らかである。そうとすれば、公務員を選定罷免する権利を保障した憲法一五条一項の規定は、権利の性質上日本国民のみをその対象とし、右規定による権利の保障は、我が国に在留する外国人には及ばないものと解するのが相当である。
この訴訟は、最高裁が以下のように結論づけていることからも明らかなように、「国政選挙における永住者の選挙権」の保障の有無が問題になった訴訟ではないからである。
以上検討したところによれば、地方公共団体の長及びその議会の議員の選挙の権利を日本国民たる住民に限るものとした地方自治法一一条、一八条、公職選挙法九条二項の各規定が憲法一五条一項、九三条二項に違反するものということはできず、その他本件各決定を維持すべきものとした原審の判断に憲法の右各規定の解釈の誤りがあるということもできない。
もし、先に紹介した、永住外国人の地方選挙権は立法政策に委ねられているという最高裁の判決の部分が「傍論」だとすると、永住外国人の国政の選挙権は憲法が保障してはいないと判断した部分も「傍論」だということになるのだろうか!?
以上については、幾つかの読み方がありうるだろうが、ここではこれ以上書かないことにする。
もちろん、「傍論」であろうと、なかろうと、最高裁の判決を前述のような意味で軽視ないし無視することはすべきではない、というのが私の立場なのであるのだが。
(9)最高裁判決の憲法判断の内容それ自体に問題があるのであれば、それは正々堂々と反論・批判すればよいのであって、デマゴーグによって反対論を主張することも、前述のような意味で最高裁判決を軽視・無視して反対論を主張することも、やめるべきである。
なお、上記紹介最高裁判決とは異なる私見については、すでに著書で書いている。
(11)最後に、理論ではなく、態度の問題を書いておこう。
反対運動をしている者の中には、”賛成論者はこの国から出て行け!”という趣旨のことを叫んで、反対している者がいるようだ。
何故意見の異なる者はこの国から出てゆかなければならないのか!?
そのような言動は、民主主義を否定するような言動である。
品格もない。
このような反対運動はやめるべきだ。
反対運動は、冷静な言論活動によって、かつ論理的に行ってほしいものである。
(12)最後に、コメントを書き込まれる方へのお願いです。
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