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初歩からのアフリカ:経済成長、地熱発電に託す 水力依存から脱却狙う
エチオピアの首都アディスアベバから南方に約250キロメートルにあるアルトランガノ地域。標高約2000メートルで、周囲を小高い丘に囲まれたすり鉢状の土地で地熱発電の掘削調査が進む。掘る角度を地中で変えながら熱源を探す。アフリカでは今、このような光景が様々な場所で見られる。ケニアやエチオピアなど5カ所以上で実地の調査が進む。
エチオピアのアルトランガノでは、やぐらを組んで掘削調査が始まった
地熱発電ブームに沸くのは東アフリカのエチオピアからタンザニア、モザンビークにまたがる地域だ。大陸プレートの境目「大地溝帯」が南北7000キロメートルにわたって走る。その近辺の地下には高熱を帯びたマントルの上昇流がある。
東アフリカでは地熱発電が電力の安定供給の切り札になるとの期待が高い。エチオピアのように水力に依存する国は雨が降らなくなると、ただでさえ足りない電力供給が減ってしまう。火力に頼ろうとしても石油やガスは高い。経済発展を続けるには、天気やエネルギー市況に影響を受けにくい地熱発電が最も適しているというわけだ。
地中の熱エネルギーの存在はかなり前から分かっていたのに開発は遅れていた。資金も技術も不足していたためだ。だが、このところの経済成長と世界的な再生可能エネルギーへの注目、官民一体となった先進国の支援が地中に眠るエネルギーを呼び起こそうとしている。
地熱ブームを支えるのが、火山が多い母国で技術を蓄積し地熱発電の世界シェアが7割以上とされる日本の技術だ。エチオピア・アルトランガノの掘削調査は日本政府が支援し、作業は九州電力のグループ企業が請け負う。
ケニアのオルカリア地域では出力28万キロワットの地熱発電所を豊田通商、東芝、韓国の現代エンジニアリングが共同で受注した。東芝は1966年から日本で設備を納入し始めた老舗。オルカリアでは蒸気タービンへの付着物を取り除いて出力が下がらないようにするなど工夫を凝らす。
エチオピアのハイレマリアム首相は「日本企業は地熱発電など再生可能エネルギーの技術が豊富だ」と称賛する。もっとも日本企業については「決定のスピードが遅い」(ケニア政府関係者)などの不満も漏れる。中印に出遅れた対アフリカ投資。資金と技術をどれだけ迅速に届けられるかが巻き返しのカギを握る。
(カイロ=押野真也)
[日経新聞1月31日朝刊P.6]
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