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再生可能エネ 欧州、洋上風力シフト
英独で大型計画/買い取り優遇
【フランクフルト=加藤貴行】欧州各国が再生可能エネルギー分野で洋上風力発電にかじを切っている。北海やバルト海など遠浅の海岸が多い欧州は固定式の洋上風力発電に向いており、各国政府が設定する高い買い取り価格を見込んだ大型計画が相次ぐ。独シーメンスなど風力発電機メーカーの収益も拡大しており、日本企業などにも商機が広がっている。
英国政府は2020年までに洋上風力の発電能力を原発30基分以上にあたる3200万キロワットに高める計画。東部沖では昨年夏から世界最大のプロジェクト「ロンドンアレイ」が発電を始めた。22年までの脱原発を決めたドイツも500万キロワットを当面の目標に整備を進める。
●太陽光より高く 各国政府は洋上風力の買い取り価格を高めにして普及を促している。英国は14年からの価格を1キロワット時あたり約16ペンス(約27円)と、大規模太陽光の2割高、陸上風力の6割高に設定。ドイツも太陽光より6割高い水準にした。
現状は割高な洋上風力だが、20年までに発電コストが半減できるとの試算もある。大型化しやすい洋上風力は立地によって30%以上の発電効率が見込め、20%台の陸上風力や10%台半ばの太陽光に比べて高い。最近は出力7000キロワットの大型発電機も登場し、中長期の発電コスト低減への期待が高まっている。
世界風力エネルギー会議(GWEC)によると、12年末の世界の洋上風力発電の設備能力は541万キロワットで、風力発電全体の2%。うち9割強は欧州に集まる。欧州は陸上風力の技術や、海底油田の操業経験など関連技術が蓄積されてきた優位性もある。陸上風力は各地で建設が相次ぎ、ドイツやスペインなどでは立地可能な土地が少なくなってきたことも洋上風力シフトの背景にある。
●企業も注目 企業も熱い視線を送る。シーメンスの13年7〜9月期の風力発電の部門利益は前年同期比34%増の1億7900万ユーロ(約250億円)。陸上風力で競合する米ゼネラル・エレクトリック(GE)や低コスト品が強みのアジア勢を引き離し洋上では世界シェアの過半を握る。専業メーカーのヴェスタス(デンマーク)、ガメサ(スペイン)も7〜9月期は増益で、収益の改善が続いている。
欧州では太陽光発電が急拡大し太陽電池メーカーも一時は育ったが、中国メーカーの割安品が一気に広まり欧州勢は相次いで淘汰された。陸上風力でも中小型を中心に中国、インド勢が攻勢をかけている。
これに対し地形などの制約を受けにくい洋上風力の羽根は大型化が進んでおり、30年以上運転し続ける信頼性が求められる。「過酷な条件での耐久性を求められる洋上設備では技術力の差が出やすい」(シーメンス)という。
[日経新聞1月10日朝刊P.6]
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