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福島に最新鋭石炭火力 東電、三菱系3社と
2020年にも稼働、発電コスト下げ急ぐ
東京電力と三菱重工業、三菱商事など三菱グループ3社は共同で、福島県内に最新鋭の石炭火力発電設備を2基建設する。合計出力は100万キロワット規模。総投資額は3千億円で、政府も補助金拠出を検討する。2020年にも運転を始める。老朽火力から切り替えて燃料費を抑える。同時に建設工事などで雇用を創出し、原子力発電所事故で被害を受けた地域の復興を後押しする。
月内にも発表し、東電が年内にまとめる新しい総合特別事業計画(再建計画)に盛り込む。同計画では持ち株会社への移行や希望退職募集など組織再編や合理化を進める一方、電力自由化に備えた事業戦略も打ち出す。新型石炭火力建設は発電コストを下げて生き残るための方策のひとつだ。
東電や東北電力が出資する常磐共同火力(東京・千代田)の勿来発電所(福島県いわき市)と、東電広野火力発電所(同県広野町)の空き地に出力50万キロワットの設備を1基ずつ建設する。合計出力は原発1基分にあたる。
事業主体となる特定目的会社(SPC)を共同で設立する。出資比率は三菱重工と三菱商事がそれぞれ4割強、三菱電機が1割。東電は1割未満にとどめる。
資金力が乏しい東電と、最新の発電技術を海外の電力ビジネスに生かしたい三菱側の思惑が一致した。事業費の大半はプロジェクトファイナンスで調達。発電設備の運営は東電が請け負う。東電が実施する電力調達の入札にSPCが応札し、東電が電力を購入する。
「石炭ガス化複合発電(IGCC)」と呼ぶ先端技術を導入。ガスタービンで発電後、廃熱を使って再度発電する。同量の石炭から得られる電力が従来型石炭火力より2割多い。安価な低品位炭を使える利点もある。
東電は燃料費が割高なガス火力が多く、火力の発電コストが他の電力会社より高い。東電は柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働をめざしつつ、石炭火力の建設やガス火力の高効率化を進める考え。老朽火力の建て替えなどで外部資本を活用し、電力を購入する方針を打ち出している。
三菱重工は今年4月に勿来発電所で実証実験から商業運転に移行した出力25万キロワットのIGCC設備の建設実績を持つ。三菱商事は新興国など海外で発電事業を拡大している。福島の実績をテコに新発電方式の輸出につなげたい考えだ。
発電所建設では数年にわたる工事期間や完成後の運転・保守を含めて数千人規模の雇用創出が見込まれる。いわき市は原発周辺地域からの避難者流入などで人口増が続き、働く場の確保が課題になっている。
政府は大型IGCC設備の技術実証と位置付け費用の一部補助を検討する。火力発電所の新増設などに向けた4月の経済産業、環境両省の合意に基づき、従来は3〜4年かかる環境影響評価の2年強への短縮をめざす。
[日経新聞11月23日朝刊P.1]
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石炭ガス化複合発電(IGCC) 廃熱利用で高効率
▽…石炭を蒸し焼きにして発生させた一酸化炭素や水素などの可燃性ガスを燃料にしてガスタービンを回す発電方式。さらに廃熱を利用して蒸気タービンを回し、もう一度発電することでエネルギー利用効率(発電効率)を高める。ガスをセ氏1500度程度まで高めれば効率は50%程度になる。石炭を燃やしてつくった蒸気で発電するだけの従来の石炭火力発電よりも効率が約2割高い。
▽…日本では1980年代後半から経済産業省が主導して開発がスタートした。東京電力と東北電力などが出資する常磐共同火力が勿来火力発電所(福島県いわき市)で出力25万キロワットの実証実験を手がけ、今年4月に商業運転に移行した。国内では中国電力とJパワーが広島県内で出力16万6千キロワットの実験機を建設中。海外では米国やスペイン、オランダなどで試運転が始まっている。
▽…石炭火力はガス火力に比べて地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の排出量が多い。環境に配慮しながら、安価で資源量が多い石炭を活用するため、IGCCと、CO2を回収して地下に貯留する技術を組み合わせる研究も進められている。
[日経新聞11月23日朝刊P.3]
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東電新火力、福島の雇用創出にらむ 建設に2000〜3000人
東京電力が福島県内に石炭火力発電所を新設するのは、働く場をつくって少しでも福島の復興を後押しするためだ。
福島第1原発の事故で避難指示が出ている11市町村のうち、政府は来春にも田村市の避難指示を初めて解除する。来年度には複数の自治体で解除する公算もあるが、それだけでは住民は自宅に戻れない。除染、健康管理、インフラ復旧が欠かせないほか、中長期的には働く場をどう確保するかが大きな課題だ。
東電は昨年11月の経営方針に「福島復興への取り組みを深める」と記し、今年1月には現地の拠点として福島復興本社をたちあげた。過去の事例を勘案すると今回の火力発電の建設作業で2000〜3000人規模の雇用が生まれそうだ。完成後の運転・保守でも数百人が働くことになる。福島県も東電に建設を働きかけていたとされる。
年内をメドに改定する東電の総合特別事業計画(再建計画)では、被災者に賠償を最後まで支払うことと、福島第1原発の廃炉と汚染水対策をやり抜くことが大きな柱だ。雇用創出を通じて復興に貢献することは福島関連で3本目の柱になる。政府と連動した取り組みが求められそうだ。
[日経新聞11月23日朝刊P.11]
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