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http://special.nikkeibp.co.jp/as/201207/africa/vol4/
アフリカの経済成長に必須なのは何でしょうか?
1番目に物流インフラ、2番目に主食たる穀物、である、と今回の取材では明らかにしてきました。
3番目は……電力です。
電力が安定供給されなければ、産業は誘致できませんし、国民の生活も豊かにできません。電力は近代文明にとって、水や空気と同じレベルで必須のライフラインを握る資源です。
では、アフリカの電力供給の実情は?
実はこんな体験をしました。
今回、モザンビークを取材したときのことです。
北部の中心都市ナンプラで、地元で国際協力活動を行うJICAのスタッフや青年海外協力隊の皆さんと、ディナーをとりました。街でも評判の中華料理店に私たち一行は向かったのですが、突然の豪雨に見舞われたとたん、街中が真っ暗になりました。
停電です。
レストランは大丈夫なのか?
心配する私を尻目に、現地生活に慣れたスタッフたちは、豪雨の中、駐車場に車を停めると、レストランの中に駆け込みました。
真っ暗です。
するとレストランのボーイがなにやら四角いものを抱えてきて、壁にかけるとスイッチを押しました。
青い電気が妖しく店内を照らしました。ポータブルLEDライトです。
「しょっちゅう停電するからね。これ、必須よ」とボーイさん。
結局、停電はお店を出るまでの3時間回復せず、私たちは、LEDのライトのもとで晩餐を楽しんだのでした。
これがたとえばモザンビークの電力事情です。
今回、電力問題を取材したのは、ケニアです。ケニアはモザンビークと比べてかなり経済成長が進んでいます。ところが、そのケニアにして電力の普及率は何と20%台にとどまっているとのこと。
たしかに、前回の連載でケニアの稲作地帯の農村を訪ねたところ、「村まであと1キロのところで電線がとまっている。まだこの村には電気がない」と話していました。
ケニアの場合、これまで水力以外に頼れる電力エネルギーが少なかったということが、発電所不足の原因のひとつでした。石油、石炭などが自国から産出されず、それらを大量に輸入するほど外貨を稼ぐ産業も育っていなかったからです。
そのケニアにとって、そして東アフリカの多くの国にとって、少ないコストで無尽蔵ともいえるエネルギーを電力用に取り出せるチャンスが今目の前にあります。
それが地熱発電です。
地熱発電は、地球のエネルギーを活用するもので、取り出すことさえできれば、足下に無尽蔵にあります。問題は、地熱を取り出すのに適している場所は限られている、ということ。火山帯など、地熱が大地から漏れてきそうなくらいせりあがった場所でなければ、地熱発電は現実的には開発できません。
そこでアフリカ東部です。アフリカ東部には、地熱発電に最も適した地形があります。大地溝帯です。
アフリカの大地溝帯は、人類発祥の地とも言われています。かつてジャングルだった地域が、地熱のためにサバンナ化し、住む樹木を失った人類の祖先が、樹上生活から地上に降り立って、二本足歩行を始めたとも言われています。
大地溝帯は、文字通り、大地の割れ目です。地球上のプレートとプレートとが割けて分れようとしている場所で、なんと総延長6500kmの裂け目がアフリカ東部にはあるのです。この裂け目からは地熱が吹き出している個所がいくつもあります。地熱発電にこれほど適した場所はありません。
中でもケニアの国立公園、その名もヘルズゲート(地獄の入り口)公園の中に位置するオルカリアは、地熱発電の中心となろうとしています。そのオルカリアではすでに複数の地熱発電所が稼動しています。実はその発電所の設備には、日本企業の技術と機器とがここで使われています。
火山大国日本は、隠れた地熱発電技術大国でもあります。長年培ってきた日本の地熱発電技術を今、アフリカはケニアの電力供給の安定化に役立てる。
キリンやシマウマが闊歩するオルカリアの地熱発電の現場を訪ねました。
アフリカは鉱物の宝庫。そういったイメージをお持ちの方も多いと思いますが、実はアフリカは、エネルギーの宝庫でもあります。
もともと、西アフリカでは石油が潤沢に採掘されています。一方、東アフリカには目立ったエネルギー資源は見当たりませんでした。
そんな東アフリカのダークホース。それが地熱発電です。マグマの動きが活発な大地溝帯に属する東アフリカの国々は、地熱発電潜在国家なのです。すでに、日本の支援は始まっていて、東アフリカを代表する国・ケニアでは、JICAの主導で地熱発電所の増設が行われています。
ケニアの現地を取材する前に、地熱発電の開発技術を持ち、ケニアでのプロジェクトにも参加している西日本技術開発の取締役リマ・ロバト・エンリケさんに話を伺いました。メキシコ出身で、日本とメキシコの交換留学生第一号として九州大学に留学し、その縁で、九州電力の関連会社で電力・エネルギー、環境、社会基盤整備などの総合的な建設コンサルタント業務を行う同社で働くことになったそうです。
ケニアの地熱発電事情は? そして日本企業の貢献は?
ケニアの電力普及率は、いまだに20%台です。
ケニアの国民の皆さんが、電力を当たり前のように使える電力インフラの充実が、社会の豊かさと経済発展の必要条件であるのは言うまでもありません。
ケニア政府は、「ヴィジョン2030」を掲げ、2030年までに途上国から中開発国に発展するための目標を打ち立てました。
そこでも大きく掲げられているのが、地熱発電の大規模開発による電力の普及です。
ケニアにおける電力供給のカギを握るのが、世界最大の地面の裂け目、大地溝帯に位置するオルカリアの地熱発電開発です。
オルカリアの地熱が注目されたのはケニアがイギリスから独立する直前、1950年代のことでした。先進国からの援助を受け1970年代より徐々に地熱発電が開発され、、いまでは全部で3つの地熱発電所が稼動。日本等の資金協力を受け、2014年までには新たに2つが出来上がる予定です。
ケニアの発電の55%は水力で賄われており、水不足時には発電能力が著しく下がりました。一方で電力需要は年率5%の勢いで上昇しています。そこで、このオルカリアの地熱発電所を増強。地熱発電の割合を現在の12%から2030 年には30 %まであげようと計画しています。
国立公園の真ん中に位置し、野生のキリンやシマウマが闊歩する、大自然の中の地熱発電所。稼動しているのは日本製の発電機器です。
日本の国際協力でケニア中に灯がともる日が来る―――――
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