http://www.asyura2.com/09/eg02/msg/853.html
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橋下維新やみんなの党も同類だが、市場原理を尊重する人たちは経済論理が見えないらしい。
安念委員長は、「専門家の様々な意見をもとに厳密に議論している。ただ、どれくらいの料金が妥当な水準か、説得力のあるものを示すのは非常に難しい。多くの価格と同じく、電力料金も市場が決めるのが望ましい」と語り、それを受けるかたちで、自ら「電力料金を自由化すれば、短期的には料金が上昇する局面もあるかもしれない」と言っている。
電力供給は、多くの原発がとまっている現状でも、95%近くが(旧)電力会社によって担われている。
そのような状況で、電力料金を自由化すれば、新電力などと競合が考えられる大口は安く、他との競合はありえない家庭向けは高くなるのが“市場の論理”である。
新規参入で競争条件が変わるというあてにならない夢のような話も出されているが、規模のメリットが出る発電所の建設は、環境アセスなどどれほど手間と時間がかかり、旧電力を脅かすほどの供給増加は見込めない。
(いわゆる再生エネルギーは、旧電力が高値での買い取りを義務化されているほど高コストなので、料金自由化とは端から相容れないものである)
安念委員長は、「民間企業の様々なイノベーションが促される。時間帯や需給状況による値下げや節電を促す料金体系など、色々な工夫が出てくるだろう」と根拠の薄い見通しを語っているが、企業行動の論理基準が「利益の最大化」であるなら、必要ではない値下げが行われるはずもない。それが、市場の論理である。
電力供給事業に競争を持ち込みたいのなら、「発送電分離」ではなく、「発電分割+発送電分離」を行うしかない。
いや旧電力各社の分割はやらないというのなら、「総括原価方式」に基づく電力料金の認可という現行の制度しかない。
「総括原価方式」自体が問題なのではなく、「総括原価方式」の基準(中身)が問題なのであり、安念委員長が言うとおり、工事の発注や資材調達のコストや妥当な人件費水準の見直しであり、稼働できない原発や核燃料といった資産をどう処理するのかということなのである。
安念委員長は、「石油や液化天然ガス(LNG)の売り主は相手が電力会社の場合、原価を容易に電気料金に織り込めることを見透かして、高い値段で売っている。電力会社は足元を見られているという印象がぬぐえない」と語っているが、購入ボリュームがずっと小さい新電力は、もっと高い値段で買わされるはずだ。それが、市場の論理である。
石油やLNGの価格が低落する傾向にあると予測されれば、長期大量の購入先となる旧電力はより良い条件を引き出すことができるというのも、市場の論理である。
不思議なことに、あたかも電力会社に対するきついお仕置きのように語られているが、「電力自由化」や「発送電分離」の内実は、電力会社に対する救済策なのである。
※ 参考投稿
「電力自由化」と電力供給活動の特殊性:「電力自由化」は電力会社の勝手気ままな利益追求を許しかねない政策
http://www.asyura2.com/12/senkyo142/msg/113.html
「“旧電力”9社で発電総量の96.5%シェア:その自由化が電力会社に対する“勝手気まま優遇政策”になると理解されぬ日本」
http://www.asyura2.com/12/senkyo141/msg/816.html
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「電気料金は市場が決定」審査専門委 安念委員長
値上げ、有識者はこう見る[日経新聞WEB]
2013/2/20 22:20
関西電力と九州電力の家庭向け値上げの審議が佳境を迎えている。来月以降、東北電力や四国電力の値上げの審査も始まる。経済産業省の電気料金審査専門委員会で委員長を務める安念潤司・中央大教授は燃料費を中心に厳しく査定する方針を表明。料金は市場に即して決めるのが理想的だと強調した。
――関西電力・九州電力の値上げ申請で最大の論点は何か。
「燃料費だ。火力発電所に使う燃料をできるだけ安く調達してもらう必要がある。石油や液化天然ガス(LNG)の売り主は相手が電力会社の場合、原価を容易に電気料金に織り込めることを見透かして、高い値段で売っている。電力会社は足元を見られているという印象がぬぐえない」
「工事の発注や資材調達でのコスト削減も課題だ。東京電力は一律10%の削減を掲げた。関西電力・九州電力は7%のコストカットを計画するが、深掘りできるのではないか」
「人件費は難しい問題だ。電力会社が役員や顧問に支払うお金には疑問がある。一方で一般社員の人件費を大幅に下げると士気の低下も危惧される」
――原子力発電所の再稼働が遅れている。
「7月にも新しい審査基準が出ると聞く。曖昧な基準が出ることを憂慮している。電力会社にとって、具体的にどういった耐震補修が必要かなどが見通せないと、稼働に踏み切れず時間の浪費になる。電力料金の再値上げにつながりかねない」
――東北電力も値上げを申請した。被災地をどう考慮するか。
「被災地の意見は公聴会などでしっかり聞きたい。ただ、現在の法律上、被災地だけを電気料金で特別扱いすることは難しい。被災地の復興は税金を使って国が行う仕事だ。電力会社が料金引き下げを通じて実施するものではない」
――実際に電力料金の査定に携わってみてどう感じるか。
「専門家の様々な意見をもとに厳密に議論している。ただ、どれくらいの料金が妥当な水準か、説得力のあるものを示すのは非常に難しい。多くの価格と同じく、電力料金も市場が決めるのが望ましい」
「電力システム改革で電力料金を自由化すれば、短期的には料金が上昇する局面もあるかもしれない。ただ、民間企業の様々なイノベーションが促される。時間帯や需給状況による値下げや節電を促す料金体系など、色々な工夫が出てくるだろう」
(聞き手は松尾洋平)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2001Q_Q3A220C1000000/?dg=1
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