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アメリカシェール革命のウソとその目的
http://www.asyura2.com/09/eg02/msg/844.html
投稿者 taked4700 日時 2013 年 1 月 26 日 08:01:58: 9XFNe/BiX575U
 

アメリカシェール革命のウソとその目的

 アメリカでシェールガスとかシェールオイルが大量に生産され、近い将来アメリカが石油や天然ガスの輸出国になり、日本がアメリカからシェールガスを輸入すれば現在の高値での天然ガス輸入から合理的な価格での輸入に切り替えることができると言われている。しかし、これは疑わしい。以下、その理由。

1.シェールガスは頁岩というものに閉じ込められているガスだ。閉じ込められているというのは頁岩が薄い層になっていて、その層の中の空間にガスが存在することを言う。シェールオイルも同じで、頁岩の層の中に閉じ込めれている。これを取り出すために、地下3000メートルから5000メートルぐらいまで立坑を掘り、そこからシェール層という頁岩の層にそって横に掘削し、そこへ600気圧とか700気圧程度の水を注入して頁岩にクラックを入れる。これで頁岩に閉じ込められているガスやオイルが横坑とつながるので採掘できるということだ。この水を回収した後、クラックがとじないように砂などを含んだ水を再度注入する。シェールガス田にはオイルが含まれているものとそうでないものがある。オイルは水をくみ出すことで水と混じったオイルを取り出す。当然、地上施設で水とオイルを分離する処理が必要だし、すぐにオイルは採れなくなるようだ。ガスは水をすべて抜き出した後の坑道へ自然とクラックから染み出してくるのでそれを採取する。ガスについては1年程度はある程度の量が採掘できる様子だ。普通のガス田と比べると、シェールガス田は10分の1から10000分の1程度しかガスの採掘量がない。こういった採掘方法なので、従来のガス田や油田での採掘に比べたらとても採算性はよくない。ただ、海底油田を開発するよりはずっと簡単に採掘ができ、初期投資も少なくて済む。

2.現在、アメリカ国内でシェールブームが起こっているのは単に投資資金が流れ込んでいるからの様子だ。この投資ブームはどう考えても合理的なものとは思えない。故意に投資がされてシェールブームが起こされていると思える。

3.アメリカ国内でのシェールガスや天然ガスの価格が低下しているがこれはいくつかの要因がある様子だ。一つはシェールガス田では、ガスの貯蔵施設をほとんどのサイトで作っていないため、採掘するとすぐに市場へ売却する必要があり、一種の投げ売り状態で価格が下落していること。シェールガスの採掘初期にオイルが採れる場合があり、そういったサイトではほぼ同じ投資金額でオイルとガスが得られるので、ガスを低価格で売ってしまってもある程度採算性があること。

4.アメリカで実際にシェールガスの採掘がおこなわれているところのほとんどは人口密度がかなり低いところだ。そのため、数キロごとに井戸を掘削し、あたり一面をシェールガスサイトとして使えるためほとんど環境面の考慮がいらず、環境保護のためのコストをかけていない。つまり、テキサスとかのような人口密度の低い地域でしか実質的には機能しない。環境面の問題は、地下水汚染が起こることだ。クラックがとじないようにするために様々な薬品が水に混ぜられていて、それが地下水を汚染するし、坑道自体が地下水脈とつながってしまい、水道水にメタンガスなどが混じって、水道水に火が付くということが起こっている。

5.韓国がアメリカからのシェールガスの輸入契約を取ったとされるがアメリカから実際にガスの輸出が始まるのは2017年からだ。そして、どうも契約はまだ価格を決めていないようで、その時の時価と言うことになっている様子だ。もしそうなら、韓国はあまり安くは買えないことになる。

6.現在、アメリカやカナダのシェールガス権益、つまり、サイトを開発してガスやオイルを採掘して売る権利がかなりの安値で売りに出ていて、日本企業などが買っているという。しかし、もしもともと利益が出るものならアメリカ企業が買っているだろう。現在安値で権益が売りに出ているのは天然ガス価格が低迷していて開発してもあまり利益が出ないからだという。しかし、一方で盛んにシェールガス開発はされていて、一採掘業者あたり年間数百と言う井戸を掘っているという。この事態自身がシェール革命が実際は一種のバブルで単に投資マネーが注ぎ込まれているからと言うことを示している。

7.シェールガス革命をもたらしたのは水平掘りや岩盤にクラックを入れてガスを採取する技術だと言われているが、これらの技術は10年程度前に既にほぼ開発されていて、これらの技術が現在の革命をもたらしたというわけではない。アメリカでのシェールガスブームは2000年ぐらいから起こっていて、特に2006年から開発が活発化している。日本がアメリカのシェールガスの輸入を考え出したのは2012年からのようで、実際、それ以前にはアメリカ自体が輸出を考えていなかった。

8.アメリカ以外の国では同様なシェールガスブームは起きていない。ポーランドでシェールガスブームが起こるかもしれないとされていて、ポーランドの国土の3割にあたる面積に111の鉱区を設定し、石油メジャーなどが参加して開発が始められようとしている様子だ。しかし、石油メジャーは、ポーランドで権益を確保するならなぜアメリカ国内で権益を確保していかないのか。ポーランドはまだまだ人件費が安く高値でのガス購入はできない。今後急速に経済発展するとしても高値での購入はしないだろう。仮にフランスやドイツへの輸出を狙っているとしてもロシアや中東の天然ガスがあるのでそれと競合してしまう。中国もシェールガスが大量にあるとされるが実際に採掘がはじまるのは2020年以降のこととされている。中国は多くが地震の多発地域であり、地盤条件もアメリカとは異なる様子で、そのための技術開発が難しい様子だ。ともかく、ポーランドも中国もアメリカのようなブームが起こるにはまだまだ時間がかかりそうだ。つまり、本当にシェールガスというものが商業的に成り立つものかどうかの実証はされていない。もちろん、一昔前は海底油田はとてもペイしないものであったわけで、それが現在では盛んに採掘されているのは原油価格の高騰がある。それと同じで、今後も原油価格の高騰が続くはずで、一定以上の水準になれば世界中のシェール資源がペイするものに変わるだろう。ただ、それまでにはいろいろなことが起こるはずで、必ずしも10年先20年先に石油などの化石燃料の大量消費が必要かどうかは分からない。

9.下手にアメリカのシェールガス権益を買うと、その区域自体かその周辺の区域での地下水汚染が問題視され、結局環境回復の費用だけを負担させられる可能性がある。そもそも、アメリカでシェール資源のある地域の半分ぐらいはウラン残渣などで放射能汚染が問題化している。

10.アメリカの天然ガス輸出はアメリカとFTAを結んでいる国に一応限られている。だから、アメリカでのシェールガスブームは、アメリカ産シェールガスを輸入できるかもしれないと日本に考えさせ、TPP加盟へ誘い込む疑似餌とされている可能性がある。

 ともかく、もともとの資源の在り方からして採掘コストを考えたらシェールガス・オイルはあまり採算性があるものではない。そして、現実にアメリカでシェールガスがかなり安価に生産されているのはどうやら単に初期投資ブームが起こっていて、そのため供給過剰の状態が続いているというだけのことなのだ。コストに見合うだけの価格が付けばそれなりに高いものになり、それは多分今の価格の数倍にはなるだろう。そしてその価格で売れるものになるかどうかは不明だ。

 では、なぜ今投資ブームが起こっているか。一つにはアメリカ自体のエネルギー安全保障があるとされている。つまり、アメリカ国内での天然ガス生産余力が落ちつつあり、在来型のガスではないものを利用したいという意向が強くなったのだ。

 もう一つは日本の原発事故だ。原発が停止し、再生可能エネルギーに切り替えようにも時間がかかるため当面はガス火力に頼るしかない。大陸からガスパイプラインがつながっていないため、売り手に足元を見られて日本は欧米の数倍、アメリカの5倍以上の価格で液化天然ガスを買わざるを得ない状況に置かれている。だから、そのままにしておけば日本は一気に財政破たんしてしまうかもしれず、そうなれば日本が保有している米国債が売りに出されてしまう。更に、本格的に日本がエネルギー不足になれば日本は地熱開発を進めてしまうかもしれず、そうなれば日本が高い価格で石油やLNGを買うことが無くなってしまうし、地熱発電でベースロードの電力量を供給し、それこそ原発そのものを止めてしまう可能性があるからだ。

 地熱発電は発展途上の技術だ。発展途上と言うのはまだ実用化できないというのではなく、既に40年以上安定的に商業ベースで発電できている地熱発電所が存在する。その意味ではかなり完成された技術だ。発展途上と言うのは、現在主流の蒸気卓越型の地熱井戸を利用して蒸気だけを取り出してタービンを回すものや熱水卓越型の地熱井戸を利用してシングルフラッシュ発電、ダブルフラッシュ発電という熱水をも取り出すもの、そして今実用化しつつあるバイナリー発電という水よりも沸点が低い媒体を使ってタービンを回すものがある。更に、地下に水源がなくとも地上から地下の熱源に水を供給することで日本ならほぼどこでも地熱発電が可能な高温岩体発電と言う技術や、マグマを熱源として利用するマグマ発電などがある。特に高温岩体発電はかなり技術開発が進みつつあり、中心となる技術の一部はなんと水平掘りと水圧破砕なのだ。

 平成12年に出された「ニューサンシャイン計画 高温岩体発電中間評価報告書」
http://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/286890/www.meti.go.jp/policy/tech_evaluation/e00/03/h12/057.pdf
には次の文言がある。
「水平破砕による人工貯留槽の造成は不安定要素が多いことから、将来的には指向性掘削を駆使した方法などを検討するべきであろう。現状の水平掘削技術を導入すれば、地下の自然条件に左右されやすく人工的に制御が難しい水圧破砕も補助技術としてしか必要が無くなる可能性がある。」

 この報告書には高温岩体発電そのものがアメリカで1970年にロスアラモス研究所で最初に提案されたものであり、日本もIEA実施協定に基づいて1979年からアメリカや西ドイツと共同研究を始めていたとも記されている。

 アメリカで現在使われているシェールガス掘削技術は基本的にアメリカ政府が1980年代から補助金などで育成させてきたものであり、その究極的な狙いはシェールガスにあるのではなく、確実に高温岩体発電にこそある。現在は単に高温岩体発電を急速に普及させるための準備期間であり、業者や設備の充実をやっているはずだ。なお、現在のシェールガスブームの直接のきっかけを作ったとされるテキサス州のミッチェル・エナジー・アンド・ディベロップメント社が実際に水平掘りや水圧破砕の技術を完成させたのは1990年代後半であり、この時期、日本では東電OL殺人事件が起こされてい、また、フジタによる大分県での地熱開発事業がアメリカの総合エンジニアリング会社ベクテルの参加がありながら失敗に終わったことは注目に値する。この時期に、日本では、地熱発電が新エネルギーの補助金対象から外されたのだ。
 
 シェールガス開発に対してのアメリカ政府の関与はウィキペディアのShale Gas の項目に次のように述べられている。
http://en.wikipedia.org/wiki/Shale_gas
Early federal government investments in shale gas began with the Eastern Gas Shales Project in 1976 and the annual FERC-approved research budget of the Gas Research Institute, where the federal government began extensive research funding in 1982, disseminating the results to industry.[2] The federal government also provided tax credits and rules benefitting the industry in the 1980 Energy Act.[2] The Department of Energy later partnered with private gas companies to complete the first successful air-drilled multi-fracture horizontal well in shale in 1986. The federal government further incentivized drilling in shale via the Section 29 tax credit for unconventional gas from 1980-2000. Microseismic imaging, a crucial input to both hydraulic fracturing in shale and offshore oil drilling, originated from coalbeds research at Sandia National Laboratories. In 1991 the Department of Energy subsidized Texas gas company Mitchell Energy's first horizontal drill in the Barnett Shale in north Texas.[citation needed]

Mitchell Energy utilized all these component technologies and techniques to achieve the first economical shale fracture in 1998 using an innovative process called slick-water fracturing.[14][15][16] Since then, natural gas from shale has been the fastest growing contributor to total primary energy (TPE) in the United States, and has led many other countries to pursue shale deposits. According to the IEA, shale gas could increase technically recoverable natural gas resources by almost 50%.

*6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<1306>>TC:38380, BC:17780
 

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コメント
 
01. taked4700 2013年1月27日 10:11:58 : 9XFNe/BiX575U : cGVzjUbJDP
>フジタによる大分県での地熱開発事業がアメリカの総合エンジニアリング会社ベクテルの参加がありながら失敗に終わった

これ以降、大手ゼネコンによる地熱発電事情への参入は無くなってしまった。フジタはその当時の社長が指揮を執って地熱発電事業への参入を考えていた。その社長もその後死亡している。


02. taked4700 2013年1月28日 17:17:12 : 9XFNe/BiX575U : TDd3nXoIPc
なお、シェールガスブームを当て込んで化学工業会社がプラントを主にテキサス州に造っているということですが、これはシェールガスと言うよりは西部一帯を世界の工場地帯、それもある程度高度な工業産品を生産する工業地帯にしたいという計画があるからのはずです。シェールガスは基本的にかなり高く、決して採算に合うものではないので、シェールガスからエチレンを作って、それを原料にいろいろな製品を作るということはかなり難しいはずです。まあ、多少はシェールガスが貢献する部分もあるでしょうが。

03. 背徳の証人 2013年1月28日 20:12:16 : bi3KIv6mN9fxw : EVSlGH9HLQ
それは知らなかった。そうか・・ならばTPPへ日本を引きずり込む為にウラン原子の混入したシェール詐欺を画策しているアメラエルの宣伝に乗ることは全く無い。

>日本は一気に財政破たんしてしまうかもしれず、そうなれば日本が保有している米国債が売りに出されてしまう。

早期にエネルギーの自主供給路線を達成させないと日本は本当に財政破たんしてしまうかもしれない。

その一歩手前の段階で米国債を売り飛ばす勇気のある政治家、閣僚が今の与党に存在するのか?

4月の日銀人事で竹中が総裁になるようなら日本はオシマイの段階にさしかかるであろう。



04. 2013年2月01日 00:16:03 : xEBOc6ttRg
JBpress>海外>Financial Times [Financial Times]
シェール生産の先駆者の引退が告げる革命の終焉
2013年02月01日(Fri) Financial Times
(2013年1月31日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)


創業24年のチェサピーク・エナジーは、ガス生産でエクソンモービルに次ぐ米国第2の大手企業だが・・・
 オーブリー・マクレンドン氏がチェサピーク・エナジーの最高経営責任者(CEO)を退任する。その決断を促した企業乗っ取り屋のカール・アイカーン氏は、勝利のうちに寛大になる余裕があった。

 チェサピーク株の9%を取得したアイカーン氏は、マクレンドン氏の功績を称える声明で、「天然ガス全般の価値、特にチェサピークの価値についてオーブリーが正しかったことを歴史が証明すると確信している」と述べた。

 しかし、歴史の判断に訴えたことは、現時点でチェサピークが深刻な苦境に陥っていることを示す兆候だった。

 マクレンドン氏の後継者の行く手には、アイカーン氏が「チェサピークの潜在性の完全実現」と表現したものの達成に向けた長く、険しい道のりが待ち受けている。

 現在ヘッドハンターが探している次期CEOは恐らく、資産の売却に専念しなければならないだろう。マクレンドン氏が築き上げた会社を解体するのだ。

シェール革命の浮沈を体現するマクレンドン氏

 米国のシェール革命の浮沈を体現する人がいるとすれば、それはマクレンドン氏にほかならない。

 天然ガスの価値を熱心に説くカリスマ的なセールスマンであるマクレンドン氏は、24年前に従業員たった10人でチェサピークを創業し、同社をエクソンモービルに次ぐ米国第2位のガス大手に育て上げた。

 シェールガスとシェールオイルの生産を可能にした水平掘削や水圧破砕などの技術的進歩に貢献したわけではないが、新技術の潜在性を誰よりも理解していたと言える。

英雄時代が終わり、未来は資金力のある大手の手に


オーブリー・マクレンドン氏は石油や石炭よりもクリーンで安全な燃料として天然ガスを積極的に売り込んできた
 マクレンドン氏は偉大な「ランドマン(地権交渉人)」――地主を説得し、所有地での掘削権のリース契約を結ばせる仲介者――だった。

 自身のような地権者を何千人も集め、チェサピークは彼らとの契約を通じて、最も生産性の高い米国のシェール埋蔵地のほぼすべてに多大な権益を確保した。

 マクレンドン氏が53歳にして「引退」することは、米国のシェールの英雄時代が終わったことを示す兆候だ。

 「シェール革命は、高い天然ガス価格と技術革新が原動力となってきた」。コンサルティング会社PFCエナジーのロビン・ウエスト氏はこう言う。「今では、安いガス価格という新たな問題が生じている。また、シェール革命の火蓋を切った最先端の独立系企業は、もはやそれほど重要ではなくなった」

 エクソンやシェブロン、BP、ロイヤル・ダッチ・シェル、スタトイルなどの国際的な石油・ガス大手は軒並み、北米のシェールオイル・ガスの生産で存在感を高めてきた。未来を手中に収めるのは、コモディティー(商品)価格の低迷を乗り切れる潤沢な資金を持った企業であり、チェサピークはその一角に残れないかもしれない。

シェール革命で急落したガス価格が今度は業績の足かせに

 2008年に100万BTU(英国熱量単位)当たり13ドル超の高値を記録した米国ガス価格は、シェール生産の急拡大で大きく下落してきた。現在は3.3ドル近辺で推移しており、一部のアナリストの予想では、2010年代末まで4ドルを大きく超える可能性は低いという。

 マクレンドン氏が昨年の会長職辞任に続き、今回CEO職も辞したのは、チェサピークの油井・ガス井の持ち分を担保に個人的に融資を受けたことが露見し、同社のコーポレートガバナンス(企業統治)に対する懸念が生じた後のことだ。


最近ではヤフー株の買い占めで話題になったカール・アイカーン氏〔AFPBB News〕

 だが、アイカーン氏やその他の株主は、この新たな時代にチェサピークを率いる人物としては、マクレンドン氏が適任ではないとも考えたようだ。

 米国の他のガス大手と同じように、チェサピークも従来の「ドライガス」の掘削から徐々に手を引き、原油や、石油化学製品の原材料として使われるエタンなどの天然ガス液の掘削にシフトしてきた。

 だが、この対策も万能薬ではなかった。豊富な供給量は天然ガス液の価格も押し下げており、一部地域では原油価格にも下落圧力がかかっているからだ。西テキサスなどの地域では、生産量の拡大が原油を市場に輸送するために必要なインフラに負荷をかけている。

 その結果がチェサピークの財務の逼迫だ。チューダー・ピッカリング・ホルトのアナリスト、マット・ポルティジョ氏によると、事業活動から得られるキャッシュフローは今年42億5000万ドル前後になる見通しで、昨年の推定32億ドルよりは上向くものの、2011年に稼いだ59億ドルをまだ大きく下回る。

財務悪化に苦しむチェサピーク、縮小均衡を目指すが・・・

 マクレンドン氏が残す遺産には、2012年9月末時点で171億ドルに達した純債務の大きな負担もある。その一部は、チェサピークが前払いで現金を受け取る見返りに将来生産する石油やガスを現物で支払う「ボリューメトリック・プロダクション・ペイメント(VPP)」などの不透明な金融契約を通じて積み上げた債務だ。

 財務が逼迫していることは、同社が投資を減らさざるを得なくなっていることを意味する。新規の油井・ガス井の掘削・完成にかける費用は、昨年の約83億ドルから今年は60億ドル程度に落ち込む見込みだ。

 チェサピークは2010年以降、比較的収益性の低いガス井を掘る掘削装置の数を減らしてきたが、昨年上半期以降は原油や天然ガス液を掘る掘削装置の数も減らしており、将来見込める生産量とキャッシュフローが減っている。

 米国のガス価格の好転がチェサピークの運命を一変させる可能性はある。「この時点からチェサピーク株を保有するなら、ガス価格の大幅な上昇に賭けることになる」とポルティジョ氏は言う。もっとも、同氏は大幅な価格上昇は見込んでいない。

 帳尻を合わせる方法は、資産の売却を増やすことであり、チェサピークには確かに売る資産がたくさんある。

 同社が持つペンシルベニア州マーセラス・シェールの権益だけで最大80億ドルの価値があると評価されており、チェサピークは米国上位10位のシェールオイル・ガス地域では自社が1位か2位の借地権者だと話している。

容易ではない資産売却

 しかし、売却を強いられていると見られた場合、資産の売却は容易ではない。昨年、チェサピークは資産売却で130億〜140億ドルの資金を調達しようとしたが、実際の売却額は10億〜20億ドルほど目標に届かなかった。

 サスケハナ・フィナンシャル・グループのアナリスト、デュアン・グルバート氏は、投資家は概ねマクレンドン氏の退任を歓迎した――同氏の退任発表後の時間外取引でチェサピーク株は9%上昇した――ものの、結局は惜しまれることになるかもしれないと言う。

 「彼は素晴らしいセールスマンで、パートナーとの関係構築・維持が極めて得意だ」とグルバート氏。「誰が新CEOになろうとも、オーブリーのようなタイプのやり手ではないだろう」

By Ed Crooks


05. taked4700 2013年2月07日 23:57:45 : 9XFNe/BiX575U : upehBz5BZU
東京電力がアメリカのシェールガスを買う契約をするということです。2017年からで中部電力と同じ年からです。価格はその時の時価ということですから、多分かなり高い買い物になるのではないでしょうか。

06. 2013年4月30日 11:31:16 : lzOcTKsnP6
シェール革命を否定するのは自由だ。

しかし現実に米国では既にガスの国内自給率は90%に達し、国際エネルギー機関(IEA)は2〜3年後には完全自給で輸出開始できると予測している。また2020年には原油まで自給体制に入ると発表している。

このためヨーロッパのガス価格は低下しロシアが大きな市場を失いつつある。危機感を持つロシアは日本に新しい市場を求めてきている。

日本の企業もシェール革命には無関係でなく、フラックサンドは住友ベークライト・新東工業、高合金油井管(スーパーアロイ・13%クロム含有)は新日鉄・住友金属、その他プラントメーカー・重機メーカーなどが関連する輸出でシェール革命に寄与している。

投稿者はかなり古い情報を提供しているものとみられ、地下水に影響が出ることなど既に解決済みだ、2000m〜3000mでは当然地下水脈に干渉しない掘削技術が開発されている。日本の技術で実現した油井管の高度化もその一つだ。

今や動き出したプロジェクトは余りにも強大でこれを引き戻すことはできない。


07. taked4700 2013年4月30日 23:22:57 : 9XFNe/BiX575U : uD2QBc2nyY
>>06

>地下水に影響が出ることなど既に解決済みだ、2000m〜3000mでは当然地下水脈に干渉しない掘削技術が開発されている。日本の技術で実現した油井管の高度化もその一つだ。

どうもおっしゃっていることが分かりません。「地下水に影響が出ることなど既に解決済み」という話しは初耳です。今年になってからの報道でも地下水への影響が深刻だという記事を見たことがありますが、どういう形で解決されたのでしょうか。

なお、「日本の技術で実現した油井管の高度化もその一つだ」というのは誤解のはずです。なぜなら、水圧破砕の際に水に転嫁される様々な薬品が地下水汚染を引き起こしているのであり、それは油井管とはあまり関係がないからです。確かに、油井管のさび止めなどのために特定の薬品が使われることがあるようで、その薬品を使わないようにするためには「日本の技術で実現した油井管の高度化」が役立つと思いますが、地下水汚染の大部分はクラックを維持したり、ガスを継続的に排出させるためのものの様子です。


08. 2013年5月01日 13:20:19 : lzOcTKsnP6
地下水脈の深度と頁岩の深度は全く違う。油井管の精度と還流技術が問題になる。
汚染の問題のあるプラントは淘汰される。

09. taked4700 2013年5月01日 22:16:47 : 9XFNe/BiX575U : NPpefJo1yg
>>08

>地下水脈の深度と頁岩の深度は全く違う。油井管の精度と還流技術が問題になる。

 其れは確かに、「地下水脈の深度」と「頁岩層の深度」は同じではありません。しかし、隣接していると言ってもいいほどなのです。シェールガスの採掘は地下4000mほどです。そして、地下水脈は地下2000mとか3000mです。そして、フラッキングは統計的な意味で平均100mとか200mという長さのクラックを入れますが、場合によっては地下水脈までクラックが到達してしまうことがあります。
そもそも、水平掘りでは克服できない問題があるのです。それはシェール層、つまり、頁岩層の厚さです。シェール層の性格と言うかシェール層がどのような状態で形成されてきたかと言う問題で、全体としてシェール層が褶曲をしている場合があるのです。それも複雑な褶曲をしている場合があるはずで、その場合に水平掘りがどの程度効果があるかは疑問です。つまり、シェール層に均一な厚さがあったと仮定しても、シェール層が曲がりくねっているために水平掘りをしてもシェール層に厚さの差が出てしまうのです。現実にはシェール層の厚さ自体がかなり変化しますから、水平掘りと言ってもそう単純な問題ではない様子です。

>汚染の問題のあるプラントは淘汰される。

汚染があるかどうかは実際にフラッキングしないと分からない様子です。確かに同じ油井を何度もフラッキングしてガスの回収をするようですから、一回目で問題があれば2回目以降はやらないということになるとは思います。しかし、そもそも1回目で問題になれば地下水汚染は起こってしまっているはずです。

なお、シェールガス採掘の問題は回収したフラッキング水の保管の問題もあるとされています。つまり、フラッキングに使った水をくみだすのですが、そのくみ出した水を地域の川へ流してしまったり、沼に捨ててしまうことがかなり起こっているのです。

また、廃棄された油井からさまざまな有機化合物が大気中へ漏れだすということも指摘されています。


10. 2013年5月11日 15:57:26 : lzOcTKsnP6
シェール革命によって危機に面した米国経済は復活しつつある。
円安要因はシェール革命による米国経済の復活にあると云うのは経済アナリストの定説になっている。

雇用の回復、財政の崖からの脱出、この勢いは誰にも止められないだろう。
もはや1〜2年前の否定的見解は米国内では影を潜めつつある。


11. taked4700 2013年5月14日 18:00:41 : 9XFNe/BiX575U : BwnQRMh0MU
>>10

>円安要因はシェール革命による米国経済の復活にあると云うのは経済アナリストの定説になっている。

円安要因はシェール革命による米国経済の復活ですか。福島第一原発事故の影響も近い将来起こるであろう次の大震災の被害も円安要因ではないのですね。

アメリカではシェール革命がドル高要因になり、日本では311の大震災が円高の原因になる。とても面白いですね。

その内、日本人はゴキブリと同じだと評論家が言い出したら、みなさんはそう信じるのでしょうね。


12. 2013年5月19日 17:08:59 : lzOcTKsnP6
5月19日毎日新聞朝刊

「米シェールガス輸入初許可」「燃料費抑制日本に光明」
米エネルギー省(DOE)は17日、米国産天然ガスの対日輸出を許可すると発表した。(2017年にも開始)---シェールガス革命に沸く米国から安い天然ガスを買う道が開ける事になる。

原発停止や円安による燃料費高騰に直面する日本にとって「エネルギー調達の多様化と価格低下の大きな一歩になりそうだ。

以上の報道は米国のシェール革命が着実に進展していることを示している。


13. taked4700 2013年6月03日 18:34:53 : 9XFNe/BiX575U : eHQQ5wNJa6
>>12

>以上の報道は米国のシェール革命が着実に進展していることを示している。

原発でも同じようなことが起こってきました。日本では原発立地が地域への補助金とセットにされ、そう簡単に廃炉の判断さえできないようにされた。

そして、311が起こるまではどのマスコミも原発推進の報道を繰り返していました。中には、現実には全く進展していないアメリカでの新規原発建設の契約を日本メーカーが取ったという報道が新聞の一面を飾ることもあったのです。すべて、嘘っぱち。

いい加減にこういった報道のウソに騙されるのは止めないと本当に犠牲になるだけです。

アメリカで投資がシェールガスにされているのは確かです。しかし、それはそれなりに計算されています。大きな目的は脱原発です。アメリカが脱原発をしたいとき、今以外の方法があると思いますか。まさか、原発は危険だし、核廃棄物を増やしても処分方法がないから止めるととでも言うと思いますか。


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