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Photon誌による再生可能エネ100%シミュレーション(その1) 「村上 敦のエコ・エッセイ」
http://www.asyura2.com/09/eg02/msg/838.html
投稿者 蓄電 日時 2013 年 1 月 02 日 14:47:35: TR/B2VKXCoTU6
 

Photon誌による再生可能エネ100%シミュレーション(その1)
http://blog.livedoor.jp/murakamiatsushi/archives/51748021.html


さて、ツイートでは告知していたんですが、Photon誌2012年10月号に掲載された太陽光発電(PV)、風力発電(OnshoreWind=OW)による100%電力の供給についての記事について今回は紹介しましょう。

この記事は、Photon誌が2年の歳月をかけて独自に開発したシミュレーターで、ドイツの全電力供給を太陽光発電、陸上風力発電だけで供給させようとした場合、そのときに必要になる設備の規模と蓄電裝置、そして必要な技術水準と予想される電力価格について占っています。

ドイツ語が読める方は、非常に興味深い記事なので、是非、原文にトライしてみて下さい。

http://www.photon.de/index.htm


本来は記事を丸ごと翻訳してみてもよかったんですが(15ページにもわたる大きな特集)、時間もないし、許可を取っているヒマもなさそう、かつ、おそらく日本の方には意味不明のところがかなり出てくると思われるので、とりあえずはどんな内容で、どんな考え方、計算の仕方で、この100%シナリオを想定しているのか、そして結論はどんなものになったのか、ざっくりと要約して紹介しようと考えなおし、日本へ向かう飛行機の中で(今回はろくに眠れなかった…)、そして時差ボケに悩まされて眠れない夜をホテルで悶々と過ごしている時間帯にブログを書きはじめました。

さて、皆さんのお口に合いますかどうか。

Photon誌は、太陽光発電業界、および再生可能エネルギー業界では非常に力を持っている専門雑誌で、現在ではドイツのみにとどまらず世界各国語版(英語、フランス語、スペイン語、中国語など)や製造業や研究セクターの業界向けのプロ仕様の雑誌(PhotonPro誌)、あるいは各種の調査・研究機関、施設を独自に構えており、企業へのコンサルティングや読者出資のメガソーラーの取り組み、PV稼働の感知装置の開発・サービスの提供なども含め、かなり手広くやっており、もはや雑誌社というより応用研究所という体と成長している雑誌社です。日本にはそんなの見当たらないですよね。


そして今回は、Photon誌が、これまでにドイツの各専門家機関が提供している各種の調査報告書、シナリオ、シミュレーションでは満足することができなかったため、Photon誌所属の専門家が、独自にシミュレーターを2年がかりで構築、それを納得できる条件で動かすことで、100%供給シナリオの道筋を読者に提供しようという、度肝を抜く取り組みが行われました。

(続く)  

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コメント
 
01. 2013年1月02日 16:26:46 : vR7xofWEE6
Photon誌による再生可能エネ100%のシミュレーション(その8)
http://blog.livedoor.jp/murakamiatsushi/archives/51748030.html


さて、それでは最終的な電力コストです。

FITでは、20年間の買い取り期間が続きますから、PVについては、2030年前に設置された分の負担額(6セント/kWh)よりも高額での買取価格が2030年を超えても続きます。また、P2Gの蓄電施設は、想定のコストは2030年よりも前に達成できると思われますが、それよりも前に設置された分は割高になることでしょう。2030年以降は安価になってゆきます。

それらを総合的に考慮すると、2030年当初は、以下に示す数字よりも若干高額になることは避けられませんが、大きな数字で食い違うことはないと確認されたそうです。

最終的に2030年にPV+OWで100%に到達し、PV稼働は30年ごとに更新(毎年5.7GWの更新)、OW稼働は20年毎に更新(毎年11.6GWの更新)で、持続的に電力コストはどのように安定化されるのかを記事では掲載しています。

・PV+OW+P2Gにおけるサーチャージ額は、事業者規模による例外措置を排除するなら、全電力発電量の買取り(655TWH、平均買取価格7.3セント/kWh)を全消費量(460TWH)で負担するとインフラを考慮して2030年の貨幣価値で10.4セント/kWh。これを2011年の貨幣価値で逆換算すると7.4セント/kWhとなります。

・もし、インフラ率以上に今後も化石燃料が毎年高価になると仮定すると(これは過去10年の経験からも妥当だと思われる値で4%を用いています)、実質的な2030年の電力サーチャージの個人負担の感覚的経済負担は、現在の貨幣価値で言うところの5.3セント/kWhとなります。

・つまり電力調達価格は、すべてサーチャージで賄われますから、この10.4セント/kWhに系統使用料金、税金、各種の料金が上乗せされ、電力販売額となります。電力系統の大々的な拡張を必要としないシナリオですから、家庭や事業者、産業に供給される電力コストは、インフラを考慮すると、現在の負担額とそれほど変わらないレベルに落ち着くことでしょう。

・さらに、固定買い取り制度は20年を今後も基本としてコスト計算が行われています。とりわけPVはそれ以上稼働することが予測されますので、20年を超えた施設からの発電電力はかなり安価に調達できるはずです。

時代が進めば進むほど、安価になる、高額な時期でも、今の水準からそれほどかけ離れた価格にはならない、これが今回のPhoton誌がシミュレートした結論となりました。

そうそう、このシミュレーションでは、揚水、P2Gだけではなく、短時間用の蓄電施設としてバッテリーを導入するとコストにどのように影響するのかの試算も、各種条件で行われています(バッテリー導入によるコスト増と、その効果によるPV+OW+P2Gの容量縮小効果によるコスト減)。

もし、バッテリーが50ユーロ/kWhという現在の水準からは想像されないほどとんでもなく安価になったとしても、残念ながらバッテリーの導入は、電力コストを低下させない、増大させるというのが結論です。

再生可能エネルギーによって大きな割合を想定していない日本では議論の俎上にも上がっていませんが、このくらいのレベルの議論がボチボチと始まることを期待して、時差ボケの暇つぶしを終えたいと思います。

(終わり)


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