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バイオマス発電促す 政府、設備導入に補助
全国20カ所選定、販売規制も緩和
政府は生ごみや間伐材を燃料に転用する「バイオマス発電」の拡大を後押しする。来年度から発電設備の導入を補助する制度を創設。発電した電気を有利な価格で売って量を増やせるように、販売先を限定している規制も緩める。ほとんど手つかずだった資源の活用を促し、2020年度までに280万世帯分をまかなう電源に育てる考えだ。
環境省によると10年時点のバイオマス発電の供給力は240万キロワットで、太陽光(362万キロワット)や風力(244万キロワット)よりも低い。太陽光などに比べて施設を導入する機運が広がらず、関係省庁は連携できる支援策を検討してきた。
環境省と農林水産省は発電施設の建設費用の半分を補助する制度を13年度から新設。市町村が建てた廃棄物の焼却施設に発電機を併設できるようにする。家庭や食品メーカー工場などから集めた食品廃棄物などを発酵させ、燃料となるメタンガスを取り出す設備や、間伐木材を刻み「木質チップ」と呼ぶ固形燃料をつくる設備も対象にする。
あわせて全国20カ所をモデル地域として募り、燃料となる廃棄物の収集から発電、電気の供給まで地域内で完結するエネルギーの「地産地消」も進める。家畜のふん尿などバイオマス発電の燃料が豊富な農村地区を中心に候補地を選ぶ方針だ。30年にバイオマスの供給力を600万キロワットまで増やすことを目指す。
食品廃棄物は年間約2千万トン発生しているが、大半は埋め立て処分されている。間伐材も運び出すコストがかかるため、年間800万トンが森林に放置されたままになっている。有効活用すれば、全世帯の5%にあたる280万世帯分の電力をバイオマスでまかなえると政府は試算している。
政府は電力の融通を促す規制緩和も必要とみている。電気の販売先を東京電力など大手の電力会社に限っている現在の仕組みを改め、来年度から新電力(特定規模電気事業者、PPS)にも売れるようにする。
経済産業省の調査では3カ所以上のゴミ発電所を持つ全国7市のうち札幌市や大阪市など5市が、既存の電力会社に随意契約で電気を販売している。民間企業との取引には競争入札が必要だが、慣行で電力会社を優先しており、販売価格が安く抑えられる傾向もみられる。政府は地域振興につながる効果を期待し、入札義務化などを自治体に求める構えだ。
▼バイオマス発電 木くずや食べ物、家畜の排せつ物など主として生物に由来した物質を燃料に電力を生み出すこと。再生可能エネルギーの一つで、日照時間や風量に左右される太陽光や風力に比べ安定して発電できる。環境への負荷は小さい半面、廃棄物の収集や処理など発電にかかるコストは高めだ。政府は国の決めた固定価格で電力を買い取る枠組みを適用し、普及を促している。
[日経新聞11月9日夕刊P.1]
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