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穏やかで常識的な政策 エネルギー政策
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平成24年8月20日 武田邦彦(中部大学)
このところ、日本の政策は振れ幅もおおきく、政策もあまりにも極端になっています。ここではエネルギー政策や環境政策から検討を始めますが、このような「科学系」の内容を含む政策ばかりではなく、「年金」、「減税」、「教育」などのお金や子供の政策もおおきくぶれて、国民が将来に安心感を持てなくなっています。
そこで、このシリーズでは「穏やかで常識的な政策」を提案していきたいと思います。第一回は「エネルギー」で、順次、お金、外交などに進みたいと思います。
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石油、石炭、天然ガス(シェールガスを含む)がいつ無くなるかは難しい問題です。石油会社は40年、国家レベルでは200年、そして資源学では1000年というところでしょうか。
なぜ、このような違いが出てくるかというと、石油会社は「資源がないと言わないとガソリン価格が下がる」という事情があり、資源学は「鉱脈から言って、簡単にはなくならない」と考えていて、国家は利害関係があるので、中間的な数字を使っているということです。
このような場合、「誰が何を言っているか」ではなく、「誰が何をしているか」から考えた方が正確に判断できます。
石油、石炭、天然ガスなどを扱う会社はものすごく規模がおおきく、メジャーとかスーパーメジャーとか言われます。それらの会社は「残りあと40年」と口では言っていますが、心の中でそのように考えている節はありません。というのは、石油などは発見してからそれが出荷されるまで早くても20年ほどはかかります。
だから、もし彼らの言うとおりに40年でなくなるとすると、彼らの仕事はおおむねあと20年でなくなってしまいます。比較的、小さな会社でも「残り20年のビジネス」ということになると、「それに変わる仕事を作っておかなければ」と考えます。
つまり、「後40年」が本当であって、日本で話題になっている「自然エネルギー」が有望とすると、彼らは常に100年ほどの展望でビジネスをしていますので、自然エネルギーの開発に手を出しているはずですが、本腰は入っていません。
つまり、素直に考えれば「資源がなくなるというのは価格のことを考えてのことで、100年以上は持つと内部では結論が出ている」と考えるべきでしょう。日本以外の外国の政府もそのように考えているからこそ、今後30年は化石燃料に依存する計画なのです。
また、1970年代の第一次石油ショックで、「あと30年」と言われ大騒ぎをして、大きな損を出した日本ですが、もうすでに一回、ダマされていることを思い出す必要があります。
「技術と資源」の話は別の機会にしますが、「日本には資源がない」と言いますが、それは「資源が枯渇しそうな場合に問題」であって、資源が充分にあれば、「資源セキュリティー」の問題は発生しません。今は、資源が比較的豊富にあるので、日本に技術があれば資源は容易に手に入るからです。
たとえば、「自動車」という製品も資源の塊ですが、「自動車セキュリティー」という言葉はありません。自動車を生産していない国では「我が国は自動車を生産していないので、もし外国が輸出してくれないと困る」ということになりますが、そんな心配はしていないのです。
つまり、資源も自動車も、資源であり、工業製品ですから(資源は今や工業製品)、食料などと違って国際的な商品なのです。ましてシェールガスは全世界に広がっていて少なくとも34カ国以上でとれるといわれています。自動車生産国以上の国の数です。
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原発がエネルギーから外れた今、日本の基本政策は「当面、100年程度は化石燃料に依存する。技術を高めておく」というのが穏やかで常識的な政策なのです。
世界各国が化石燃料に依存しているのに、日本だけが特殊な考えに染まっているのは、それなりの理由があるのですが、そろそろ「国際的感覚」をもって「日本に有利」に政策を切るべきと思います。そうしないと、私たちの世代は良くても、子供の世代はひどく貧乏な国になってしまいます。
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