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再生可能エネルギーの真実:日経BPの再生可能エネルギーについての特集記事の紹介
http://www.asyura2.com/09/eg02/msg/669.html
投稿者 taked4700 日時 2012 年 5 月 22 日 11:26:26: 9XFNe/BiX575U
 

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120323/230201/
に載っている紹介記事がとてもいいです。

再生可能エネルギーの真実
今年7月1日から固定価格買い取り制度(日本版FIT:Feed In Tariff)が導入されるのをはじめ、日本が再生可能エネルギーの普及に本腰を入れ始めている。この連載では、風力や太陽光などの発電の種類ごとに、その実力と課題を解説する。
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山家 公雄(やまか・きみお)

1956年山形県生まれ。1980年東京大学経済学部卒業。日本開発銀行入行、新規事業部環境対策支援室課長、日本政策投資銀行環境エネルギー部課長、ロサンゼルス事務所長、環境・エネルギー部次長、調査部審議役を経て現在、日本政策投資銀行参事役、エネルギー戦略研究所取締役研究所長。近著に『今こそ、風力』


以下、そのうちの最新記事のコピーです。

地味な印象だが実力はピカイチの地熱発電
世界第3位を誇る地下資源を生かす【1】
2012年5月17日 木曜日山家 公雄

 地熱発電への期待が大きい。エネルギー関係者の議論では、地熱の評価は、自然エネルギー推進者からも保守派の学者からも、立場を超えて非常に高い。自然環境保全や温泉事業者の一部を除いては、反対するものは少ないと言ってもいい。

 地熱開発会社にとっても、新しい事業を検討できる状況は悲願であった。2002年にRPS制度(電気事業者に一定量以上の新エネルギーを利用した電気の利用を義務付ける制度)が導入された際は、実質的に対象除外となり、2009年には新エネルギー法の対象から外れた。東電が1999年に八丈島で3300キロワットの地熱発電を運転開始して以来14年間、開発が途絶えている。撤退する事業者も出た。

 再生可能エネルギー電力固定買い取り価格制度(FIT)の対象となり、条件付ながら国立・国定公園の特別地域で開発ができる環境は、まさに画期的であり、漸く再スタートの地点に立ったことになる。

 一方で、地下資源開発特有のリスクがあり、現場では反対者も多い。開発に超長期の時間がかかり、いつどの程度の電力が供給されるか不透明でもある。今回から、数回にわたり、地熱発電を解説する。


原発代替として魅力に富む

 地熱発電は、太陽光や風力に比べて地味な感は否めないが、設備利用率が非常に高く、ベース電源として発電量(アワー)を稼げるメリットがある。資源エネルギー庁は平均設備利用率として70%を採用している。条件が良ければ、フル稼働も可能である。出力安定化のための投資は不要であり、これを加味する実質的なコストは小さくなる。また、蒸気量を確認できれば、技術的には従来の発電所と基本的に同一である。ベース電源の役割を担ってきた原子力への依存が低くなっていく中では、無理なく代替できる貴重な電源である。玄人受けする電源と言える。

 他の自然エネルギー資源と比べて、世界的にみても可能性がある。化石資源を含めた開発可能なエネルギー資源としては、日本が資源量で唯一優位性をもつものといっていい。世界には、日射量が豊富なところ、風況がよいところ、広大な土地を確保できるところがあり、太陽光や風力は、そうした場所に比べて日本の見劣り感は否めない。世界有数の火山大国である日本は、地熱発電が可能となる蒸気や熱水のポテンシャルは世界第3位を誇る。しかも、発電関連設備の製造は、日本メーカーが世界で7割のシェアを誇る。産業面での効果も期待できそうだ。

 筆者は、再エネのなかでは特に風力のポテンシャルと経済性を評価しているが、その際にかなりの確率で「地熱はどうですか、期待できませんか」と聞かれる。多くは地熱の可能性に気が付いており、マジョリティーはそれが普及することに対して違和感を持っていないのである。


180度転換した政策

 こうした状況や雰囲気を反映して、政府は、これまで極めて慎重だった政策を180度と言ってもいいほど転換し、助成策を相次いで打ち出している。経済産業省は、FITの条件決定に先駆けて、2012年度予算に包括的な助成措置を盛り込んだ。地表調査費用の8割、掘削調査費用の5割に対して、91億円の補助金を用意した。また、産業投資特別会計を通じて、開発事業に対して60億円規模の支援を行う。JOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)による出資・債務保証制度などの創設である。法律を改正して機能を整備する。

 注目のFIT条件は、事業者側の要請をほぼ認める買い取り水準(期間15年、買取価格1.5万キロワット以上で26円、1.5万キロワット未満で40円)を提示している。環境省は、国立・国定公園の特別地域の一部について、条件付ながら垂直掘削を認める規制緩和を決定した。また、温泉事業者との調整が円滑に行われるための環境整備を目指すガイドラインも見直した。これらは3月に、都道府県あてに通知されている。脱原子力依存の方向の中で、ベース電源となる地熱発電の価値が大きく高まったことを示すものと言える。自然公園内開発を巡る議論に関しては、次回取り上げる。


地開協が東北地方の候補地を名指し

 こうした政府の前向き動きを受けて、具体的な開発構想が相次いで表面化している。地熱開発を行う事業者の団体である「日本地熱開発企業協議会(地開協)」は、東日本大震災後の脱原発依存の方向や東北地域復興の緊急性を受けて、宮城県を除く東北5県における可能性調査を行い、2011年9月に公表した。主要な地域を挙げると下北(青森)2.5万〜5万キロワット、八甲田(青森)23万〜46万キロワット、八幡平(岩手)86万〜172万キロワット、栗駒(秋田)36万〜72万キロワット、蔵王(山形)データなし、磐梯(福島)125万〜250万キロワットであり、5カ所を合計するとポテンシャル出力は273万キロワット〜546万キロワットとなる(資料1)。

資料1.東北6県の地熱開発有望地区
 この資料から、特別保護地域と第1種特別地域を除外し、標高等の地形的制約などを考慮すると、具体的な開発可能量は6地域、17地区で計74万キロワットとなった。このうち57万キロワットと約8割が第2種・3種公園での立地となる。これは垂直掘削を前提としており、傾斜掘りだと半分以下に減少する。井戸元からの水平距離が、最大で1キロメートルに限られるからである。また、磐梯地域が250万キロワットと最大のポテンシャルを持ち、当面開発できる量も27万キロワットと4割が集中することが分かった。


政府も国立・国定公園の候補地を検討

 また、2012年に入り、政府内で規制緩和の動きが具体化するのに合わせて、開発候補地がメディアに登場するようになる。特に、環境省が2月21日に垂直堀りの容認を認める論点整理を発表して以降、具体的な報道が相次いでいる。3月5日付けの朝日新聞では、「国立・国定公園内での地熱発電」との見出しで、環境、経産両省が検討している候補地として東北・北海道6地区を掲げた。国立公園では、福島市などの磐梯・吾妻地区27万キロワット、釧路市など阿寒地区15万キロワット、上川町の白水沢地区3万キロワット、秋田県鹿角市の藪の森地区4万キロワットである。国定公園では、秋田県湯沢市の子安地区7万キロワットおよび木地山・下の岱地区3万キロワットである。規制緩和のインパクトは大きい。

 また、日経新聞は、3月23日付の朝刊1面トップで「国内最大の地熱発電を福島で開発する方針を出光興産などが決めた」と報道。地熱開発事業者などが共同歩調をとり、有力候補地で調査を行い、事業会社をつくろうとしていることが判明した。


FITで蘇る地熱

 苦境に陥っていた地熱開発が蘇るきっかけとなったのは、言うまでもなく、FITの導入である。当初案では、太陽光以外は一律15〜20年、15〜20円として取り扱われており、この水準では地熱の出番はほとんど期待できなかった。三党合意の修正により個別に条件を決めることになったことから、希望が出てきたのである。

 各業界が政府の委員会などを説得するために事業データを収集・整理し説明を工夫したが、なかでも地熱は説得力があったとの評価を受けている。数が少ないとはいえ、個別事業の詳細なデータを積み上げて、コストとリスクを示したのである。


詳細な個別事業データで説得

 地熱開発事業協議会(地開協)が各種委員会に提示したデータを参考に、コスト等算定委員会および調達価格等算定委員会が発電コストやFIT価格などを算定した。10年以上にわたって新設がないこともあり、現存する発電所のほとんどは旧電源開発調整審議会に資料を提出しているので、発電所ごとの詳しい資料が残っている。現存する17カ所・20ユニット・54万キロワットすべてのデータを基に仕様や建設コスト、発電コストが提示され、買い取り条件を決めるための基礎になっている。数は少ないが、自家発電の小規模なもの(霧島国際ホテル100キロワット)から6万キロワットを超える大規模発電所(柳津西山)まで、バラエティに富む。

 資料2は、調達価格等算定委員会で地開協が説明した、3万キロワットのプラント建設に関連する数字である。

資料2.地熱発電のコスト構造
ーコスト等検証委員会試算と地開協試算の比較ー
 左からコスト等算定委員会での試算とその修正、そして右端に地開協試算が並ぶ。地開協の試算は、コスト等算定委員会での検討時以降、変わっていない。コスト等算定委員会では、コストの下限と上限が明示されたが、建設単価はそれぞれ1キロワット当たり70万円と同90万円で、建設費は210億円と270億円である。平均は80万円で240億円となる。この数字に調査費と系統連係費用を加えると267億円となる。税引き後のIRR(投資収益率)8%を実現する売電価格は、1キロワット時当たり25.32円となる。同じ前提での地開協試算では、25.80円となり、この水準を要望した。調達価格等算定委員会では、この事業者試算と要望をほぼ全面的に受け入れ、1.5万キロワット以上で27.30円、1.5万キロワット未満で40円とした(いずれも税込み)。

 資料3は、地開協が個別事業を規模毎(出力1万キロワット、3万キロワット、5万キロワット)に積算したデータについて、特に重要と思われる項目を抜粋したものである。

資料3.日本地熱開発企業協議会(地開協)のプロジェクト積算

項目/(発電出力) 1万キロワット 3万キロワット 5万キロワット 備考
発電・井戸概要        
設備利用率(%) 84 83 83  
生産井本数(本) 4 11 17 操業開始前必用本数
減衰率(%/年) 3 5 5  
掘削本数(本) 2 8 13 操業開始後15年間
還元井本数(本) 4 11 17 操業開始前
掘削本数(本) 3 9 13 操業開始後15年間
建設費(億円)        
調査開発費 30 64 93  
建設費 101 194 285  
初期投資合計 131 258 379 補助金控除前
(うち抗井掘削費) (30) (81) (126)  
(同上率) (23%) (32%) (33%)  
建設単価(万円/キロワット) 131 86 76  
追加資本費(億円) 13 43 67 補充生産井・還元井掘削費
経済性        
初期投資(億円) 127 261 372 補助金控除後
発電原価
(円/キロワット時) 21.89 14.98 12.81 15年間平均

(出所)地開協資料を基に作成

 建設単価をみると、1万キロワット級で1キロワット当たり131万円、3万キロワット級で同86万円、5万キロワット級で同76万円となっており、明確に規模の経済性が認められる。また、蒸気を取り出す生産井(蒸気井)や使用済みの熱水を地下に戻す還元井の投資負担が大きいことが分かる。操業前のみならず、減衰が進むことから操業した後も掘削を続ける必用がある。掘削すれば必ず当たる(成功する)とも限らない。投資金額も大きい。初期投資額に占める調査開発費の割合は約4分の1、抗井掘削費の割合は約3割にも上る。

 経済性に関して規模のメリットが明確に出ていることから、事業者は、買い取り価格については、出力との間でべき乗関数式の変数とすることを提案する(資料4)。出力1万キロワットで37円/キロワットh、3万キロワットで26円、5万キロワットで22円、6万キロワットで21円となる。

資料4.出力規模と買い取り価格の関係
 また、規模の違いだけではなく、地点によるコスト差が大きい。地点により噴出する蒸気流量が大きく異なり(最大で4倍の差がある)、熱水の相違から生産井、還元井のつまり具合が異なる。また、操業開始後も、様々なトラブルに見舞われ、長期にわたり休止せざるを得ないことも生じる。予想を超えた詰まり、豪雨や落雷等災害の影響、水蒸気爆発などの何らかの影響・リスクがすべての発電所で経験されている。調査開発段階はもとより、操業後も多くのリスクを抱えていることから、業界は税後のIRRで8%(税前では13%)の高い水準を要望した。これも、要望通り認められた。

 地下資源開発に多額の投資と大きなリスクを負う事業の特性から特別に高いIRRを認められた。だが、それでも発電原価は15年平均で15円前後であり、買い取り価格は出力1.5万キロワット以上で26円に収まっている。ベース電源としての役割を担えることが読み取れる。

 一方で、IRRの高さは、高リスクの裏返しである。次回は、このリスクにどう立ち向かうかについて解説する。

■変更履歴
1ページ目の第2段落の「八丈島で3300万キロワットの地熱発電」は「3300キロワット」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。本文は修正済です。[2012/05/17 13:10]
 

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