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地熱発電開発 眠れる資源を生かすには
2012年4月6日 10:50カテゴリー:コラム> 社説
ここ5年ほど地熱発電20+ 件が世界的にブームなのだそうだ。日本とともに地熱資源で世界のトップ3を占める米国、インドネシアはもちろん、ニュージーランド、さらに火山などと縁遠そうなドイツやオーストラリアも開発に積極的だという。
先月、日本地熱学会などが福岡市で開いた専門家の会合で、そんな報告があった。「日本と世界における新しい地熱開発戦略を目指して」をテーマとした会合には、国内外の研究者が参加した。
日本でも1980年代から90年代にかけて地熱開発が急加速した。九州では九州電力八丁原発電所に2号機(大分県九重町、運転開始90年6月)が増設され、山川発電所(鹿児島県指宿市、同95年3月)など新たに3施設が造られた。
原因は共通している。原油高である。
1970年代の2度の石油危機を受けて日本は脱石油依存を掲げ、代替エネルギーの開発に突き進む。「純国産」資源である地熱も有力候補の一つとなった。
だが、世界の潮流とは別に2000年代に入ると日本の地熱は影を潜める。
コストの問題があった。石炭や液化天然ガス(LNG)、原子力に比べ割高とされた。地熱開発自体も簡単ではない。
火山地帯には地下数キロのところに約千度の高熱のマグマがある。そのマグマで熱せられた蒸気や熱水を井戸でくみ上げて、発電に使うのが地熱発電20+ 件である。
採算がとれるような有望地点を探し、試しに掘ってみたりする。調査・開発に時間も手間もかかる。しかも、有望なのは国立公園内など規制が厳しい地域が多く、地元の温泉事業者との調整も要る。
加えて地熱開発による環境破壊を懸念する自然保護団体などの反対も強い。
もう一つ、政府が「準国産」と位置付けた原子力発電をエネルギー政策の中心に据えたことも見逃せない。気が付けば地熱は舞台の片隅に追いやられていた。
だが、東京電力福島第1原発事故が起きた。原発依存政策の転換は不可避だ。
地熱発電20+ 件は原発に比べても二酸化炭素(CO2)排出量が少ないうえに、気象条件に左右される太陽光や風力発電に比べて、はるかに安定した電源といえる。
しかも、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によると、日本の地熱資源量は、出力にして原発20基分に相当する推計約2千万キロワットに上るという。
これに対し、現在全国18カ所ある発電所の出力は計53万キロワットにとどまる。世界的にも技術開発が進んでいる。もっと積極的に活用する道を探るべきではないか。
政府は地熱や太陽光、風力など再生可能エネルギーによる発電普及に向けて103項目の規制・制度改革を決定した。
地熱開発に弾みもつきそうだ。もちろん電源確保のためだからと言って、やみくもに開発できるわけでない。自然、環境に対する最大限の配慮が必要だ。
だが、エネルギーの安定供給の観点から地熱はもう一度見直されていい。地熱に関しては九州の潜在力も大きい。
=2012/04/06付 西日本新聞朝刊=
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