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http://sankei.jp.msn.com/world/news/110713/erp11071312350009-n1.htm
(3)地熱発電に沸くアイスランド 支えるのは日本の技術力
2011.7.13 12:33 (1/3ページ)
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三菱重工がタービン発電機を建造しているアイスランドのヘッドリスヘイディ地熱発電所。同国では将来、電力供給の50%を地熱でまかなう計画だ
マグマが噴き上げてくるホットスポットの真上にある世界最北の島国アイスランド。首都レイキャビクから東へ20キロの山裾に、ヘッドリスヘイディ地熱発電所がある。
1号機から6号機の地熱発電用蒸気タービンは三菱重工製だ。今年中に引き渡される5、6号機の建設責任者、久村和明氏は「冬は日照時間が短い上、吹雪で道路脇のポールも峻別できないことがある」と語る。
厳しい自然環境ゆえ
厳しい自然環境はエネルギーの源泉でもある。北海道と四国を合わせた大きさの島には200以上の火山があり、昨年にはエイヤフィヤトラヨークトル氷河の火山が噴火して欧州の空を大混乱に陥れた。1千メートルの井戸を掘れば200度の蒸気が噴き出す地域が20以上もある。
人口約32万人、漁業以外に産業に乏しかったこの国で、地熱エネルギーの利用は古くから行われ、早くも1755年に蒸気井の掘削が始まった。1970年代の石油ショックで、人口の半分が石油を暖房に使っていた政策が見直しを迫られ、現在では人口の9割近くが地熱を暖房に使用するなど、主要エネルギーの65・7%を地熱でまかなう。
電力供給に限ると地熱発電が26・2%を占める。残りは、氷床からの水流を利用した水力が73・8%。実に100%再生可能エネルギーの国なのだ。
金融危機で注目
福島第1原発事故後、世界が注目する地熱発電を支えるのは、日本の技術だ。三菱重工は世界の地熱発電所の約4分の1にタービン発電機を供給し、世界トップシェアを誇る。
「地熱発電は初期投資が高くつく。10〜20年単位の使用に耐えられるかが重要だが、三菱のタービンは十分対応できる」。同地熱発電所を運営するレイキャビク・エネルギーの現場責任者ヘルギ・レイフソン氏は太鼓判を押す。
発電量は火力や原子力に比べてはるかに少ない地熱に世界がわくのは、設備投資を除けば発電コストを抑えられる上、同じ自然エネルギーの太陽光や風力より安定的に電力を供給できるからだ。
特に、2008年の金融危機の後遺症が暗い影を落とすアイスランドにとって、地熱発電の拡大は回復と成長のカギを握る。大量の電力は一大輸出産業のアルミニウム精錬に欠かせないからだ。
1990年以降、アルミ生産量は10倍に拡大し、世界最大手の米アルコアなど2カ所の精錬工場新設や工場の拡張が計画中だ。2009年には国内電力の74%をアルミ産業が消費した。
しかも、世界の資源メジャーは、金融危機で割安となった同国の電力会社の買収のスキをうかがう。民営化された電力会社エイチエス・オルカは、国際地熱事業を展開するカナダのマグマ・エネルギーに買収された。しかし、「自然資源はアイスランドと国民のもの」と国民的人気歌手ビョークさんが訴え、5月末、同国の年金基金が株式の25%を買い戻した。
三菱重工がタービン発電機を建造しているアイスランドのヘッドリスヘイディ地熱発電所。同国では将来、電力供給の50%を地熱でまかなう計画だ
「失われた10年」の差
ただ、開発か環境保護か−の論争も続く。アイスランド大教授で環境活動家のオラバル・パドル・ヨンソン氏は「地熱は枯渇しにくいが、無限ではない。将来世代のことも考えて利用すべきだ」と問いかける。
同じ火山国、日本の地熱資源量は約2千万キロワットと米国、インドネシアに次ぐ世界3位で、原発20基分に相当する。
アイスランド同様、日本でも石油ショック後、地熱開発が進んだが、1997年の新エネルギー法で、地熱は「新エネルギー」ではなく、水力や火力と同じ「熟成したエネルギー」に扱われた。開発はその後急速に冷え込み、2005年に世界6位だった発電能力(設備量)は10年時点で8位に後退するなど、「失われた10年」をさまよい続けている。
民主党政権は昨年閣議決定した「新成長戦略」の中で、「国立・国定公園内での開発箇所を6地点に限定する」とした1974年通知を廃止し、開発規制の緩和にようやく着手した。
「アイスランドは幸運な国だ。将来は地熱発電の割合を50%以上に増やしたい」。レイキャビクでユリウスドッティル産業・エネルギー・観光相は意気込む。
差は開くばかりだ。原発事故後の電力不足の中で、日本の地熱は「失われた10年」を取り戻せるか。(レイキャビク 木村正人)
◇
【用語解説】地熱発電
地中から噴き出す天然の蒸気でタービンを回す発電法。高温の岩体に水を注いで蒸気を得る方法も開発。世界全体の消費電力に占める割合は約0.3%。国際エネルギー機関(IEA)の試算では、各国政府が支援策を拡充すれば3.5%に引き上げることができるという。
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