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(回答先: 地熱発電の利用拡大、開発規制緩和へ…政府方針(yomiuri on line) 投稿者 こーるてん 日時 2011 年 10 月 12 日 18:24:17)
地熱エネルギーブームに乗り遅れる日本
http://www.nikkei.com/tech/ecology/article/g=96958A9C889DE1E6E1EAE4E3E1E2E1E2E2EAE0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;p=9694E2E4E2E7E0E2E3E2E3E7E5E7
資源小国・日本が潤沢に備える数少ない資源のひとつが地熱だ。世界で3番目の賦存量(ふぞんりょう、理論上利用可能なエネルギー量)がありながら、その利用はあまり進んでこなかった。再生可能エネルギーの一角として、これから伸びが期待される地熱発電の潜在力と課題を日本地熱学会長を務めた江原幸雄・九州大学教授に聞いた。
江原幸雄・九州大学教授
――地熱発電に期待する声を耳にします。
「世界では地熱開発のブームが起きている。世界の地熱発電設備容量は2010年時点では約1070万キロワットだが、15年には8割増えて約1850万キロワットに達することがほぼ確実だ。米国やインドネシアが急速に拡大している」
「米国はオバマ政権が再生可能エネルギーを後押しているためだが、将来的には技術革新も期待できる。EGS(Enhanced Geothermal System、強化地熱システム)と呼ばれる技術の登場で、これまで地熱利用とは縁が薄かった米東部でも地熱発電ができる可能性が見えてきた。マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究グループがEGSについて報告書を発表して火が付いた」
――米グーグルが地熱発電に参入するというニュースがありましたが、あれはEGSなのですね。
「地熱発電には地下から高温蒸気を取り出すことが必要だ。EGSは石油採掘技術を応用した技術だ。地下の高温の岩盤に井戸を掘って水圧をかけて割れ目をつくり、そこに水を送り込んで人為的に高温蒸気を作り出す。これが可能になれば、米国全土で地熱を利用できるとMITの研究者は指摘した。欧州でも3000メートル以上の深い井戸を掘って地熱をくみ上げる試みが盛んだ」
――日本の状況は。
「日本はいったい何をやっているのかと海外からよく言われる。地熱の資源量では日本はインドネシアと米国に次いで世界3位だが、発電能力では8位だ。1990年代半ば以降、発電所の新設はなく、世界のブームから取り残されている。日本の導入量は約53万キロワット。トップの米国は約300万キロワット、2位のインドネシアは約200万キロワットと大きく引き離されている」
――なぜですか。
「ひとつには国の支援が十分でなかった。地熱発電は早くから実用化されていたため新エネルギーとして政府が改めて助成をする必要がないと考えられてきた。電力会社に新エネルギーの電気を一定量以上使うことを義務付けたRPS制度でも、『バイナリー発電』という開発途上の特殊な方式の地熱発電以外は新エネとはみなされていなかった。地熱開発への唯一の補助金といえるボーリング調査への助成は、昨年の事業仕分けによって大幅減額されてしまい、国の支援という面では非常に厳しい状況だ」
「また有望地点が国立公園内にあり景観保護の観点から開発が制限されていることや、温泉への影響を心配する観光業からの反対も大きい」
――国会で法律ができた再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度では地熱は買い取り対象になっています。事態は好転するのでは。
「その通りだ。買い取り価格は正式にはこれから決まるが、1キロワット時あたり15〜20円と幅のある値段が取りざたされている。15円では地熱発電を拡大していくことは難しいだろう。20円なら条件のよい場所で新規建設に向けた動きが出て来るに違いない。できるだけ高い買い取り価格を望む」
「再生可能エネルギーは天候に左右されて不安定だといわれるが、地熱は安定した発電ができる。原子力を代替するほどの存在に育てるのは容易ではないだろうが、2050年には日本の電力供給のおよそ10%を地熱で賄うことは可能だと考えている。日本の地熱資源は2347万キロワットと推定されており、3割を利用可能にすれば約700万キロワットで、原発5〜6基分に相当する」
「東日本大震災以降、三菱マテリアルや出光興産、国際石油開発帝石など企業も東北や北海道で調査を始めている。心強い動きだ。ソフトバンクの孫正義社長も太陽光だけでなく地熱にも関心があると聞いている」
――企業化するにあたっては十分な蒸気量のある井戸が掘れるかどうか。初期投資にお金がかかりリスクも大きいといわれます。
「地下の探査技術の進歩で高温の岩盤の存在はかなり精度高く事前に確認することができるようになった。問題は蒸気ができる割れ目があるかどうかで、そこまではまだ地上からの探査ではなかなかわからない。技術開発が必要だ。何本か井戸を掘って現実に発電を始めると、次第に地下構造がわかってきて、井戸を掘っても十分な蒸気がでないといった失敗は確実に減る」
――買い取り制度がスタートしても、国立公園規制などがハードルになるのは変わりませんね。
「日本の地熱資源の約8割は国立公園特別地域内にある。1972年に当時の通産省と環境庁が既設の発電所を除き、国立公園内に新たな地熱発電所を建設しないとの覚書を交わした。これが問題の一因になっている。国立公園の景観を壊さないことは当然で、現在の技術を使えば景観に配慮した建設ができる。昨年6月に閣議決定した『規制・制度改革にかかわる対処方針』で、この点が指摘された。環境省は公園内での建設に道を開く議論を進めていると理解している」
「温泉との共存についても、都道府県の温泉審議会において議論が行われることを期待している。学会では地熱の天然資源として価値を認めて利用の意義を明らかにする『地熱基本法』のような法制の検討を政府に求めている」
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