01. 2013年1月14日 01:12:52
: GVYsLuFuCE
このEVバスで革命的なのは、インホイールモーターを採用していることだ。これはコストがかなり高く、三菱自動車がアイ・ミーブに敢えて採用しなかったそうだ。(それの前のランサーEVやもコルトEVでは採用していた。)もし採用していれば、百万円くらいは高くなったと思われる。このバスを見ていると、低床式路面電車を連想する。多分、技術は応用できるだろう。 ところで話は変わるが、どうも電気自動車に否定的な連中が当方の投稿に、いちゃもんをつけているようだ。掲示板が荒れる原因となるので当方も応戦しないことにしているが、かつて前輪駆動が普及し始めた頃に、自動車マニアの間で大論争になったことを思い出した。 当方は前輪駆動に早くから取り組んでいたフランスのシトロエンの愛好家なので、何台も乗りました。フランスでは戦前から前輪駆動に取り組んだシトロエンを始め、戦後に前輪駆動に転換したパナール、グレゴワールなど存在し、1960年代に入るや否や、1961年のルノー、1965年のプジョー、1967年のシムカ等、シトロエンに見習って前輪駆動化が進み、これが隣国イタリア、イギリス、西ドイツなどに広まり、1970年代には一部の高級車メーカーを除いて前輪駆動車を生産するようになりました。 アメリカでも1970年代の2度の石油危機を経験して、前輪駆動車にようやく転換しました。(註 GMは1960年代に一部車種で採用していた。)あの、超保守派と呼ばれるフォードですら、前輪駆動車を米国部門と欧州部門が共同開発したのです。さすがに、ここで前輪駆動を採用しないと会社の将来がないと判断したようです。 これに対し日本では、富士重工とホンダが1960年代に前輪駆動車を手掛けましたが、日本人はアメリカ人以上に保守的で、前輪駆動に対する拒否感は相当強いものがありました。顧客が保守的なトヨタなど、前輪駆動への転換に手間取り、コロナやカリーナなど、前輪駆動車と後輪駆動車を並行生産していたほどです。 電気自動車に対する拒否感が強いのは、日本人の保守的な傾向が影響していると思われます。これと同じような動きとして、1980年代に5ドア・ハッチバックが嫌われたことも含まれるでしょう。フランスだとルノー25が、5ドア・ハッチバックだった。ルノー25は、当時のミッテラン大統領の公用車でした。フランスの最高級車だったのです。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%BB25 日本人の保守度は、アメリカ人以上ではないだろうか。日本市場でメルセデスやBMWが好まれるのも、後輪駆動車だからと思う。さすがに中型以下の乗用車で後輪駆動に拘る向きはいなくなったが、それでも高級車市場では後輪駆動に拘る人が多いね。電気自動車も、これだけ保守的な顧客相手では売れないだろうし。(価格が高いだけではないと思う。) しかし家電分野では、保守的な日本人を念頭に商品企画をしていたために、これが仇となって没落の原因となったと思うのだが。メーカーが冒険をしなくなった。毎日が無事に過ぎ去ればいいとする、消極的な生き方が商品に反映された結果、未来志向の製品が生まれなくなって没落の一途をたどっていると言えないだろうか。電気自動車を批判することはたやすい。航続距離が不足しているし、第一価格が高い。充電時間もかかりすぎる。現に自動車メーカーにも、売れないから撤退しろと、お客様からメールが来ているのだ。 電気自動車に未来がないと言うのは、使ったことがない人の意見だろう。音がしないし振動がないのは、感動モノだよ。アクセルを踏み込んだ時のトルクの出方が内燃機関と違う。それだけではない、内燃機関だとエンジンが温まるまで触媒が働かないから、排気ガスが臭い。あれは本当に身体に悪い。特に朝方、通勤に使われる乗用車から出る排気ガスは、触媒が働き出す以前の状態にあることが多く、歩道を歩いていても息苦しくなったりする。 電気自動車はモーターがメンテナンスフリーだし、故障因子となる変速機がない。これは維持する上で大変有利だ。内燃機関だと定期的にエンジンオイルを交換する必要があるし、大抵水冷エンジンだからLLCの交換も必要だ。これを怠ると、エンジンのオイル上がり、オイル下がりの原因になるし、オーバーヒートの原因にもなる。変速機だが、CVTが多く採用されるようになってから耐久力が以前より落ちたと思う。4万キロおきにCVTフルードの交換が必要だが、これを守っている自動車がどれくらいあるだろうか。 昔に比べてユーザーの自動車知識が低下しており、エンジンオイル交換も行なわれなくなっている。乗りっぱなしの傾向がますます強まっている。その結果、愛車が不調に陥り、維持費に悩まされることになる。 電気自動車が主流になりえないのは、航続距離や高価格や充電時間の問題だけではない。最大手のトヨタが消極的なのだ。トヨタは電気モーターとエンジンが同居しているハイブリッド車に力を入れているが、最大の原因はトヨタグループの力の源泉である、部品メーカーやユニットメーカーのピラミッド構造が崩壊するからである。 ハイブリッド車には変速機が搭載されている。もし電気自動車に転換してしまったら、アイシンAWとか、変速機メーカーが不要になる。今や世界最大の変速機メーカーに成長したアイシンAWは、トヨタグループの力の源泉だ。ここの自動変速機は世界の多くの自動車メーカーが採用している。ここを守り抜くために、変速機の不要な自動車が普及しては困る。やはりトヨタは今なお超保守派であった。 先ほども述べたように、変速機は故障因子になる重要ユニットだ。使っていればいずれ故障するから、自動車を買い替えることになる。変速機がなくなると、自動車の寿命は格段に延びる。買い換えてもらえなくなる。もしそうなれば、トヨタの収益はがた落ちとなり、現在の規模を維持できなくなる。急速に縮小していくだろう。それを恐れて、電気自動車にブレーキをかけているのだ。これは同業他社の人から聞いた。 現に三菱アイ・ミーブを見ても、日産リーフを見ても、革新的なデザインを採用している。これは、現行のままで長期間生産する意志の現れである。三菱アイ・ミーブは現在、ガソリン版と電気自動車とあるが、将来的には電気自動車だけに絞りたい意向だと聞いている。ただ、現在の販売台数では厳しい。 |