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「小水力発電」なんてショボいんでしょ? (月刊チャージャー)
http://www.asyura2.com/09/eg02/msg/455.html
投稿者 蓄電 日時 2011 年 8 月 07 日 07:08:44: TR/B2VKXCoTU6
 

(回答先: 波力発電検討会報告書  英国は2020年に電力需要の1/4(32GW)を賄う世界最大の洋上風力発電所を完成させる計画 投稿者 蓄電 日時 2011 年 8 月 03 日 11:42:49)

100%エネルギー永続地帯が57市町村!

長野県大町市のNPO『地域づくりプロジェクト』では、小水力発電を導入する「くるくるプロジェクト」に早くから取り組んでいる。  http://npo.omachi.org/

http://promotion.yahoo.co.jp/charger/kakari/vol58/01.php
http://promotion.yahoo.co.jp/charger/kakari/vol58/02.php
http://promotion.yahoo.co.jp/charger/kakari/vol58/03.php
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「小水力発電」は意外に大きなエネルギー?

菅総理が「脱原発依存」を公言し、ますます注目を集めている再生可能エネルギー。今のところ、話題の中心は太陽光や風力だが、実は「小水力発電」も意外と大きなポテンシャルを秘めているらしい。

小水力発電とは、国際的な基準でいうと「ダムなどを造ったりしない(流れ込み式や水路式)、おおむね1万kW以下の発電施設」とされている。また、日本の法律では1000kW以下の水力発電を「新エネルギー」と定義していることから、日本で「小水力発電」と呼ぶ場合、1000kW以下の水力発電施設を意味することが多い。さらに、100kW以下の小規模な水力発電を「マイクロ水力発電」と呼んで区分することもある。

いずれにしても、原子力や火力の発電に比べるとあまりに非力。代替エネルギーとして論じるには無理があるようにも思えるのだが……。はたして、小水力発電にはどの程度のポテンシャルがあるのだろうか。


そもそも、終戦直後に日本政府が設置した『資源調査会』は、日本のエネルギーは水力を中心にするべきだとする内容の報告書を発表しています。報告書では「急峻な地形と豊富な降雨量という条件を備えた日本においては、エネルギーは水力でまかなっていくべきだ」ということを明言しています。

これを受けて、水力発電を広く行うために「多目的ダム法」が作られました。治水、利水、発電という多目的のダムをたくさん造って、水力を活用しようということですね。ところが、1955年の日米原子力協定でアメリカから濃縮ウランの提供を受けることが決まり、日本のエネルギー政策は一気に原子力に進んでいきました。

日本の降水量は、インドネシア、シンガポール、フィリピン、ブラジル、ニュージーランドに次いで世界第6位です。先進国でこんなに雨に恵まれた国はないし、急峻な山も多い。ダムは年月が経つと土砂で埋まってしまうし、環境へのダメージも大きいので、開発には限界があります。でも、もともと豊かな水の流れを活用すれば、日本ではダムを造らなくても十分に発電できる「資源」があるということです。

小水力発電は、現在の日本では政策的にはほとんど後押しのない状況で、日本国内の再生可能エネルギーによる発電量の59.4%をまかなっています。かつて、日本全国にはおよそ8万カ所の水車があったといわれます。水の流れを利用した水車が回る田園地帯は、日本の原風景ともいえるのです。

小水力発電を進めるための方法は?

現状でも再生可能エネルギーの6割近くを担う小水力発電。世の中にはあまり知られていないけど、意外に大きなポテンシャルがあるようだ。ところが、現状では小水力発電を進展させるための政策はあまり手が打たれていない。水力発電といえばダム中心の考え方があり、小水力は度外視されてきたといってもいい。

発電に関する日本の政策は、大規模な設備で発電した電気を広く使う方向で進んできた。いわば「集約型」のエネルギー政策だ。でも、小水力発電はむしろ分散型のエネルギーといえる。はたして、日本の小水力発電普及を進めるには、何が必要なのだろう。


小水力発電の設置には、いわゆる「水利権」の問題が大きな障害になっています。たとえば、出力が1kW未満の小さな発電機を設置するにも、ダムを建設するのと同じように膨大な書類を用意して申請する必要があります。河川を管理する国土交通省には水資源部がありますが、農業用水は農林水産省、工業用水や発電については経済産業省、上水道は厚生労働省というように、監督官庁もバラバラです。つまり、今の日本には小水力発電を前提とした統合的な政策が存在していない状態といえますね。

小水力発電は水の流れを利用しますが、水量を減らすことも、水を汚すこともありません。小水力発電については、水利権の対象から外して進めてもよいのではないでしょうか。現在、国としても再生可能エネルギーの活用を進めるために、小水力発電を設置するための手続きの簡素化を検討しようとする動きはありますが、まだ十分ではありません。


私の研究室の試算では、年間におよそ2兆3600億円の事業費を注ぎ込むことで、2040年までの30年間に原子力発電を再生可能エネルギーで代替することが可能です(詳細は『倉阪研究室』公式サイト内のPDFファイル「再生可能エネルギーによる原子力発電代替プランver.2」に紹介されている)。

2兆3600億円というと莫大な金額に感じますが、2011年度の道路事業費は3兆円以上、エネルギー対策特別会計は約2兆4000億円です。また、再生可能エネルギーで発電した電気の固定価格買取制度が実施されれば、民間の投資を呼び込むこともできます。日本の経済力からすると、決して無理な額ではありません。

この試算は、小水力だけでなく、地熱やバイオマス、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを活用することを前提としています。自然の力を利用する再生可能エネルギーは、地域の特性に応じて上手に活用していくことが大切です。小水力など再生可能エネルギーによる発電は、単体では小さな出力でしかありません。でも、コミュニティの需要を満たすには十分な電気を得て、余った分を他の地域に回すことができます。

倉阪研究室とNPO法人環境エネルギー政策研究所が共同で実施している調査では、再生可能エネルギーによる発電量がその地域の需要を上回っている「100%エネルギー永続地帯」が、すでに全国で57市町村もあります。大都市部ではなかなか難しいでしょうが、自然条件に恵まれた地域では、原発や化石燃料に頼らないエネルギーの自給自足は十分可能だということです。

現状では水利権の問題が足かせになっている小水力発電ですが、全国各地で水の流れを利用した小水力発電を進める動きが広がれば、日本政府もより積極的に規制緩和などの具体的な施策に取り組めるようになるのではないでしょうか。


小水力発電は次世代の第一次産業だ!

まだまだ大きな可能性がある小水力発電。でも、1997年に発行された『手作りエネルギー大全』(家の光協会)という本には、秋田県の温泉宿『鶴の湯』が発電用の水車を設置したものの、秋になると落ち葉が詰まったり、取水口がある川の流量の変化で思うように発電することができず、結局ディーゼル発電機を使っているといったエピソードが紹介されている。環境へのダメージがほとんどない小水力発電ではあるが、実際に使うとなると、いいことばかりではないということだ。

まして、いかに再生可能エネルギーによる電力の固定価格買取制度が整備されたとしても、出力の小さな小水力発電で大きな利益を生み出すことは難しいはず。倉阪教授の「試算」のように、小水力発電を普及させていくことは本当に可能なのだろうか。


小水力発電にとって、水を確保するためのメンテナンスは不可欠です。でも、逆に考えてみてください。小水力発電に適しているのは、水の落差を活用しやすい山間部や、農業用水が豊富な農村地帯です。いわゆる「限界集落」に近い過疎地も少なくないでしょう。発電設備の設置やメンテナンスの費用は、そうした地方経済の新しい収入源になるのです。

すでに意欲的に小水力発電に取り組んでいるところでは、取水口が詰まると担当者の携帯電話に連絡が入るようにしている事例もあります。自然を相手に設備を管理する小水力発電のメンテナンスは、農作業にとても近い仕事といえるでしょう。再生可能エネルギーによる発電は、新しい「第一次産業」と考えるべきなのです。

もうひとつ、地方の自治体やコミュニティが小水力発電などの再生可能エネルギーによる発電を活用するために大切なのが、発電による利益がそこに住む人たちに落ちるような仕組みを構築することです。たとえば、農業用水を利用して小水力発電をするのなら、地元の農協や土地改良区などが事業主体になるといった方法が有効でしょう。

また、洋上風力発電では漁業権との衝突が問題とされていますが、その発電による利益が地元の漁協に落ちる仕組みであれば調整はやりやすくなるでしょう。現状では再生可能エネルギーへのシフトに対して世論の賛否が混沌としている面もありますが、地域に合った再生可能エネルギー利用が普及して、再生可能エネルギーで食べている人が増えていけば、本当に日本のエネルギー事情は一変するはずです。

送電網への接続が普及のカギ
また、都市部であっても浄水場などの設備を活用した小水力発電が可能です。実際に、幕張の浄水場では東京発電株式会社という民間企業が小水力発電を行っていて、すでにビジネスとして成立しています。

日本の現状では、再生可能エネルギーを活用して小規模な発電設備を設置しても、送電網への接続に壁があります。だから、適地があっても発電機を設置できないケースが多いのです。たとえばドイツでは「再生可能エネルギー法」で、送電の事業者に対して再生可能エネルギーによる発電設備への接続を義務付けています。日本でも発送電分離やスマートグリッド、ドイツのような接続義務付けなど、再生可能エネルギーを優先的に活用するための施策を導入することが必要です。

発電の不安定さは、どうするの?

たとえば、太陽光発電で原子力発電を代替するためには「東京ドーム何個分の土地が…」といった比較がよくされている。でも、再生可能エネルギーは太陽光だけじゃない。先入観で「ショボい」と思っていた小水力発電にも、大きなポテンシャルがある。小水力、太陽光、風力、地熱、バイオマスといったさまざまな再生可能エネルギーを組み合わせることで、日本は自然エネルギー大国になれるのかも知れない。

とはいえ、安定して大出力の電気が作れる原子力や火力に比べ、再生可能エネルギーによる電力が不安定であることは否めない。机上の計算で出力の数値的には代替できたとしても、再生可能エネルギーにシフトしちゃって大丈夫なのか、という不安は残る……。


たしかに、太陽光発電の稼働率は13.6%程度とされていて、天候などによる出力の変動が大きいですね。でも、小水力発電の稼働率はおよそ80%。エネルギーの量が世界第3位とされている地熱発電も、24時間比較的安定して発電することができます。さらに、ひとつひとつは小規模で不安定であっても、できるだけ多くの再生可能エネルギーによる発電所を送電網にネットワークすることで、「ならし効果」が生まれて安定した電力供給が可能になります。

もちろん、スマートグリッドの推進や、蓄電池の活用も大切です。ただし、個別に大容量の蓄電池を装備して、ということを前提にしてしまうと、設置コストが高騰して前に進めなくなってしまいます。


再生可能エネルギーによる脱原発は脱化石燃料にも通じる

再生可能エネルギーによる発電は、地域に利益が落ちる仕組みを構築すれば農林水産業を強くする方法でもあります。また、再生可能エネルギーを利用するための発電機などを日本が先進的に開発していけば、次世代の自動車産業のように成長する可能性もあるでしょう。

再生可能エネルギーによる電力供給の比率を高めていけば、脱原発だけでなく、脱化石燃料を推進することも可能です。化石燃料を輸入するためのお金は海外に流出してしまいますが、再生可能エネルギーへの投資は地域密着型の雇用を生み出し、日本の地方経済を活性化してくれます。再生可能エネルギーで今すぐに「原発の代替を」という議論には無理があります。でも、今から30年かけて再生可能エネルギー国家への道を目指すのは、国の経営としても合理的な判断といえるでしょう。


writer's VOICE
2ページ目で紹介した水車の小水力発電機の写真を送ってもらった大町市の『NPO 地域づくりプロジェクト』のご担当者から、小水力発電が「ショボい」という疑念に対して「そんなことないよ」というご指摘のメールをいただいた。このNPOが協力して川上さんという個人の方が設置した「川上マイクロ水力発電所」は出力300W程度。でも、24時間安定して稼働するので、年間でならすと3kW級の太陽光パネルをしのぐ発電効率で、すでに何年間も運転を続けている、というのだ。

個人的には、原子力が「科学の力」なら小水力は「知恵の力」という印象を抱いている。どっちにしても、科学や知恵だけに偏らず、「科学+知恵の力」にしていくのが、自然の力に抗えない人間としては正しい道ではなかろうか。日本の各地に、小水力発電のハイテク水車が並ぶ風景を見てみたい。  

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