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http://gendai.ismedia.jp/articles/-/14537
政府提案で民自公修正の「原子力損害賠償支援機構法案」(通称東電ゾンビ救済法案)が成立しそうだ。これからの日本を誤った方向に導く法案だ。
一言でいえば、資本主義の原則を踏みにじった。資本主義社会では、失敗したときは責任を伴うことが当然である。ところが、この法案では、とるべき者が責任をとる前に、国民が負担を負う内容である。
自公民の修正協議が本格化する前、内閣官房の担当官が「法案修正のポイント」「機構法案において修正が許されないポイント」なる名無しの権兵衛ペーパーを作った。
政府はこの文書を用いて自民党議員に働きかけた事実は全く無い、などと言い訳しているが、出てきた修正案を見れば出所は一目瞭然だ。
東電を債務超過にさせないための仕掛けが巧妙に仕組まれている。まず、原子力損害賠償支援機構による東電の株式の引受け(資本注入)が2兆円。小切手である交付国債交付が2兆円。これらを超えたら、資金交付(税金の直接投入)を可能にした。これが、東電とことん救済規定でなくて何なんだ。
解体処理のために東電を一時国有化すべきだ
もちろん、長期間にわたり電力料金でこれらを返していくわけだから、政府からみれば、生かさず殺さず東電を夢も希望もないゾンビ企業として存続させるともいえる。
しかし、東電からすれば、国民に対する資本のたかりが成功するにつれ債務超過が遠のき、息を吹き返してくるだろう。
今回の法案を通じて、電力会社、経済界、官僚、族議員という電力マフィアの絆は一層強固なものになった。高い電力料金を国民にたかり、これを山分けする構造が強化された。衆議院の震災復興特別委員会参考人質疑に出席した電気事業連合会会長(関西電力社長)や全銀協会長(三菱東京UFJ銀行頭取)らが、質疑の後、自民党筆頭理事の額賀福志郎元財務大臣らと親しげに握手している光景は、実に印象的だった。
こういう法案が成立・執行されると、菅総理の唱える「脱原発」や「発送電分離」が全くデタラメであることが明らかになるだろう。
なぜならば、脱原発も、発送電分離も電力会社の経営の根幹を変えるものだ。電力会社は凄まじい抵抗をするに決まっている。100%減資の破たん処理をやっていれば、発送電分離だって迫りやすい。しかし、逆に、電力会社の親玉の力を強くしておいて、どうやって経営の根幹の変更を迫るというのか。
この法案が執行されると、みんなの党が主張するような電力自由化を柱にした脱原発実現のハードルも上がる。
私は、参議院の特別委員会でこの法案が可決成立される前に、菅総理に対して面会を申し込んだ。「官邸官僚が作った根回しペーパーで更に改悪された法案が通ると、総理の理想は現実困難になりますよ」と言うために。
しかし、菅総理側からの返答は、「議論の積み上げを壊せない」というものだった。議論の積み上げとは、単に守旧派官僚と族議員の積み上げに過ぎない。
菅総理は、小泉元総理を相当意識しているようだが、小泉元総理のように「ぶっ壊す」ことはできないようだ。結局、脱原発、発送電分離を検討といいながら、覚悟も戦略も全くなし。
みんなの党は、一貫して、解体・破綻処理のための一時国有化を主張していた。
賠償債務が確定しなければ債務超過に至らないという言い訳があるが、東電の社長が早晩資金面で立ち行かなくなると書面で示しており、債務超過のおそれがあることが明らかである。かつての金融再生法の枠組みに準じて、国が職権で特別公的管理を適用して破たん処理をすればよいだけである。
こうすれば、5兆円規模の送電関係部門の売却・再上場も視野に入れ、賠償原資を捻出でき、金融機関や株主が責任を負えば、国民負担の最小化が図れる。
そして、発送電分離で、電力自由化の先取りを行えば、次の未来の成長戦略も実行できるのだ。
「ミニ電力会社」への弾圧をただちに止めよ
みんなの党は、7月29日、電力自由化アジェンダの中間整理を行った。これは、今の状況が続けば、賠償原資の確保のための電力料金値上げ、再生可能エネルギー買取のための電力料金値上げとなり、世界で二番目に高いといわれる電力料金が更に超高価格となる。
最近の円高パンチとあわせて、日本企業の国際競争力には深刻な悪影響を及ぼし、企業の海外移転加速は必至だ。
こういう中で、前回紹介したが、東京都立川市では、大震災前の平成22年度の立川競輪場の電力供給契約を、東京電力から特定規模電気事業者(PPS)に変更したところ、電力使用料が26.5%下がったことが報告されている。更に、平成23年度契約においても小中学校などに広げる結果、15〜20%の電力使用料の低下が見込まれている。
現在、電力自由化は、一部の大口需要家を対象にしか行われていないが、「立川モデル」をみれば、これを更に進めて行けば、電力料金が大幅に値下がりすることが十分予想され、日本経済に大きなプラスの影響を及ぼすと想定される。
みんなの党は、日本がまず取り組むべき最優先のアジェンダとして、「電力料金値下げ」と「電力供給拡大」に向けた「電力自由化」を大胆に前進させることを提案している。発送電分離や小売自由化は当然だ。
電力自由化について調べて見ると、ここまで電力会社の手がまわっているのかと思う。特に、特定規模電気事業者(PPS)をはじめとしたいわゆる「ミニ電力会社」に対する弾圧政策の実態が惨い。電力供給が足りないといわれるのに、ミニ電力会社の力を殺ぐとは言語道断だ。これは直ちに止めさせるべき。
その一つが、電気事業法に基づく電力使用制限令の対象としてPPSの契約の相手方まで含まれていることだ。
今回の電力需給の逼迫は、東京電力の原発事故によるものであり、PPSは何の落ち度もない。こんな制限令は不合理極まりない。即刻、電気事業法に基づく使用制限の対象としてPPSの契約の相手方を外すべきだ。
次に、30分3分「同時同量」制度の撤廃が必要だ。
平成11年の電気事業制度審議会の答申に基づき、PPSのモラルハザードの防止の観点として、電力会社エリア毎に、PPSは、需要家の使用量と発電所各々の供給量をなんと30分単位で一致させるよう制御(同時同量制度)させることが義務とされている。
こういう強制労働ルールが、PPSにとって過剰な負担となっている。イジメとしか思えないものだから、30分同時同量制度は当然廃止すべきだ。
原発のコストは高い
その次に、インバランス料金制度の完全廃止である。PPSに需給の不一致(インバランス)が生じた場合,一般電気事業者がこれを補正する。インバランス料金とは,この補正のために,PPSが一般電気事業者に対して支払う料金のことをいう。
現在のインバランス料金は、PPSにおいて3%供給が不足した場合の懲罰的なペナルティが法外な金額(電力小売価格の4倍)となっており、PPSに対して過剰な負担を課している。これも電力自由化への妨害そのものといわざるをえないから、この懲罰的なペナルティ料金制度を完全廃止する。
そして、託送料金の根拠の透明化及び電力会社自身の送電コストと同水準の託送料設定の義務化が必要だ。
なぜならば、PPSの電力料金の15%〜25を電力会社の託送料金が占めているとの事例があり、コストの低い高圧電力(標準電圧6,000ボルトをいう。)の方が、コストの高い特高電力(標準電圧20,000ボルト以上の電圧)よりも托送料が高く設定されるという合理性を見出せない実態があるからだ。
更に、現在、発電所ベースで比較すれば、PPSの発電所の方が安い場合も多いという指摘がある。個別発電所別、発送電別の部門会計を導入するとともに、電力料金の透明化を図る観点からも発電所毎の発電コストの開示を義務化することも必要だ。
(詳細は、みんなの党ホームページ「電力自由化アジェンダ案」参照)
http://www.your-party.jp/news/office/000872/
みんなの党は、こういう電力自由化を柱に据えた脱原発を目指す。原発は電源立地交付金から始まって、使用済核燃料の「再処理」、廃棄物処理コスト、福島第一のように大事故を起こすとその損害賠償、汚染水処理、そして、廃炉までいれた費用はバカ高い。原発は1KW/hあたり20円を超えるという試算もある。
しかし、いますぐ電力自由化宣言を行い、新規供給を増やし、料金値下げの電力革命に踏み切れば、来年春、全原発が仮に停止したとしても心配はいらない。
それだけではなく、電力自由化を徹底すればもろもろのコストが高い原発は、2020年頃には自然に市場から淘汰され、ゼロになるはずだ。
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