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株式日記と経済展望
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震災後の日本は蓄電池やスマートメーター、制御システムなど
スマートグリッドを構成する技術の実用化を加速していくことになる。
2011年5月17日 火曜日
◆いまこそ求められる スマートグリッド、エネルギー利用効率の高い街づくり 4月25日 日刊工業新聞
http://www.nikkan.co.jp/adv/gyoukai/2011/110425b.html
電力需給を効率的に制御するスマートグリッド(次世代電力網)への期待は東日本大震災後も変わることはなく、むしろ高まりそうだ。津波に襲われた東北地方の被災地を環境先進都市として復興する時にも、電力の供給力不足に伴い企業や家庭の節電対策を強化する時にも、スマートグリッドの導入は考慮される。震災後の日本は蓄電池やスマートメーター、制御システムなどスマートグリッドを構成する技術の実用化を加速していくことになる。
安定した電力供給−規模に応じて構成自在
スマートグリッドは電力と電力需給情報を供給側と需要側で双方向にやりとりして電力を制御し、エネルギー利用効率の高い街や地域(スマートコミュニティー)をつくる手段と定義できる。太陽光や風力など天候や時間帯によって発電量が大きく変動する"じゃじゃ馬"の自然エネルギーを原子力や火力などの大規模電源と協調させ、電力網を安定させる技術ともいえる。自然エネルギーを導入しながら、電力需給を効率的に制御する。これは震災後の日本が必要とする技術とシステム、発想だ。
震災により壊滅的な被害を受けた地域を、自然エネルギーを本格導入した環境先進都市として復興しようとの認識は官民で共有されつつある。自然エネルギーの導入にはスマートグリッドが欠かせない。
加えて、スマートグリッドはさまざまな都市の発電環境の規模、発展段階に応じ、自在に構成を変えられる。津波に襲われた地域は漁業や水産加工業が盛んだが、平野部の大都市に比べれば人口は少なく、都市の規模は小さい。
こうした場合、比較的小さな街や工場群を束ねる小規模なスマートグリッドである「マイクログリッド」が街づくりに生かせる。大都市や工業地帯向けの大規模なシステムをそのまま持ち込むのは非現実的。津波の被害を受けた地域では「広範囲をカバーするスマートグリッドというより、マイクログリッドのような小規模なシステムになっていくだろう」(経済産業省)と見られている。
スマートメーター導入−電力需要情報を集中管理
津波や強い揺れに見舞われなかった地域でも、震災は産業活動に大きな影を落としている。原子力発電所の停止などにより、東京電力と東北電力の電力供給能力は大幅に低下。計画停電はひとまず終了しているが、夏場には電力不足が顕在化する。政府は企業やビル、一般家庭に節電対策と努力を求めている。
スマートグリッドは供給側で自然エネルギーの大量導入を可能にする一方、企業や家庭など電力を使用する需要側にも大きな変化をもたらす。通信機能を備えた新型の電力計「スマートメーター」の設置により電力需要情報を集中管理し、特定の地域で余っている電力を不足地域に回したり、住宅を何軒か束ねて蓄電池を置き昼間と夜間で需給調整をしたりといった姿がスマートグリッドやスマートコミュニティーの将来像だ。
震災後に実施した計画停電は企業の業種を問わなかったため、連続稼働する必要のある業種には不都合な点が多かった。スマートグリッドが普及すれば、きめ細かく電力を制御でき、こうした不都合は減らせる方向にある。
例えば、自動車部品工場が多い地域には自動車産業全体を考慮して電力供給したり、鉄道などの基礎的なインフラには最低限必要な電力を優先的に供給し続けたりすることができるだろう。また昼間人口の少ない郊外での太陽光発電による余剰電力を不足地域に回したり、定置の蓄電池や電気自動車(EV)の電池にためたりといったことも夢物語ではなくなる。
スマートグリッドは5年、10年の時間軸を持った構想でもあり、今すぐにこうした姿を実現できるわけではない。ただ、実態に沿って用途を絞り込んだ小規模なシステムならば、現実味は増す。その時、カギになるのはスマートメーターの普及。経産省の計画では2020年代の可能な限り早期に、原則すべての需要家(企業やビル、家庭など)がスマートメーターを導入するとしている。震災復興の中で、普及ペースは速まる可能性がある。
国内外で実証実験−グローバル活動、基礎づくり
震災復興は目前の課題だが、平時から実証実験や開発支援をしていなければ対応はできない。現在、政府を中心に国内外でさまざまな実証が行われている。
海外実証の目的はまず第一に、世界のさまざまな地域に合ったシステム構築を複数こなすことで類型化し、日本企業がグローバルに活動できる基礎をつくること。東アジア各国では経済発展に伴い、人口集中と都市化が進む。今後、環境負荷と資源消費の少ない都市開発プロジェクトが増加するとみられる。
米国や欧州のような先進国でも、自然エネルギー量を政策的に増やしたり、老朽化した電力設備を更新したりするためにスマートグリッドが活用される。発展途上国の電気が通っていない奥地や、陸地と電力網がつながっていない離島では、小規模完結型のマイクログリッドのニーズが見込める。
海外実証の第二の目的は国際標準化に乗り遅れ、日本の主要産業が"ガラパゴス化"しないようにする点だ。欧米勢はスマートグリッドのシステムや構成機器を互いに接続するインターフェース部分を中心に、国際標準化の取り組みを進める。日本政府が欧米諸国と共同実証を進める背景には、国際標準化のイニシアティブを握る狙いがある。(後略)
(私のコメント)
日本では電力会社が発電所で発電して一方的に配電するシステムですが、これだと発電所に異変があった時に家庭は電力供給がストップして真っ暗になってしまう。スマートグリッド構想では各家庭が太陽電池パネルや風力で発電して、夜間は電気自動車などのバッテリーも利用する。つまりグリーンニューディールには電気自動車まで構想に含まれている。
これでヨーロッパもアメリカもグリーンニューディール政策に踏み切ったわけですが、日本ではこのような総合的な政策は打ち出せてはいない。太陽電池パネルや電気自動車の開発などでは世界の最先端を行っているにもかかわらず、国家的な総合戦略としての発想が無い。中央官庁は経済産業省や国土交通省や環境省などでバラバラであり、縦割り行政の弊害で総合戦略が立てられない。
「株式日記」では公共事業として科学技術開発を主張してきましたが、日本では公共事業というと橋や道路や箱物しか発想が無い。だから経済政策としての公共事業を主張することは悪であり無駄使いの代名詞にされてきた。日本は90年代からのバブル崩壊で日本版ニューディール政策が求められてきたのですが、財務省が財政の再建を最優先して公共事業は毎年削られてきた。
日本でも太陽電池パネルなどには政府からの助成政策などあったのですが、小泉竹中内閣は2005年に太陽電池パネルへの設置助成などを打ち切ってしまった。今年になってようやく助成は復活しましたが、日本の政治がいかに総合経済戦略などの構想力が無いかを示している。
日本はエネルギーのほとんどを海外に頼っており、石油ショックが来るたびに脱石油が叫ばれるのですが、危機が去ると忘れてしまう。ヨーロッパでは早くから脱炭素社会を打ち出してドイツを中心に太陽光発電や風力発電の普及に努力してきた。そしてアメリカでもグリーンニューディール政策が始まった。そして日本では福田内閣まで財政再建が最優先政策であり景気対策としての公共事業は削られてきた。
公共事業を推進を主張する経済学者やエコノミストも具体的な公共事業は打ち出せなかったのも事実なのですが、不況が続くような時は政府が財政を出動させれなければ経済は縮小してしまう。テレビなどでも公共事業というと道路や橋などに短絡してしまって、高速道路はいるのいらなのと言った議論に収束してしまう。日本人は頭が硬直しやすくて全く新しい発想という事が出来ない。
日本では家屋の屋根に太陽光発電パネルを見かけるのは極めて希だし、風力発電の風車を見かけることも極めて希だ。日本の地方行政も中央の政策ばかり見つめて、独自のエネルギー自給政策思いつかないのだろうか? 太陽光発電所にしても風力発電所にしても小さなコストから始められるし、電力を安く供給できれば産業誘致にもなるはずだ。
NHKの特番でも四国の村で10年前に風力発電所を作って、電力を売って村の財政を助けようというプランを実行しようとした村長が出ていた。しかし四国電力までの送電線の建設や電力価格がネックとなって計画は実現しなかった。日本の電力会社も買電には積極的ではなく、とてもアメリカで行われるようなスマートグリッド構想などの計画には反対だろう。電力の自由化に反対しているからですが、これらは政治が動かなければ実現しない。
アメリカは石油や石炭や天然ガスが豊富であり自給ができる国だ。だから電気も日本に比べると大変安い。それにもかかわらずオバマ大統領はグリーンニューディール政策で低炭素社会を目指している。30年から50年先まで考えれば石油は足りなくなり、いまから脱石油社会を構想しなければ間に合わなくなる。しかし中央官庁の官僚も政治家も今日の事しか考えない。
マスコミも公共事業というと「熊が出るような所に高速道路を作れと言うのか」と言った感情的な反発を煽るのみで、全く新しい発想の公共事業に対しても一緒くたにしてカットし続けた。メガフロートも東京湾に浮かべられて実験されましたが中国に鉄くずとして売られてしまって、なぜ広い海上に太陽光発電所を作ると言った発想が無いのだろうか? ヨーロッパではサハラ砂漠が太陽熱発電の用地として注目されている。
このような事は国家プロジェクトとしてでなければ出来ないことなのですが、財務省の役人は財政再建しか興味が無いようだ。麻生内閣になってようやく景気対策としての取り組みに前向きになりましたが、中国では54兆円の公共事業を始めるし、アメリカでは80兆円の公共事業を始める。つまり日本の財務省の財政再建政策は間違っていたのであり、景気を回復させて税収を増やす事で財政再建を図るのが正しい政策だ。
◆米国のオバマ政権は「グリーン・ニューディール」計画は低炭素社会と「スマート・グリッド」の革新からという米国の深遠な戦略が読み取れる 2009年3月20日 株式日記より
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/e/2914ab876075c562ed16e376f319843e
(本日の私のコメント)
二年前の株式日記は、今日の日本の電力事情を予言したような内容ですが、コメント欄には私の意見に対する否定的なコメントが非常に多い。中には「高速増殖炉か核融合炉しかない」といったコメントありますが、「もんじゅ」は今どうなっているか、いま非常に悲惨な状況になっている。福島第一原発事故で分かったように核分裂を制御することは非常に難しい。事故れば手のうちようがなくなる。
「電力の低コスト化、低炭素化を目指すなら原子力発電を増やす以外に道はないです。」と書いてきたコメントもありますが、今ならバカじゃないかと言われるだろう。「日本の電力会社の質をなめてはいけない。アメリカは2,3周遅れたレベルである。」と書いてきたコメントもありますが、東京電力の技術力に低さは福島第一原発で証明済みだ。
「トラさん、あなたは技術的な知識蓄積がないんじゃないかな?」と書いてきたコメントもありますが、電気工学部を出た第一種電気工事士に対する言葉なのでしょうか? いまやインバーターで交流を直流にしたり直流を交流にすることは家電製品に普通に使われています。
「念のため書いておきますが、環境に一番優しいのは原子力ですから」と半分専門家がコメントしていますが、福島県に行って言ってほしいものだ。太陽電池や風力発電機はいつでも撤去することが出来ますが、福島第一原発は、おそらく100年くらい手が付けられないだろう。メルトダウンを起こして核燃料が簡単には取り出せないからだ。
このように株式日記は、将来の技術開発の傾向を正確に見通しているし、原発に対しても燃料棒や廃炉の問題などを指摘してきました。電力会社が市場独占することは傲慢経営になるのは必然であり、原子力安全神話も崩壊した。日本のこれからは中央統制社会から地方分散社会になり、電力も一社独占から自由化して、スマートグリッドでインターネットのように電力を制御するのが時代の流れだ。
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