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今やるべきことの一つ、それは地熱開発の着手 東電の電力不足を補うために各地の原発の運転促進が言われている。新規着工でさえストップがかからずに、地元説明会を行うだけで強行されようとしている。しかし、これで大丈夫なのだろうか? ものつくり日本の基礎を支える産業が電力不足により稼働できず、そのために原発の稼働促進をするとされている。しかし、電力不足を補うなら自家発電施設の増設でも対応できる。油は輸入するしかないが未だに1ドル80円台の円高なのだから、輸入に支障はないはずだ。自家発電のディーゼル設備はある程度量産が効くもののはずだ。更に、西日本の企業が持っている設備を一時的に貸し出したり、または行政が買い取ってそれを被災地域企業に貸与したりすることもできる。 今回の地震・津波による原発の被害はいまだにはっきりとは公表されていない。そのうちの一つが海水取水設備の被害だ。津波により砂が運ばれて取水口が埋まってしまったり、引き波によって取水口が海面上に露出したり、または、取水のパイプなどが壊れると言う危険性が以前から指摘されてきた。今回の地震では海水取水機能喪失とだけ発表され、具体的な被害状況は公開されていない。更に、真水の取水もできなくなっているがそれが水道管、つまり、福島県内の自治体水道施設の故障のためなのか、または、原発内部の水道管破断によるものなのか、そういったことも明らかになっていない。多分、両方がダメになっている可能性が強い。そうであれば、施設内にバックアップ用の真水のプールがあってしかるべきだったが、そういったものが作られていた様子もない。外部電源喪失についても、原発内の送電鉄塔が倒壊したためとされるが、原発外部の送電鉄塔は無事だったのかどうかは明らかになっていない。地域一帯が停電したのは事実なので、原発施設を含んだ地域一帯が停電したのではないのか?そうであれば、例えば、電源車の配備というようなせいぜい数日分の発電燃料を持つものを整えても、リスク回避にはならないのではないのか。非常用ディーゼル発電施設にしても、津波にさらわれない高所に作れば、原子炉との高度差が大きくなり、これはこれでまたさまざまな設備が増えるだけだ。原子炉は岩盤上に直接作ることになっていて、また、核燃料を海から運び込む関係で、海面からあまり高いところには作れない。 そもそも、原発を日本のような人口過密とも言える地域に作ること自体が無理なのだ。このもっとも基本的な安全策が日本では守れていない。原発事故による放射能汚染区域の広さから言ったら、どんな岬の先端に作ろうが都市圏にかかってしまい、原発事故は少なくとも数十万人規模の避難民を作ってしまう。浜岡原発が事故れば、3千万人を超える避難民が一瞬にして発生してしまう。大規模地震との同時進行なら、ほぼ確実に避難民救助は不可能になってしまうだろう。浜岡のある地点はほぼ年間を通して西風が吹く。地震発生後数時間後には東京へ放射性のチリが舞い落ちることになり、その中で瓦礫に埋まった道路を数百万、数千万の人間が避難することになる。今回の東北地方太平洋沖地震で福島第一原発の20km範囲内の遺体捜索やその収容は遺体自体が放射能汚染しているため地震後20日が経過した4月1日現在でも行われていない。このことから考えても除染が必要な人が数十万単位で避難するとき、それを受け入れる地域があるようには思えない。 放射能汚染の怖さはそれが目に見えないことだ。しかも、被曝の影響はすぐに表れる場合は少ない。急性障害と言われるものでさえ、通常は数週間後に症状が現れる。晩成障害という発癌に関わる影響は早くて白血病などの5年から6年、多くは20年ほどたってから症状として現れる。つまり、二重の恐ろしさがあるわけだ。放射線にさらされているのかどうかが自分ではわからない。ましてや、内部被ばくにつながる食物や水、または大気の汚染の場合、匂いや味に変化があるわけではないし、放射線のあるなしを個人で測ることが出来る人は普通いない。つまり、放射線の脅威にさらされているかどうかさえ分からないのが第一点だ。そして、その次に、その影響が即時に現れるわけではなく、数か月、または何十年もたってから現れることだ。更に言えば、発癌や遺伝的な障害が放射能汚染に由来するものだと言う証明も個人ができるわけではない。 ウランやプルトニウムのようなアルファ線を出す物質を肺に吸い込んだ場合、アルファ線を体外から計測するのは不可能だ。このことも、ヨウ素131による甲状腺癌のみが取り上げられ、ウランやプルトニウムによる発癌症例がないとされる一因であるはずだ。なお、半減期8日のヨウ素131による甲状腺がんの発症は20年ほど経過してからのことが多い。つまり、半減期が短いから影響も短期間で終わると言うことではない。(なお、ウランやプルトニウムの体内被曝を検知することが現在不可能であるわけではない。これらと同時に生成される放射性物質でガンマ線を出すものを検知することで、ウランやプルトニウムの体内被曝を推認することが出来ることはできるようだ。) 放射能汚染の恐ろしさは他にもある。一度環境中に出てしまうと、基本的にそれを回収することができず、また、汚染の影響が非常に長期間続くことだ。数十キロ四方へは簡単に広がってしまい、しかも数十年から数万年汚染の影響が残ってしまう。 地震頻発国である日本は54基もの原子炉をかかえている。東北地方太平洋沖地震はマグニチュード9.0の超大型地震であり、これによってフォッサマグナや中央構造線が刺激され、別の大型地震が誘発される。東海地震は既に150年以上起こっていず、明日起こっても不思議ではないと言われている。そしてその震源域の真上には浜岡原発がある。原発の廃止には時間がかかる。運転停止をしても安全でないことは今回の福島第一原発の事例で分かったはずだ。原発の廃止には10年単位の時間がかかるのだ。そして、南海、東南海、東海地震の同時発生は今後30年で50%程度はあるとされている。 原子力発電は非常にリスクが高く、しかも一度事故が起これば、原子力発電によって得ていた利益を数百倍数千倍という規模で上回る損害を与えることになる。車を利用することによって得る利益と自動車事故による損害を比べると、どんなに事故がひどくなろうが、利益のほうが上回るとほとんどの方が考えるだろう。しかし、原発事故の場合、大規模な放射性物質の吐き出しが起こってしまうと、一国の壊滅を意味するほどの損害を与えることになる。この意味で、原子力発電は経済的に合理的なものでは本来ない。 福島第一原発の事故が起こって既に20日以上が経過するが、原発全廃を言い出す政治家もマスコミもいない。しかし、人類にとって、原発は決してふさわしいものではない。ましてや、地震国日本にとり、これほど危険なものはない。全国の原発の即時停止を言いたいが、少なくとも、地熱発電を大規模に全国で進めるべきだ。 地熱発電のコストは非常に高く見積もられているようだが、そのほとんどは法規制や環境的な要因によるもので、規制緩和や開発の活発化がされればいっきに安くなるはずだ。地熱発電のいいところは、他の自然エネルギーが天気任せの面が強く、安定した発電ができないのに対し、一年365日24時間、安定した発電ができることだ。しかも、今後の技術開発の余地が多くあり、地域開発と一体となった地熱利用ができる。原発がその危険性から都市部には立地できず、かつ実際に事故ってしまったら非常に広範囲を居住できなくするほどの悪影響を与えるのに対し、地熱は、都市部に立地でき、その温熱を地域冷暖房に生かすこともでき、また、たとえ事故っても火災の危険性さえあまりない。 原発の即時廃止が電力供給の面や電力会社の財務の関係でできないと言うのなら、少なくとも、原発に代わるエネルギー源である地熱の開発を今すぐに進めるべきだ。地熱資源のトップ5国を見ても、日本以外はみな地熱開発を加速している。日本のみ地熱利用が後退しているのだ。原子力ルネッサンスを言い出したアメリカはその典型で、世界で最も地熱関係の投資が増加している。アメリカは口では原子力と言い、現実には地熱開発をやっているのだ。 *6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<484>>
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