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地熱エネルギーは普及するか?
David LaGesse
for National Geographic News
December 30, 2010
アメリカ、カリフォルニア州サンフランシスコ北部の谷に立ち上る蒸気を見た昔の探検家は地獄の門を連想した。同じ光景に温泉の癒し効果を期待する者も、蒸気でタービンを回す地熱発電を思いつく野心家もいた。
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カリフォルニア州マヤカマス山地で地熱発電所が操業を始めて今年で50年になる。ガイザースという地域に同国初の商用地熱発電所が建設された当初、化石燃料をはるかに凌ぐ可能性を秘めた地熱エネルギーに高い注目が集まった。しかし、炭酸ガスをほとんど排出せず、風力や太陽エネルギーより安定供給が望めるエネルギーであるにも関わらず、地熱発電の普及はあまり進んでいない。
代替エネルギーへの転換が叫ばれる昨今、地熱発電の支持者は今こそ利用促進の新たなチャンスと考えている。地下深くの高温岩体に水を送り込み、人為的に蒸気を発生させる強化地熱システム(EGS)という新技術を開発中だ。しかし、地下深く封じられたエネルギーを解放するこの計画に、政府や企業からの投資は十分でないという。
「地熱は将来有望な代替エネルギーだ。普及の絶好機を逃してはならない」と、テキサス州にあるサザンメソジスト大学の地球物理学者デイビッド・ブラックウェル氏は言う。
同氏も参加し2007年に発表された研究は、2050年までにアメリカ国内の電力供給の1割が地熱発電で賄われると予測している。ただし、蒸気の自然発生に頼らず、人為的に作り出す新技術が開発できればの話だ。EGSは石油や天然ガスの掘削からヒントを得たシステムである。岩体が存在する地層を水圧破砕し、水を送り込んで蒸気を発生させ地表のタービンを回すという。
ブラックウェル氏は、「実現すれば世界中のどこでも地熱を利用できる」とコメントする。
現在、地熱エネルギーは地下約3キロまでに存在する熱水と蒸気の貯留層に依存している。イギリス、ロンドンにあるABSエネルギー・リサーチ(ABS Energy Research)社の責任者マックス・クラングル氏は、「地熱を利用できる場所は限られている」と指摘する。「つまり、蒸気の貯留層が近くになければ町でも工業地帯でも地熱を利用できないということだ。これでは普及がおぼつかない」。
アメリカの地熱エネルギー協会(Geothermal Energy Association)によると、火山活動の活発な一部の国では地熱資源を積極的に活用している。フィリピンでは電力の約18%、アイスランドでは約25%、エルサルバドルでは約26%を地熱発電で賄っているという。
ただしABS社のアナリストは、地熱による電力供給は2020年までは緩やかな伸びに留まると予測している。他のエネルギー源に後れを取り、10年後の電力生産のシェアはわずか0.2%に過ぎない。現在約67%の化石燃料は61%に減少するが、その差のほとんどは風力発電と太陽光発電が埋めるようになるという。
一方、地熱資源協議会(Geothermal Resources Council)など促進派は、地熱発電は急速に発展すると考えている。北アメリカ、アフリカ、インドネシアで計画されている地熱井の掘削など、新プロジェクトが目白押しだからだ。例えばケニア政府は、地質活動が活発で大規模な地熱貯留層があると目される東リフト・バレーで積極的に地熱井を掘削している。
北アメリカでは、自然の地熱を利用した発電所の拡張プロジェクトが多数進行している。世界最大規模を誇るカリフォルニア州の地熱地帯ガイザースの発電所もその一つだ。
ただし、米エネルギー省の資金援助でマサチューセッツ工科大学(MIT)が実施した2007年の研究調査は、地熱エネルギーの普及には人為的な蒸気の生成が欠かせないと結論付けている。現在、いくつかの高温岩体発電プロジェクトが進行中で、中でもオレゴン州政府はアルタロック(AltaRock)社にシステム開発を依頼している。EGSの開発に積極的な同社は、エネルギー省のほかGoogleなど有名な法人投資家からも支援を受ける。Googleは地熱に限らず、代替エネルギーの開発プロジェクトに積極的な投資を続けている。
EGSは石油や天然ガスの掘削で一般的な岩石破砕技術を利用する。「高温の地中で利用できるか不安視する声もあるが、開発済みの技術で十分に可能だ」と、2007年の調査に参加し、後にアルタロック社設立にも尽力したスーザン・ペティ氏は話す。しかし新手法は費用がかさみ、石炭やガスを燃料とする従来の発電方法と競合するにはコスト面が課題となっている。
Photograph by James P. Blair, National Geographic
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