★阿修羅♪ > エネルギー2 > 254.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
世界を読む:世界変えるシェールガス(その1) 眠れる宝、技術革新で採掘(毎日)
http://www.asyura2.com/09/eg02/msg/254.html
投稿者 パイプライン 日時 2010 年 10 月 19 日 00:44:20: mqQUVKm/jkdw2
 

(回答先: 世界のLNG市場に価格破壊 米国発「シェールガス革命」の衝撃 投稿者 パイプライン 日時 2010 年 1 月 15 日 15:41:36)

毎日新聞 2010年10月18日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/biz/news/20101018ddm001020062000c.html

世界を読む:世界変えるシェールガス(その1) 眠れる宝、技術革新で採掘

 ◇消費国の米欧で産出
 【ロンドン会川晴之】「シェールガス革命」と呼ばれるエネルギー革命が、いま、世界で起き始めている。

 発端は、世界最大のガス消費国・米国の技術革新だ。シェールガスは堆積(たいせき)岩の頁岩(けつがん)層に含まれる天然ガスで、従来のガスと成分は変わらない。存在は知られていたが掘削コストが高く手つかずだった。これを安価に産出する手法がこの10年で確立され「革命」がもたらされた。チュー米エネルギー長官は、米国のガス埋蔵量が「2倍になる可能性がある」と語る。米国のガス産出量は09年、ロシアを抜き世界一となった。

 石油の発見以来、最も重要な出来事ともいわれる「シェールガス革命」は、ガス価格にも影響を及ぼした。

 つい数年前までは、米国は、国内資源量の減少と需要増が重なり、世界最大のガス輸入国になるとみられていた。ロシア、中東、東南アジア諸国は、米国向け液化天然ガス(LNG)の施設整備にまい進した。だが、米国が「ガス輸出国」になる可能性が出たことで、「ゲームが根底から変わった」(ヘルム・英オックスフォード大教授)。巨大市場消滅で、需給バランスが一気に崩れ、ガス価格は、08年の100万BTU(英熱量)=13ドル台から、現在は4ドル前後にまで急落した。

 新型ガスを求め、世界各地で「ドリルラッシュ」が始まった。シェールガス開発は独立系の中小企業が先導した。国際エネルギーメジャー各社は、09年以後、相次いでこれらの企業を買収し、欧州、中国など世界各地で探鉱作業に乗り出した。

 「最大で(300年分の国内消費量に当たる)3兆立方メートルの資源量がある。ガス輸入国から輸出国に転換する可能性がでてきた」。欧州で、最も有望視されるポーランド。経済省で石油・ガスを担当するカリスキ局長は興奮気味に語る。商業規模の生産は「早くても5〜10年後」(同局長)。それにもかかわらず隣接するリトアニアなどバルト3国やベラルーシと将来のガス輸出に向け交渉を始め、ガスブームに沸く。

 ポーランドでは、エクソンモービル、シェブロンなどメジャー各社をはじめ70社が参入を決定、今年6月から探鉱作業に入った。

 北部グダニスクから南20キロのウェンゴボもその一つ。昼夜2交代勤務で地下3430メートルまでボーリングを進め、ガス層の存在を確認した。探鉱を担当するレーン・エナジーのパーマー氏は「年内に正確な分析結果が出る。3カ所目の探鉱も近く始める」と、ガス開発に夢を託す。


 ただ、開発には、資源量、採算などのリスクが常につきまとう。

 今年4月にメキシコ湾岸で起きた海底油田事故を機に、エネルギー開発による環境汚染への懸念が高まっており、規制強化を検討する動きが世界的に広がっている。この影響を受けて、シェールガスの開発が順調に進まない可能性もある。

 ガス田開発には通常、「5〜10年はかかる」(エネルギー専門家)。ガス価格急落を受けて、従来の産ガス国は、大規模開発計画の順延を決めており、英王立国際問題研究所のスティーブンス教授は「開発が予定通りに進まない場合、5〜10年後に深刻なガス不足に陥る可能性もある」と指摘する。

 シェールガス掘削には、化学剤を使用する必要があり、この化学剤の管理を誤れば、地下水を汚染する可能性がある。既に、米ニューヨーク州などで反対運動が起きており、専門家は、環境問題が開発を妨げる可能性があると指摘する。

 しかし、ガスは、石炭に比べ温室効果ガス排出量が約6割だ。米国は昨年以後、温暖化防止に加え、資源争奪戦によるエネルギー価格高騰、国際紛争の防止も視野に、資源の存在が有望視される中国、インド両国に技術供与を始めた。ガス革命は、世界のパワーバランスを揺さぶっている。

(その2)

 ◇青ざめる露、イラン 影響力低下、対米・EU戦略に狂い

 「シェールガス革命」がもたらす「ゲームチェンジ」は産ガス国には一大事だ。

 世界最大のガス埋蔵量を誇るロシア。パイプラインを使い、欧州連合(EU)のガス需要の4分の1を供給する。70年代の2度の石油ショック以後、東欧諸国だけでなく、西欧向けのガス輸出を本格化させてきた。00年に就任したプーチン大統領(現首相)は、石油、天然ガスを「戦略物資」として使う方針を鮮明に打ち出した。

 06、09年には、ウクライナなどとのガス価格値上げ交渉が決裂したことを理由に「冷戦時代にも経験がなかった」(EU)ガス供給の一時停止に踏み切るなど欧州に強烈な影響力を行使してきた。ルーマニアのバセスク大統領はガス輸出を一手に担うロシア国営のガス会社・ガスプロムを「赤軍(旧ソ連軍)より怖い」と表現した。

 だが、米国でシェールガスの生産が本格化したことで、計算が狂い始めた。主に米国向けを想定していた世界最大規模のシュトックマン・ガス田は、開発遅延が決まった。長期契約を結ぶ欧州諸国の圧力で実質的な値下げをのまされた。

 地質学的にはポーランドなど東欧諸国以外でも、ドイツ、フランスなど欧州各国にシェールガスが存在する可能性が高い。採掘が成功すれば、ロシアの影響力低下は免れない。

 さらに需要急増を見込んでいた中国が、米国の技術支援を受けてシェールガス開発に乗り出せば、ロシアが東西で市場を失う恐れもある。財政収入の8%を占めるガス輸出の収入が減れば、国家経済運営に影響を及ぼす。

 「フランス人が、ワインと水を飲む生活を変えたいと思うわけがない」。今年2月、ロンドンでのセミナーで、ガスプロムのメドベージェフ副社長は、シェールガス開発の地下水汚染の危険性を警告した。ガスプロムは、「環境問題」を突破口に、開発に歯止めをかけることを狙う。





 埋蔵量世界2位のイランも影響を免れなかった。

 イラン政府高官は8月、ペルシャ湾岸のガス田、サウスパルスで進めていた液化天然ガス(LNG)計画を中断する考えを示した。核開発活動を背景に、国連安全保障理事会が6月に4度目の制裁決議を採択、これを機に、米欧諸国が独自の制裁を科し、欧州企業が撤退したため、技術面でメドがたたなくなったのが直接の引き金だ。だが、イラン当局者は「政治的理由ではない。米国でシェールガスが発見され、国際ガス市場が値崩れした。採算が合わなくなった。経済的理由だ」と強調した。

 米国は、シェールガス革命により100年分の国内需要を賄うガス資源を獲得、「イランのガスに頼る必要が無くなった」(米べーカー研究所)。イランは、ガス輸出で得られるはずの収入だけでなく、欧米との核交渉を有利に運ぶ有力なカードも、同時に失った。




 ◇「協調減産で対抗」模索 アルジェリア「OPEC的組織を」
 形勢不利な産ガス国も策を練り始めた。ロシア、イランなど産ガス国15カ国は今年4月、アルジェリアでの会合で、協調減産の可能性を探り始めた。

 アルジェリアのヘリル・エネルギー・鉱工業相は今年3月、メキシコのカンクンで開かれた国際エネルギーフォーラムで、持続可能な供給を続けるには一定程度の投資が必要で、そのためには、ガス価格が現在の4ドル前後から「8〜9ドル台になるのが望ましい」と発言した。石油輸出国機構(OPEC)のように、産ガス国が「ガスOPEC」を設立し、一致して生産調整に踏み切れば、価格反転の機会があるとの読みだ。

 今年9月、発足50周年を迎えたOPEC。チャラビ元OPEC事務局長は「世界最大の産出国サウジアラビアが、不足時は大増産、過剰時は収入減を顧みずに大幅減産を引き受けた。だからこそ、今もなお、影響力を維持できる」と説明する。

 「ガスOPEC」で、サウジの役割を果たす国はあるのか。国際エネルギー機関(IEA)の田中伸男事務局長は「緊急時に備えた余剰生産力を保持するには相当の費用がかかる。各国とも経済成長を維持するために収入が必要。そう簡単ではない」と指摘する。

 北米、欧州、中国、インド以外でも、豪州、インドネシア、南アフリカなどでも新たなガスの開発を見据えた取り組みが始まる中、ロシア、カタールなど産ガス国は、価格低下を量で補おうと、いま、増産を続けている。

 一方、地質学的に、日本にシェールガスが存在する可能性は極めて少ない。電力会社、ガス会社の天然ガス購入契約は、いずれも20年以上に及ぶ長期契約だ。石油の価格に連動してガス価格が決まるため08年の価格に比べて約3割下がっているが、現在は、シェールガス革命の恩恵を受けていない。

 しかし、ガスの安定供給にメドがたち、LNGのスポット価格も急落、「最大の勝者は消費者」との声も聞かれる。ガス資源の増大に伴い、契約更改時に価格交渉力が増し、将来、日本の消費者も価格低下のメリットを享受できる可能性がある。

 日本の企業も、シェールガスなど新たなガスの開発に乗り出した。住友商事、三菱商事は米国に進出。豊田通商は豪州で投資を始めている。【ロンドン会川晴之】

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
 重複コメントは全部削除と投稿禁止設定  ずるいアクセスアップ手法は全削除と投稿禁止設定 削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告」をお願いします。 最新投稿・コメント全文リスト
フォローアップ:

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > エネルギー2掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

     ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > エネルギー2掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧