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NHKのNHKスペシャル 灼熱アジア 第2回「中東 砂漠の富の争奪戦」を見た。正直な感想は、アラブ諸国は見事にアメリカをはじめとした欧米の戦略に乗せられているなというものだ。LNG(液化天然ガス)の開発をやっているカタールを除いて、ほとんど長期的に見ると事業としては成功しないだろう。太陽光発電でヨーロッパへ電力輸出をすると言う夢を語っていたが、まさに夢でしかない。電力の輸出は基本的に送電線で送るわけで、1000kmを超えて電力を送ったら、かなり多くは途中で消えてしまう。いわゆる送電ロスというやつだ。電線に抵抗があるから、幾ら電圧を高くしても一定程度損失が出る。ましてやそれが数千キロにもなれば、とても割の合う話にはならないだろう。 砂漠の国には確かに太陽光発電や太陽熱発電が相応しいのかもしれないが、当分の間は発電パネルや電池がかなり高価で商業的にペイしないだろうし、それらが安くなったとしても事業として利益が出るかと言ったら、かなり難しいと言わざるを得ない。そもそも、砂嵐がかなり激しい地域だから、太陽光パネルの管理が大変だ。 電力販売を国の産業として行うためにはかなり大規模な発電施設が必要だが、100メガワット規模の太陽光発電施設が現在建設されつつあると言う。1メガワットは1000キロワットだから、100メガワットは10万キロワットになる。これは日本国内にある新型の原発一基の約10分の1の出力だ。外貨獲得のためでは、とてもこのくらいの規模では話にならないし、電力安定供給を考えたら、結局、太陽光だけでは無理でしたと言う結果になると思う。 200兆円の石油の富があると言うことだが、意外に少ないのだなと感じた。そして、その内、2兆円をつぎ込んで人工の環境都市マスダール(MASDAR)を作るのだと言う。 http://www.wbcsd.org/plugins/DOCSEARCH/details.asp?DocTypeId=-1&ObjectId=MzYwOTk&URLBack=result.asp%3FDocTypeId%3D-1%26SortOrder%3D%26CurPage%3D1によると、必要な電力の半分を地熱発電で賄うらしい。2009年の年末に蒸気井戸の試掘を始めた。一本井戸を掘るのに必要な費用は500万ドル、つまり、約5億円ということだ。深さがどのくらいか分からないので簡単には比較できないが日本での費用とあまり変わらないか多少安いぐらいのはずだ。問題点とされるのは、砂漠地帯で水がないことだ。フラッシュ発電を考えているのか、それともバイナリーなのか、または、もっと別な形の熱交換を考えているのか、それについては触れていない。アイスランドの会社が地熱開発の担当をしているようだ。ただ、エネルギーの半分を地熱から得ると言う計画を立てたことからも分かるように、今の技術では、安定的に発電できる自然エネルギーは地熱しかない。 IRENAの本部はUAEのアブダビに置かれている。将来的にはMASDARに移る予定だと言う。 IRENA側がアラブ諸国へどのような情報提供をしているのか分からないが、アラブは結局、金だけ出して自らは研究開発をしないし、ものつくりを直接担当もする気もないように見える。これでは結局失敗することが目に見えている。 アラブ諸国が今やるべきは天候に左右されない発電方法を開発することだ。理系の人材を研究者だけでなく、実際の工事を行う人から運転時の管理を行う人まで自国民で賄うように教育制度を整えることが大事で、それと同時に、地熱発電や潮汐発電のような技術をもっと進歩させることに資金をつぎ込むべきなのだ。たとえ水を熱交換に使っても完全に閉じたシステムで外へ水蒸気が逃げないようなシステムを開発できれば、砂漠地帯でも地熱発電は可能だし、水を使わないシステムだっていろいろ考えらている。IRENAの関係者はどの程度これらのことについてアラブ諸国の首脳に情報提供しているのだろうか? 最後に、このようなアラブの状況を見ても、アメリカをはじめとした国際的な詐欺集団の手法が分かるはずだ。日本も注意したほうがいい。 *6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<131>>
IRENA(国際再生可能エネルギー機関)とアラブ諸国
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