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ウエアラブル機器 電源確保を効率化 東工大、体温使い発電 東京理科大、無線用い供給
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投稿者 あっしら 日時 2016 年 12 月 04 日 02:07:34: Mo7ApAlflbQ6s gqCCwYK1guc
 


ウエアラブル機器 電源確保を効率化
東工大、体温使い発電 東京理科大、無線用い供給

 ウエアラブル(装着型)機器に必要な電気を上手にまかなう研究が活発化している。東京工業大学は人の体温を利用して発電する技術を開発した。東京理科大学は無線で電気を送る技術を開発、バッテリーを効率よく充電する狙いだ。電気をうまく作って使えるようになれば、ウエアラブル機器のバッテリーの小型化などにつながる。使い勝手がよくなり、機器普及を後押しすると期待する。

 ウエアラブル機器は身につけて使う情報端末だ。リチウムイオン電池などを組み込んでいるが、充電に手間がかかる例が多い。デザイン性を高めるためにバッテリーを小型にすれば駆動時間が短くなる。使っているうちに少しずつ充電できるようにしたい、バッテリーを長持ちさせたいなどのニーズがある。

 東工大の菅原聡准教授らは熱を電気に変える「熱電発電」を活用した。この技術は材料の両端に温度差があると内部に電流が流れる現象を利用する。人の体温と外気温の温度差に着目した。

 IC向け技術を使い薄膜状のモジュール(複合部品)にする。ビスマス系化合物などを用いる熱電材料の厚さは約100ナノ(ナノは10億分の1)メートル。部品全体でも1ミリメートルの厚さで、腕時計型機器のバンド部分などに実装しやすい。従来のモジュールは高温の排熱などが主な対象で、厚みがあった。

 熱や電気の抵抗を制御する設計の工夫で、電気を効率よく生み出せる。電圧0.4〜1ボルトで約10ミリワットの電気が得られ、無線通信で必要な電力の一部をまかなえるとみる。

 菅原准教授は「充電の頻度を大幅に減らしたりバッテリーを不要にしたりするのが目標」と話す。大幅なコスト増も招かない見通しだ。2020年ごろの実用化を見込む。

 東北大学の成田史生准教授らは身の回りのわずかな揺れから電気を作る「振動発電」に注目し、新材料を開発した。鉄とコバルトの合金を直径0.2ミリ〜1ミリメートルの線材に加工し、エポキシ樹脂に埋め込んだ。材料が振動した際に磁気的な性質が変化する現象を利用して樹脂の近くに置いたコイルで電気を作り出す。

 「靴などに組み込めば、歩行時の振動などで発電できる」と成田准教授は話す。採用した合金は同大の古屋泰文客員教授が開発した。加工しやすく耐久性に優れている。レアアース(希土類)などを用いる従来の材料は加工が難しく、実用性に課題があったという。

 東京理科大の楳田(うめだ)洋太郎教授らは周波数が30ギガ(ギガは10億)〜300ギガヘルツの「ミリ波」と呼ぶ電波を使い、ウエアラブル機器に電気を供給する技術を開発した。数メートル離れた場所からでも電気を送れる。携帯型の充電用システムをかばんに入れ、本体に送ることなどを想定している。

 電波受信用のアンテナをウエアラブル機器に組み込む際は、アンテナの小型化が求められる。「周波数が高く効率的に電気を送れるミリ波が適している」(楳田教授)。企業と組み、3〜5年後に実用化したい考えだ。

 非接触で電気を送る技術では磁気を使う方法などが既にあるが、送電側とウエアラブル機器を近接させる必要があった。

ウエアラブル機器とは

 ▼ウエアラブル機器 腕時計や眼鏡型、衣服のように身にまとうタイプなどがある。米アップルの「アップルウオッチ」などが代表的な製品だ。通信、ゲーム、運動や健康状態の記録、電子決済などに使える。調査会社のシード・プランニング(東京・文京)によると2015年の世界市場の規模は約2800万台。25年には2億5300万台に増え、6兆円超の市場に拡大する見通しだ。

 使い勝手の向上を目指し、肌に貼り付けられる薄い有機ELディスプレーなどの開発が進む。熱電発電や振動発電のほか、薄くて軽い次世代太陽電池なども電源として有望視されている。

[日経新聞11月28日朝刊P.13]

 

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