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米国のシェールブームの新たな勝者「プロパンガス」
米国は価格の高い海外にプロパンガスの輸出を拡大している
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プロパンガス価格の上昇は暖房にプロパンガスを利用する600万を超える米国の家計に影響する見通し。写真はタンクにプロパンガスを充填する業者(イリノイ州、2015年12月)PHOTO: DANIEL ACKER/BLOOMBERG NEWS
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RYAN DEZEMBER AND TIMOTHY PUKO
2016 年 7 月 5 日 14:19 JST
米国のプロパンガス輸出が過去最大に膨らんでいる。シェールブームによって生産が拡大したプロパンガスを、米国の生産業者が価格の高い海外へ輸出しているのだ。それによって米国内の価格も上がり、独立記念日のバーベキューの燃料費は数カ月前より高くついたはずだ。
今年の米原油・天然ガス企業によるプロパンガスの輸出量は、米国に続く4大輸出国である石油輸出国機構(OPEC)加盟国のカタール、サウジアラビア、アルジェリア、ナイジェリアを合わせた量を初めて上回る見通しだ(米調査会社IHS調べ)。これら4カ国は長い間、プロパンガス市場で支配的な立場にあったが、2013年に米国はカタールを抜いて世界最大のプロパンガス輸出国になった。IHSによると、米国からのプロパンガス輸出は既に同市場の海上輸送全体の3分の1を上回っている。
米エネルギー情報局(EIA)によると、米国の輸出量は2月に日量88万4000バレルと過去最高水準に達した。エネルギー関連データ提供会社のプラッツアナリティクスは、米国は5月に最高記録を更新したとみているが、同月の政府データはまだ公表されていない。輸出増は輸送量が1年前の倍に増えたパイプラインや輸送拠点、タンカーなどの新たなネットワークによって可能になった。
エネルギー関連投資会社ケーン・アンダーソン・キャピタル・アドバイザーズのパートナー、ロン・ローガン氏は、プロパンガス市場について「多くの投資を引きつけ、そのサクセス・ストーリーが注目を集めている」と述べた。
https://si.wsj.net/public/resources/images/MI-CQ441_PROPAN_16U_20160701184513.jpg
左:米国のプロパンガス生産量、中央:プロパンガス価格(1ガロン当たり)、右:米国のプロパンガス輸出量と見通しを含めた輸出能力(日量)
天然ガス液(NGL)であるプロパンガスは天然ガスの掘削と原油精製の過程で生じる。シェールブームで生産が拡大してきたが、一時は供給が増えすぎ、生産業者が顧客にカネを払って引き取ってもらわざるを得ないこともあった。
しかし、プロパンガスは他の燃料と比べて輸送がずっと容易なため、業者は輸出を拡大してきた。輸出の約半分は中南米に、残りは北西ヨーロッパやアジア向けだ。
海外にはプロパン価格が米国内より高い国が多い。原油価格情報のオイル・プライス・インフォメーション・サービス(OPIS)によると、プロパンガス価格は米国に比べ欧州が20%高、日本が29%高となっている。輸出増によって米国内市場の価格を圧迫していた供給過剰も緩和しつつあり、プロパンガス生産業者の収益には追い風が吹いている。
54億ドル(約5540億円)をかけたパナマ運河の拡張工事が6月に完了したことも、プロパンガス生産国としての米国の支配的な地位をさらに高める可能性がある。日本や中国、韓国といったアジアの大市場にプロパンガスを運ぶ大型船が一層早く安く運航できるようになったからだ。
これは、コモディティー価格の大幅安に苦しむ米原油・天然ガス掘削業者にとっては非常に嬉しい展開だ。相場の下落を受けて多くの業者が破たんに追い込まれている。
投資家はプロパンガス相場が続伸すると見込んでおり、生産業者や輸送業者の株価は今年、非常に堅調に推移している。
ペンシルベニア州で抽出されるプロパンガスの輸送を手掛ける天然ガス会社レンジ・リソーシズの株価は年初来81%上昇している。また、パイプライン建設や天然ガス採取を手がけるオネオク・パートナーズの株価は同93%上昇、天然ガスの集積・処理を行うDCPミッドストリーム・パートナーズは同41%上げている。
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