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小型風力発電、出力アップで普及に追い風 トレンド・ボックス スペイン・エネラ、アイルランドC&Fグリーンエナジー、ゼ
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投稿者 軽毛 日時 2016 年 6 月 14 日 14:10:24: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

小型風力発電、出力アップで普及に追い風

トレンド・ボックス

スペイン・エネラ、アイルランドC&Fグリーンエナジー、ゼファー、台湾Hi-VAWTテクノロジー、NTN、リアムウィンド・九州大学
2016年6月14日(火)
宇賀神 宰司
本格的な普及期を迎えつつある小型風力発電。他の再生可能エネルギーに比べ高値に設定された買い取り価格が普及を後押しする。風車の出力向上と設備全体のコストダウンを目指した多くの技術革新が起きている。

自然風力発電(仙台市)が設置したスペイン・エネラ製の小型風力発電。6基並べて設置し、総発電量を高めている
 今年3月2日から3日間、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催した「第4回国際風力発電展」では、欧米、中国、台湾、日本メーカーが競って小型風力発電の最新モデルや開発中の製品を展示した。メーカー担当者は、性能や設置コストなどを売りに、来場者へ熱のこもったアピールを続けていた。

 日本では出力20キロワット(kW)未満の風力発電を小型と定義している。そして今、この小型風力発電の設置がブームになりつつある。後押ししているのは太陽光発電に比べて2倍以上の高値で売電できる再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)だ。

 小型風力は1kW時当たりの買い取り価格が55円。対する太陽光は昨年7月に引き下げられ27円(10kW以上)となっている。太陽光の導入が急増したことなどから、経済産業省は価格を是正。そのため、「太陽光の導入を検討していた個人や企業が、小型風力に関心を示すようになった」と各メーカーの担当者は口をそろえる。また、世界風力エネルギー協会によれば、小型風力の発電容量は、世界的に見ても最近5年間で年率20%前後伸びている。

 小型風力の普及の背景には大型風力と比べた際の導入の手軽さもある。風力エネルギーは受風面積に比例するため、風車の羽根であるブレードが長いほど出力が高くなる。小型に比べ大型の方が出力効率は高く、コストパフォーマンスの面でも有利だ。だが、大型の設置には広大な面積が必要になる上、一般的に、ブレードが長くなるほど発生する騒音や低周波音が増える。最大でも高さ25m程度の小型に比べ、100m以上にもなる大型風車は景観への配慮も必要だ。設置を巡って訴訟に発展し、計画を中断した例もある。

大型風車に比べるとかなりコンパクト
●小型と大型風力発電の大きさと出力の比較

日本では20kW未満の風力発電を小型と定義。MW(メガワット)級の大型風車と比べると出力は桁違い。 小型は最大でも高さ25m程度だが、大型は100mを超え、洋上用は250mにも達する
●小型風力発電の仕組み

一般的な小型風力発電の仕組み。売電のためには電力会社の送電網である電力系統に接続する系統 連系と呼ぶプロセスがあり、そのために電力変換装置などの機器が必要になる
 現状、小型と大型とでは出力が桁違いのため代替エネルギー源にはなり得ない。だが、設置数が増えれば小型も日本の再生可能エネルギーの一翼を担う可能性がある。

認証を目指す動きが強まる

風車の形状を工夫して出力を高める
●小型風力発電の風車の主な形状

 FITを適用して売電するには日本海事協会の型式認証を得た風車を使用することが条件となる。3月16日現在、登録されているのは13製品だ。市場の追い風を受け、風車の形態や回転制御に関する新技術の開発も進んでいる。

 小型風力発電には大きく分けて水平軸と垂直軸の2つのタイプがある。水平軸型は、大型風力発電でも多く使われる3枚ブレードのプロペラ型が代表例。回転軸が地面に対して水平で、風向きに追随して風車が動く。垂直軸型に比べ、発電効率は高いとされる。

 一方、垂直軸型は回転軸が地面に対して垂直に固定されており、風を全方向から捉えられるのが特徴だ。現在、型式認証を得ているのは台湾Hi-VAWTテクノロジーの製品のみ。

 垂直軸型には、出力は低いが風速が低くても回転するサボニウス型と、高出力を得られるが風速が高くないと回転を始めないダリウス型がある。Hi-VAWTはこの両方を組み合わせ1つの風車に搭載している。両方式の利点を生かし、低速でも回転を始め、高速になれば高出力を得られる。


ベアリング大手のNTNが開発中の垂直軸型小型風力。来年の製品化を目指す
 この垂直軸型のHi-VAWT製品と水平軸プロペラ型のスペイン・エネラの製品の双方を販売する自然風力発電(仙台市)の山本攻社長は「海岸沿いなど水平に一定の風が吹く場所は水平軸型、段差がある高台など風が吹き上げる場所には垂直軸型が向く」と話す。

 垂直軸型はベアリング大手のNTNも開発に乗り出している。浜松市のベンチャー、グローバルエナジーが開発した羽根の特許使用権を取得し、来年中に型式認証を得て発売を目指す。

高風速時に風車を止めない

 風力は風速の3乗に比例する。プロペラ型の多くの機種では風速毎秒3mくらいから出力し始め、9m程度で最高出力に達する。だが、台風や突風などで風速が強すぎると、過剰回転による危険防止のために風車を止めてしまう。せっかく高出力を得られる高風速時に止めるのは無駄が多い。そこで高風速時に風車を止めない工夫が必要になる。

 出力が最大級の小型風車を製造するアイルランドC&Fグリーンエナジーの「CF20」はブレードの角度を調整し、強風時に風を逃がして過剰回転にならないようにするピッチ制御が可能。そのため風速毎秒25mまで止めずに発電ができる。大型風車には搭載されている機能だが小型では珍しい。

 風力ベンチャーのゼファー(東京都港区)が開発したエアドルフィンは高風速時、風車の回転を電気的に制御することでどんな強風下でも風車は回り続ける。ブレードに、軽量で剛性に優れる炭素繊維を使うことで実現できた。

 一方で最高出力に達する前の低中風速時での発電効率を高める工夫をしているのがレンズ風車だ。


九州大学の大屋裕二教授は複数の風車を組み合わせたマルチローターシステムを開発
 プロペラ型のブレードの外側を囲む輪「集風体」が最大の特徴。九州大学と同大学発ベンチャーのリアムウィンド(福岡市)が開発した。九大応用力学研究所の大屋裕二教授は「集風体によって風の渦を作ることで風力を強める。同サイズのプロペラ型に比べ2〜3倍に出力が向上する」と話す。

 大屋教授が現在、実用化に取り組んでいるのがマルチローターシステムと呼ぶ、1つの支柱に複数の風車を取り付けた製品。3.1kWの風車を3つ取り付けた機種を九大内に昨年12月に設置した。3つのレンズ風車をまとめて配置することで風力を強める相乗効果があり、発電量が10%程度上がるため10kWの出力が得られる。小型ならではの出力を高める工夫だ。

課題は設備のコストダウン

 小型風力の最大の課題は設置コストが割高なことだ。20kWで2000万〜3000万円にもなる。その対策として新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は産学と連携し委託・共同開発を開始した。小型風力発電の主要部品である電力変換装置などの研究開発を実施し、部品の標準化を進め30%のコストダウンを目指している。

 売電のためには電力会社の送電網に小型風力が生み出した電力を供給する系統連系と呼ぶ接続作業が必要になる。小型風力は風量によって発電量が頻繁に変化する特性がある。従来は各メーカーが独自に最適なパワーコンディショナーを開発してきたが、標準化できれば無駄な機能や部品を省ける。

 今後、各メーカーは風車だけではなく、設備全体の技術をより競っていくことになるだろう。

(日経ビジネス2016年3月28日号より転載)


このコラムについて

トレンド・ボックス
急速に変化を遂げる経済や社会、そして世界。目に見えるところ、また見えないところでどんな変化が起きているのでしょうか。そうした変化を敏感につかみ、日経ビジネス編集部のメンバーや専門家がスピーディーに情報を発信していきます。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/226265/061300035  

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コメント
 
1. 2016年6月21日 22:54:39 : vWH0Fy7bYc : mIoLdZotStw[1]
何十年も前から似た話ばかり、燃料電池も一緒。

2. 2017年6月30日 12:24:20 : LY52bYZiZQ : i3tnm@WgHAM[-5260]
Special | 2017年 06月 30日 11:44 JST
関連トピックス: トップニュース
焦点:欧州風力発電、生き残り賭けた「超巨大風車」

http://jp.reuters.com/news/picture/%E7%84%A6%E7%82%B9%EF%BC%9A%E6%AC%A7%E5%B7%9E%E9%A2%A8%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB-%E7%94%9F%E3%81%8D%E6%AE%8B%E3%82%8A%E8%B3%AD%E3%81%91%E3%81%9F%E3%80%8C%E8%B6%85%E5%B7%A8%E5%A4%A7%E9%A2%A8%E8%BB%8A%E3%80%8D-idJPKBN19K0BQ&slideId=1191088565
6月27日、欧州の風力発電事業者は、高層ビルにも匹敵する、新世代の巨大風車に将来を賭けようとしている。デンマーク沖の風力発電所で2009年9月撮影(2017年 ロイター/Bob Strong)

[コペンハーゲン/フランクフルト 27日 ロイター] - 欧州の風力発電事業者は、高層ビルにも匹敵する、新世代の巨大風車に将来を賭けようとしている。それは欧州各国で、1990年代以降グリーン産業を形成してきた補助金が削減されるなか、彼らが生き残る鍵になるとみられている。

洋上風力発電の世界的大手であるデンマークのドン・エナジー(DENERG.CO)、独EnBW(EBKG.DE)、スウェーデンのバッテンフォールの3社はそれぞれ、政府の補助金削減への対応策として、巨大風車に着目しているとロイターに語った。

少なくとも、シーメンス・ガメサ(SIEGn.DE)が、来年までに巨大風車のプロトタイプを建設し、今後5年以内に最初のウィンドファームが稼働する見込みだ、と風力発電機メーカーや技術者への取材で明らかになった。

巨大風車は、それぞれ高さ300メートルにも達し、西ヨーロッパで一番高い英ロンドンの「ザ・シャード」ビルとほぼ並ぶ高さで、回転面の直径は200メートルと、サッカー場2つ分を並べた長さになる。

1990年代初頭から発展を支えてきた政府補助金の段階的打ち切りが決まり、風力発電業界は重要な岐路に立たされている。欧州各国では、風力発電を商業採算ベースに乗せ、他の電力源と競争できるようにするため、かねてからの計画通り、補助金を削減して圧力をかけ始めた。

欧州の洋上発電産業の拠点となっているデンマーク、ドイツ、オランダ、英国は、今後10年で段階的に補助金をなくす方針だ。事業者にとっては重要な収入源が絶たれることを意味する。2014年に実施された入札では、補助金はいまだに欧州の風力発電事業の収入の半分程度を占めていた。

こうした状況を受け、ドン・エナジーとEnBWは、2024年に運転を開始するドイツ風力発電所プロジェクトの4月入札において、補助金を考慮しない事業計画案を提示した。補助金ゼロを前提とした入札は業界初で、風力発電業界の一里塚となる出来事となった。

その一方で、風力発電事業者がいかに利益を上げて自らの存続を図りつつ、石炭火力や原子力発電の代替となり得る商業的に魅力的な電力提供ができるのかとの疑問の声も上がった。

事業者によると、答えは、巨大風車だ。より多くの風を捉え、メガワットあたりの発電コストを下げることができるという。巨大風車1台あたりの出力は10─15メガワットになる。現在稼働している最大の風車は、三菱重工業とデンマークのベスタスの合弁企業「MHIベスタス」が製造したもので、高さ195メートル、出力は8メガワットだ。
http://static.reuters.com/resources/media/editorial/20170628/wind-turbines.gif
だが、巨大風車で全てが解決する保障はない。

技術面では、非常に巨大な風車タワーを建設し、強力な風の力に耐えられる、スリムで軽いブレードと呼ばれる羽を開発しなければならない。経済面においても、巨大風車が発電効率を改善したとしても、補助金ゼロでプロジェクトの採算が取れるかを疑問視する専門家もいる。

<巨大風車のプロトタイプ>

それでも、発電事業者は、新たな技術をあてにしている。

スウェーデンのバッテンフォールの海外事業を統轄するMichael Simmelsgaard氏は、10メガワット風車の登場は、「多くの人が想像するより早く実現する」と予想する。10メガワット級の風車は、9000世帯に電力供給できる。

ドン・エネルギーの風力発電を担当するサミュエル・ロイポルト氏は、今月ロンドンで開かれた洋上風力発電の国際会議で、「13─15メガワットの風車を導入できる」と発言。これまで10メガワット級の風車については議論があったが、それを上回る大きさの出力について業界幹部が公の場で言及したのは初めてだった。

独EnBWも、巨大風車に関心を寄せている。同社の発電ポートフォリオ開発を担当するDirk Guesewell氏は、「効率を上げるには、大きさが重要だ。回転翼が大きければ、同じキャパシティの電力を発電するのに風車の数が少なくて済む」と話す。

ドイツの風力発電機大手センビオンは、出力10メガワット超の風車を開発していることを明らかにした。まだ設計段階だが、すでに事業者に提案しており、担当者は今後5年以内に設置が始まる見込みだと語る。

シーメンス・ガメサに協力している技術者によると、同社は、来年までに巨大風車のプロトタイプを建設するという。大手風車メーカー数社と働く別の技術者によると、巨大風車の設計は業界全体で、ほぼ完成しており、プロトタイプの製作がもうすぐ始まるところだという。シーメンス・ガメサはコメントの求めに応じなかった。

<技術的ハードル>

最大の技術的ハードルは、海底に基盤を固定する風車構造に過度な負荷を与えることなく、ブレードを長く伸ばすことにある。ブレードの長さは現在稼働する最も強力な風車のそれよりも約50メートル長くなる。

常にさまざまな強さの風にさらされるブレードの製造は、カーボンやガラス繊維製のレイヤーを接着して正確な温度で乾燥させなければならず、極めて複雑だ。

風力発電の先端技術を開発してきたデンマークの国立研究機関、デンマーク工科大学(DTU)ウィンド・エネルギーは、炭素繊維の量を増やして、長大なブレードの重量を抑える研究をしている。乱気流でもブレードが壊れないよう、航空機の翼のフラップ部分に似た構造を採用したブレードも設計した。

「一般の人も、航空機やヘリコプターの翼を計算するのが複雑だと理解している。風車も同じように複雑で、同じ技術を使っている」と同研究所のフレミング・ラスムセン氏は話す。

<採算性の問題>

巨大風車が稼働しても、事業者が補助金なしに利益を出すためには、他の条件を満たす必要がある。重要なのは、収益が投資コストを上回るレベルまで、電力価格を引き上げることだ。

バーンスタインの研究者は、現在の電力価格予測に基づけば、事業者が補助金ゼロで事業収支をトントンまで持ち込むには、設備投資を6割程度カットする必要があると試算する。一方で、風車サイズを7メガワット級から14メガワット級に大型化すれば、設備投資は4割程度削減できるとしている。

また、現在のメガワット時当たり30ユーロの電力価格は、2023年までに5─6ユーロ値上げされるとみている。

「補助金なしの事業で採算性を取るには、コスト削減と電力価格引き上げの両方が必要だ」と研究者は指摘する。

(Stine Jacobsen記者, Vera Eckert記者、翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

http://jp.reuters.com/article/windpower-megaturbines-idJPKBN19K0BQ?sp=true


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