9. 2015年12月16日 15:07:23
: LY52bYZiZQ
: i3tnm@WgHAM[144]
Column | 2015年 12月 16日 14:18 JST 関連トピックス: トップニュースコラム:パリ協定「脱石炭」は絵に描いた餅か http://s3.reutersmedia.net/resources/r/?m=02&d=20151216&t=2&i=1102689531&w=644&fh=&fw=&ll=&pl=&sq=&r=LYNXMPEBBF09K 12月14日、パリで開催されていたCOP21において、気候変動に関する歴史的な世界的合意が得られた。だが、「汚れた燃料」である石炭からの脱却が実現するとしても、汚れた空気で咳き込まずに済むようになるには、まだ長い時間がかかりそうだ。COP21が開催されたパリ郊外のルブルジェで11日撮影(2015年 ロイター/Stephane Mahe) Clyde Russell ⁅ローンセストン(豪州) 14日 ロイター⁆ - パリで開催されていたCOP21において、気候変動に関する歴史的な世界的合意が得られた。これによって石炭利用に終止符が打たれたことには、思わず喝采を送りたくなる。 だが、「汚れた燃料」である石炭からの脱却が実現するとしても、汚れた空気で咳き込まずに済むようになるには、まだ長い時間がかかりそうだ。 理由は簡単だ。世界第1位と第3位の二酸化炭素排出国である中国とインドでは、今後数十年にわたって依然として石炭が主要燃料として使われるからだ。 過去2年間で石炭利用に関する方針をかなり大きく変更した中国だが、先週末にパリで閉幕したCOP21(第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議)における公約は、2030年までに排出量がピークアウトするというだけの内容だった。 つまり、エネルギーミックスにおける石炭のシェアを60%以下に減らすことを約束しているとはいえ、中国は今後14年間、排出量を増やしていくことが許容されるということだ。 インドは炭素排出量の絶対量ベースでの削減については何も公約せず、GDP比での温室効果ガス排出量を今後15年間で3分の1削減することを約束しただけだ。 つまりインドの目標は、2030年までに炭素強度(カーボン・インテンシティ=GDPあたりの炭素排出量)を2005年の水準に比べ33─35%削減することである。 インドが一方で、数億の国民を貧困から脱却させるために急速な経済成長を計画していることを考えれば、たとえ同国がより効率的にエネルギーを利用したとしても、絶対量ベースでは炭素排出量は増加することになる。 インドは依然として2020年までに石炭産出量を現在の2倍に当たる15億トンに増やすことを計画している。これも野心的な目標だとはいえ、もし実現すれば炭素排出量という点では不吉な影がさす。 インドは今後数年でさらに170─200ギガワット相当の石炭火力発電所を新設する可能性があり、運転のためには実に年間5億トンの石炭が必要になる。 インドが予定している石炭火力発電の増加分は、再生可能エネルギーによる発電を2020年までに175ギガワットまで増やすという目標と同レベルである。こちらは2030年までに350ギガワットまで拡大する可能性がある。 <さらに多くの資金が必要に> このことからも分かるように、インドは中国と同様、かなりの規模でクリーンなエネルギーを追加する計画ではあるが、新規の石炭火力発電が必要なくなるというほどではない。 パリ会合では、先進諸国がクリーン・エネルギー開発の資金として2020年まで年間1000億ドル(約12.2兆円)を開発途上国に供給すると約束した。これは大きな公約のように思えるが、現実には、中国やインド、またインドネシアなど他のアジア新興市場諸国が環境汚染を抑制していくために必要な資金に比べれば、恐らくかなり小さな金額である。 インドの排出量削減計画はずいぶん控えめだが、それでも実現のためには2030年までに2兆5000億ドルの資金を必要としている。したがって、先進諸国は開発途上国に対して、現在予定されているよりも多くの支援を行うことになる可能性が高い。 このレベルの資金供給が可能かどうかも意見が分かれるところだ。特に、2030年以前に米共和党が大統領の座を奪い返したらどうなるか分からない。 共和党の大物の多くが気候変動そのものに懐疑的であることを思えば、共和党出身の大統領が、オバマ現大統領と同じように地球温暖化対策を支持するかどうかは微妙だ。 パリでの首脳会議が何を変えたのかといえば、それは、石炭をはじめとする化石燃料の時代が終焉を迎えつつあることを実質的に宣言した点である。 もちろん、首脳会議での公約を真摯に遂行していくこと、そして各国・民間企業がグローバル経済の脱炭素化に必要な数兆ドルもの投資をしっかり行っていくことが前提である。 だが、気候変動対策や、天然ガスや屋上太陽光発電パネルなどの代替策の低価格化による効果がどの程度になるかはさておき、米国・欧州で石炭の前途が脅かされているとしても、アジアでは石炭時代の終焉ははるかに先だ。 <開発途上国に求められる飛躍> アジアにおける石炭利用の拡大を抑える唯一の方法は、インドやインドネシアなどの国々に、産業発展の一段階をうまく省略してしまうよう促すことだ。 どういうことかと言えば、これらの国々は発電所や送電グリッドを整備するべきではない。その代わりに、家庭向けの小規模な再生可能エネルギーや、産業向けの大規模な再エネ・プロジェクトへと直接移行することで自国経済の電化を進めるのである。 現状では、インドやインドネシア、あるいはアジアのどこの国も、このような道を選んでいない。むしろこれらの諸国はいずれも巨大な発電所と送電ネットワークの構築を計画している。 だが、アフリカにおける携帯電話の普及を見れば分かるように、こうした「リープフロッギング(蛙飛び)」は可能である。アフリカ大陸の国々の多くは、銅線や光ケーブルによるネットワーク構築の段階を事実上スキップして、音声・データを伝送可能な携帯電話ネットワークへと直行した。 アジアでも、アフリカでも、電化に関して同じプロセスを起こすことは可能である。しかしそのためには、関係各国政府の政策思考を劇的に変える必要がある。 それが実現しなければ、開発途上国において、少なくとも今後10年間ないし20年間、石炭の将来は安泰ということになろう。 *筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン) *このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。 http://jp.reuters.com/article/column-russell-climatechange-summit-asia-idJPKBN0TZ0G020151216?sp=true |