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火力、石炭は5割まで
電力会社、来年度から 経産省が規制
経済産業省は温暖化ガスの排出量が多い石炭火力発電所の建設を規制する。電力各社の火力発電に占める比率を上限50%程度(電力量ベース)に抑えるほか、新設する際には発電効率の悪い老朽発電所の廃止や稼働休止を求める。火力発電所の更新を促し、国際公約である温暖化ガスの排出目標の達成につなげる。
年度内にも省エネルギー法の告示を変え、2016年度から適用する。新規制への違反状態が長引き、修正努力も見られない場合は改善命令を出して罰金を科す。
新規制では大手電力や新規参入業者の火力発電の構成比に枠を設ける。石炭などの上限を火力発電全体の50%程度、LNG(液化天然ガス)を50%以上にする共通指標を策定。16年度以降、電力会社に指標の順守を義務づける方針だ。
新設する火力発電所も発電効率に基準を設け、それを下回る発電所を建設できないようにする。古い発電所からガス排出量の少ない最新の発電所に置き換え、国全体の排出量を減らす。
政府が決めた30年度の望ましい電源構成(ベストミックス)では、ガス排出量が多い石炭火力を全電力量の26%、比較的少ないLNG火力を27%にする計画だ。
大手電力の火力発電に占める石炭火力の比率は35%程度。既に新設が決まっている石炭火力発電所も多いため、経産省は電力会社に任せていては望ましい電源構成を達成できないと判断した。
石炭火力発電所の規制では、環境省が環境影響評価(アセスメント)に基づいて山口県の石炭火力など国内3発電所の新設について「是認できない」との意見を表明した経緯がある。
経産省は電力会社ごとに石炭火力の上限を設けることで発電所の新陳代謝を促し、温暖化ガス排出量を削減する国際公約を達成したい考えだ。電力業界にも排出を抑える具体的なルールの策定を促すが、確実な削減の仕組みを求めている環境省の理解が得られるかどうかは不透明だ。
LNG発電所の新設には多額の投資と長い時間がかかる。このため経産省は長期にわたって改善の努力が見られず、違反したままで常態化するような場合に罰金などを科す方針だ。
ただ現時点でLNG発電所を持たない北海道電力や北陸電力などは共通指標の導入直後から違反した状態になり、石炭火力発電所の新設は極めて難しくなる。電力会社側からは強い反発が出されそうだ。
[日経新聞9月21日朝刊P.1]
[きょうのことば]石炭火力発電所 国内需要の3割賄う
▽…石炭を燃やして生まれたエネルギーで電気をつくる発電所。石炭は原油や天然ガスよりも燃料費が安く、24時間稼働する「ベースロード電源」として国内の電力需要の約3割を賄う。世界の埋蔵量が豊富で、調達先が特定地域に偏るリスクは小さい。2011年の東京電力福島第1原子力発電所事故後の電力不足に対応するため、国内で新設計画が相次いだ。
▽…ただ環境面では課題が多い。硫黄酸化物や窒素酸化物などの大気汚染物質が発生するうえ、二酸化炭素(CO2)の排出量は液化天然ガス(LNG)火力の2.4倍。石炭をガス化したり、燃料電池を組み合わせたりして環境への悪影響を抑える研究が進むが、発電コストの上昇を招くため、実用化に至っていない。
▽…望月義夫環境相は6月以降、山口県宇部市の大型石炭火力など3件の新設計画に対し、環境影響評価(アセスメント)法に基づき「待った」をかけた。電力業界を所管する経済産業省は一定の石炭火力は今後も維持したい考えで、政府内で石炭火力に対する認識のズレがある。
[日経新聞9月21日朝刊P.3]
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