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米国防総省が2025年までに再エネ3GWを導入へ、安全保障とコスト削減を両立
Junko Movellan=ジャーナリスト2015/09/09 00:00
米国の陸軍、海軍、空軍、海兵隊の4つの軍を配下に抱える米国防総省は、2025年までに太陽光発電を含め出力3GWもの再生可能エネルギーの導入計画を掲げている。同省は、エネルギーコストの削減に加え、海外からの輸入燃料への依存度を減らすことで、エネルギーの安全保障と持続可能性を高める、というミッションを担っている。
米国防総省は年間200億ドルをエネルギー調達に費やし、約50億ガロンもの石油を消費するという、世界でも最大規模のエネルギー多消費型の組織である。同省は2025年までに消費するエネルギーの25%を再生可能エネルギーで賄うというゴールを立てた。同省の配下である陸軍、海軍、空軍は、それぞれ2025年までに最低1GWの再生可能エネルギーを導入すると公約している。3つの軍を合わせると3GWになるわけだ。
すでに再エネ比率は10%を超える
2015年5月に同省が発表したエネルギーマネジメントレポートによると、2014年度時点で、空軍は6.7%、陸軍11.3%、そして海軍は26.5%のエネルギー需要を再生可能エネルギーで賄っている。国防総省全体では12.3%になり、目標である25%の約半分まで達したことになる。
2014年度時点で同省は、1130以上の再生可能エネルギーに関するプロジェクトを進めている。地熱発電が発電量では全体の約50%を占める。さらに、2014年に陸軍が60MWのバイオマスをフォートドラム(Fort Drum)基地に導入したことにより、バイオマスの割合が21%までに高まった。次に太陽光発電が11%を占める。太陽光は、米国内の基地に645のシステムを設置し、発電している。
米国防総省の各組織は、軍事基地内に大規模・分散型発電所を建設する場合であっても、自らプロジェクトを所有せず、主にプロジェクトデベロッパーに開発・設置を委ね、長期間の電力購入契約(Power Purchase Agreement : PPA)を結ぶ。
米国防総省が再生可能エネルギーに力を入れているのは、安全保障を高めるという戦略的な理由からだ。基地内に分散型発電所を設置することにより、老朽化する送・配電線インフラ、そして遠隔の発電所に頼ることなく、災害時でも電力を確保できる。さらに、電力を長期契約で調達することで、エネルギー市場の変動リスクも削減できるわけだ。
2015年8月、海軍は発電所の開発・運営を行う米Sempra US Gas & Power社とメガソーラー(大規模太陽光発電所)を電源としたPPAを結んだ(図1)。米政府機関が締結した同種の契約例では、最大規模となる。Sempra US Gas & Power社は、カリフォルニア州サンディエゴ市に拠点を持ち、Sempra Energy社の子会社である電力会社San Diego Gas & Electric(SDG&E)社の姉妹会社にあたる。
9000万〜4億ドルの電気代削減効果も
Sempra社はカリフォルニア州内の計14カ所の海軍と海兵隊基地に、同社が現在、アリゾナ州に建設中の「Mesquite Solar 3」(パネル出力210MW/連系出力150MW)から電力を供給する。年間発電電力量は一般家庭約10万軒分の使用電力量に相当し、14カ所で消費する電力量の3分の1を賄う。
このメガソーラーはSempra 社が開発・運営する。65万枚の太陽光パネルを使用し、2016年末までに建設が完了する予定だ。電力購入契約の詳細は明らかにしていないが、海軍では25年間にわたり9000万〜4億ドルの電気料金を削減する効果がありそうだ。
海軍は、メガソーラーだけではなく、屋根置きの分散型太陽光発電システムの「大規模」契約も交わしている。2014年、米国における住宅用太陽光発電システムの設置・販売でナンバーワンのSolarCity社と、カリフォルニア州南部サンディエゴにある海軍と海兵隊用の住宅屋根に設置される太陽光発電設備から電力を購入する契約を結んだ。システムを供給する住宅の数は約6000軒で、設置容量は20MWに達する。契約期間は20年間で、電力単価は化石燃料を使った火力発電を下回るとしている。
空軍は、ジェット燃料を使用することから、国防組織の中で最もエネルギー消費量が多い。年間の電気と燃料を合わせたコストは90億ドルにのぼる。そんな状況にありながら、空軍は1GWのゴールを他の機関と比べ2016年までに大きく前倒ししている。さらに2030年までに全ての新しい建物をネットゼロエネルギー化する目標も掲げている。
空軍は2014年1月に、アリゾナ州ツーソンのデビスモンサン(Davis-Monthan)基地に16.4MWのメガソーラーを導入した(図2)。同発電所は、この空軍基地の電力需要の35%を賄い、さらに25年のPPAにより、年間50万ドルの電気料金を削減できる。メガソーラーを開発した米SunEdison社は、世界でも最大規模のプロジェクトデベロッパーで有名。空軍は同社と25年のPPAを結んだ。
図2●アリゾナ州の空軍基地に導入された16.4MWのメガソーラー
(出所:米国空軍、デビスモンサン基地空軍基地)
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空軍は高変換効率の太陽光パネルのメーカー兼プロジェクトデベロッパーで知られる米SunPower社と、2014年に19MWのメガソーラーをネバダ州ネリス基地に導入する契約を結んだ。同社は2007年に同基地に14MWのメガソーラーも建設している。
陸軍は「ネットゼロ」の基地を目指す
陸軍は運輸・運送を海軍・空軍に頼るので、3機関の中ではエネルギーコストが比較的低いが、それでも年間13億ドルの電力コストが発生する。陸軍は、現在導入済みと設置中を合わせた400MW以上の太陽光発電からの電力供給契約を結んでいる。
陸軍はメリーランド州のフォートデトリック(Fort Detrick)基地に15MWのメガソーラーを2015年4月に着工した。このプロジェクトコストは約350億ドルと言われ、基地内の399エーカーに6万枚の太陽光パネルが使用される予定である。この基地は「ネットゼロ」コミュニティーを目指しており、15MWのメガソーラーは同基地の10%の電力消費を賄う。メリーランド州に拠点を持つ米Ameresco社がシステムの設計・建設から運営を担い、陸軍と25年間のPPAを結んだ。システムは来年3月に完了する予定だ。
陸軍は8月に米国南部のジョージア州における、「3x30」プロジェクトを発表した。これは同州内の3つの基地内に各30MW、計90MWのメガソーラーを導入するものだ(図3)。3つの基地とは、フォートベニング(Fort Benning)、フォートゴードン(Fort Gordon)、フォートスチュアート(Fort Stewart)だ。メガソーラーは同州で最大規模の民営電力会社Georgia Power社により開発・運営され、陸軍が電力を買い取る。
図3●ジョージア州フォートスチュアート陸軍基地に導入される30MWのメガソーラーの着工式
(出所:米国防総省)
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同社によると、このメガソーラーによる電力購入価格は同社の回避可能原価(avoided cost)、またはそれ以下で、従来の火力発電による発電単価に匹敵するらしい。2016年にこのプロジェクトが発電を開始すると、同州における陸軍のエネルギー需要の18%を再生可能エネルギーで賄うことになる。
Georgia Power社はさらに同州のキングスベイ(Kings Bay)海軍潜水艦基地に750万ドルを費やし、30MWのメガソーラーを建設すると発表した。
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