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電極に硫黄使い、リチウムイオン電池容量を4〜5倍に
産総研や関大、3〜5年後に実用化へ
幅広く使われるリチウムイオン電池の電極に硫黄を採用することで電池の容量を4〜5倍に増やす技術の開発が相次いでいる。硫黄は電解液に溶け出しやすいが、産業技術総合研究所は電極の金属と強く結合させることで克服した。関西大学は電極の構造を工夫し、問題を解決した。スマートフォン(スマホ)などの携帯機器を充電する頻度を大幅に減らせる見込み。電池メーカーなどと組み3〜5年後の実用化を目指す。
リチウムイオン電池はリチウムイオンが電解液を通じて正極と負極の間を行き来することで充放電を繰り返す。正極にレアメタル(希少金属)を含むコバルト酸リチウムなどを使っている。
硫黄は電気を多く蓄える性質があり、電極材料に向く。希少資源でもない。硫黄を微粒子状に加工し、表面積を増やしたうえで正極に活用する研究などが進んでいる。ただ充放電を繰り返すと電解液に溶け、電池の性能を落とす課題があった。
産総研の栄部比夏里上級主任研究員らは、正極に使う金属と硫黄の微粒子を強く結合させる技術を開発した。鉄やチタンなどの金属と硫黄を粉にし、セラミックスでできた小さな球と一緒にかき混ぜる。球がぶつかる際の衝撃で、金属原子と硫黄が強く結びつく。
1つの金属原子に硫黄の微粒子が4〜6個結合する。この材料を正極に使い電池を試作した。電池の容量は従来のリチウムイオン電池の3〜5倍になった。電圧は半分になるが、回路構成などを工夫することで電圧を引き上げられるという。電池メーカーと協力して今年度中にも携帯電話に使う大きさの電池を試作し、実用性を確かめる。
関西大の石川正司教授らの技術は、電極に使う炭素に開いた直径数ナノ(ナノは10億分の1)メートルの穴に硫黄の微粒子を染み込ませる。微粒子が固定しやすい大きさの穴を均一に作り込むとともに、硫黄を穴に効率よく充填する技術を開発した。電極の重さのほぼ3割が硫黄になり、電池の容量が従来の4倍になった。
正極を作り電池で試した。数百回充放電を繰り返しても性能を保った。充電に要する時間は従来のリチウムイオン電池の20分の1に短縮できた。今後は炭素に染み込ませる硫黄の量を増やし、5年後の実用化を目指す。
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東京電機大、ニオブでは容量2倍
東京電機大学の藪内直明准教授らはリチウムイオン電池の容量を、約2倍に高める技術を開発した。正極の材料に従来注目されていなかったニオブという金属を使った。電気自動車(EV)の走行距離を延ばすことなどに役立つとみている。
ニオブは電池の正極材料に使われるマンガンなどに比べ、他の原子と多く結合する性質がある。特に酸素と強く結びつくため、金属元素の酸化還元反応を利用した従来の電池と異なり、金属などと結びついた酸素の酸化還元反応を充放電に利用できる。新技術はリチウムイオン電池の構造をほとんど変えずに済む。
[日経新聞8月24日朝刊P.13]
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