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富士山噴火で発電困難 東京湾岸の火力、降灰で目詰まり
産総研、集中立地に警鐘
1707年の富士山宝永噴火と同規模の降灰が関東地方を襲うと、東京湾沿岸に集中する火力発電所の吸気フィルターが数時間程度で目詰まりし、発電できなくなる恐れがあることが、産業技術総合研究所の山元孝広・総括研究主幹らの実験で分かった。
宝永噴火と同規模の降灰が関東地方を襲うと、大規模な電力不足の恐れがあるという
危険性が指摘されているのは、天然ガスを燃料とし、大量の外気を取り込む必要があるガスタービン方式の火力発電。東京電力の場合、ほとんどが東京湾沿岸に立地している。山元氏らは、宝永噴火と同レベルや10分の1程度、10倍程度の濃度で、試験装置に取り付けた主力のフィルターと目の粗いフィルターの2種類が目詰まりや破損を起こす時間を調べた。
宝永レベルで2つのフィルターを重ねた場合、30分〜1時間半で目詰まりした。粗いフィルターの目詰まりは最長21時間弱で発生。宝永レベルの濃度で、主力フィルターは1時間20分後に亀裂を生じた。破損すると、高温のタービン内にガラスを含む火山灰が混入し、故障する可能性もある。
山元氏は「吸気フィルターの備蓄が十分か疑問で、降灰中の交換も容易ではない」と指摘。発電所は宝永噴火で8センチ程度の降灰があった地域に集中しており、大規模な電力不足を招く恐れもあるとして「集中立地は危険で、分散など対策を考えるべきだ」としている。
東電によると、ガスタービンを用いない火力発電所でも、ボイラーに大量の火山灰が混入すると故障や出力低下が起きる可能性があるという。
実験結果は、千葉市で開催される日本地球惑星科学連合大会で24日に発表する。
[日経新聞5月23日朝刊P.8]
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