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どうする2030年の電源構成
http://www.asyura2.com/09/eg02/msg/1548.html
投稿者 あっしら 日時 2015 年 4 月 20 日 02:51:43: Mo7ApAlflbQ6s
 


転載する記事は、NHKのサイトで読まれるほうが図表が充実しています。

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/214507.html


※ 関連記事

「電源構成 自民揺らす 原発推進・再生エネ 論争広がる 意見集約に曲折も」
http://www.asyura2.com/15/senkyo183/msg/504.html

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2015年04月16日 (木) 午前0時〜
時論公論 「どうする2030年の電源構成」
関口 博之 解説委員

▽2030年の望ましい電源構成をめぐる政府の検討が山場を迎えています。
太陽光や風力など再生可能エネルギーは、どこまで増やせるのでしょうか。
一方、原発の再稼働を差し止める司法の判断が出た中で、
原子力の位置づけはどうなるのでしょうか。
きょうは暮らしや産業の根幹に関わる電力の問題を考えます。

▽発電量の割合で見ると、東日本大震災前の2010年度は、
天然ガスと原子力が29%、太陽光・風力と水力をあわせた
再生可能エネルギーが10%となっていた。
それが2013年度には 原発の運転停止で原子力が大幅に減った。
その分、天然ガスと石炭、石油が増え、化石燃料は90%近くに達している。
そのほぼ全てが輸入なわけで、綱渡り的な状況だ。

▽確かに節電が定着し、原発がなくても電力不足にはなっていない。
しかしこの間に電気料金は家庭用で19%、産業用では28%上がっている。
温暖化を招く二酸化炭素の排出量も、2013年度は過去最大の
13億9500万トンにのぼった。


▽こうした中、去年4月に作られた国のエネルギー基本計画は、

 @再生可能エネルギーは「最大限導入する」
 A原子力は、安全性の確保を大前提に「重要なベースロード電源」とした
  ベースロード電源とは運転コストが低く、安定的な発電ができるものだと、
  基本計画では説明している
 Bその一方で、原発への依存度は「可能な限り低減する」 としている。
 

▽これを具体的な割合の形にして、「最適な電源構成」の目標を作る議論が、
今、経済産業省の有識者会議で進められている。
さらに政府は、この電源構成を踏まえて、CO2排出削減の目標を作る。

2020年以降の温暖化防止の国際的な枠組みのため、各国が出すものだが、
安倍総理は6月に開かれるG7サミットで日本の目標を示したい考えだ。

▽電源構成の最大の焦点は、原子力の比率をどうするかだ。
原発については、原子力規制委員会が
福島第一原発の事故後に作った新たな規制基準に基づき審査をしている。
政府は、規制委が基準に適合すると認めた原発については、
再稼働を進める方針だ。
しかし、新基準が出来た後、現実に再稼働した原発はまだ一つもない。
国民の間には、原発の安全性に根強い懸念があるのも事実だ。


▽こうした中でおととい、高浜原発3、4号機について
福井地方裁判所が再稼働を認めない仮処分の決定を出した。
この2基は、原子力規制委の審査には既に合格しているが、
この仮処分で、関西電力は再稼働をできなくなった。
更に、決定は規制基準そのものについても、
「緩やか過ぎて、適合しても原発の安全性は確保されず、
合理性を欠く」とまで批判した。

政府は、この状況をどう打開するのか、問われる。
電源構成は長期的なエネルギー政策の議論だが、
こうした司法判断が続くようであれば、影響しないとはいえない。

▽原発と並んで、もう一つの焦点は、再生可能エネルギーの将来像だ。
太陽光や風力発電は、天候次第で出力が安定しないのが難点だが、
これを克服していく技術が、今後のカギになる。
たとえば、発電量を正確に予測できるように精度を上げて、
他の電源とうまく組み合わせられるようにする、あるいは
需要と供給の両方を制御して、バランスがとれるようにする、
こうした仕組みが大事だ。

▽また、太陽光や風力の発電量が急増し、供給過剰になると、
送電網にトラブルが生じ、停電を起こすおそれもある。
これも余剰分は電力会社のエリアを超え、広域に融通できるようにすれば、
利用を拡大できる。
さらに、出力が安定している地熱発電やバイオマスも増やしたいところだ。
「最大限の導入」に相応しい目標にすべきだろう。

▽ただし、課題はコストだ。
再生可能エネルギーの「固定価格買い取り制度」では、発電コストが高い分は、
電気料金に上乗せする形で、利用者に負担を求めている。
その負担金、制度が出来た2012年度は
平均的な家庭で年に1000円程だったが、今年度は年5700円になった。
家計や企業がどこまで負担に耐えられるのか、考えなければならない。

▽どの電源にも一長一短がある中で、最適な組み合わせを選ぶため、
経済産業省が持ち出したのが「ベースロード電源」という括り方だ。
原子力と石炭火力、水力・地熱がこれにあたるとしている。
発電量が安定していて、昼夜問わず運転を続けられるのがこのタイプだ。
一方、太陽光や風力は発電量が大きくぶれるので、
単純にこちらをこちらにと置き換えるのは難しい。
そこは分けて考えようというのだ。

▽ベースロード電源は震災前60%以上あったが、今は40%に落ちている。
経済産業省では、諸外国でも概ね60%以上であり、
日本も60%以上に、という考え方を示している。


▽表のうち中央の3つがベースロード電源、上段が2013年度の実績値だ。
2030年、60%を目指すとすると、どんな形になるのか。
まず水力・地熱、大規模ダムは作れそうにないので、地熱が増えても、
比率はさほど上がらず、10%余りと経済産業省では想定する。
石炭火力はCO2の排出を増やさないよう現状並みに抑え、30%程度。
すると、原子力が20%程度は必要、という計算になる。
太陽光や風力などは10%台前半に伸ばし、
天然ガスと石油は25%程度にとどめるという試算だ。


▽しかし、これですんなり納得できるかどうかは疑問だ。
例えば環境省は、太陽光・風力から水力・地熱まで含めた再エネで
最大35%を賄えると、違う試算を出している。
あるいは、電気料金を抑えるのに、一定割合の原発が必要だというなら、
正面からそう打ち出すべき、という声もある。

▽さらに原発にはもう一つハードルがある いわゆる「40年ルール」だ。
原発事故の後、国は原発の運転は原則40年とするルールを
厳格に運用することにした。
このため、先月には5基の老朽原発が廃炉を決めた。

▽このルールで原発の発電能力はどうなるのだろうか。
残りの原発がかりに全部再稼働したとしても、
40年たてば順次止まっていき、発電能力は下がり続ける。
2010年時点で29%だった原子力の発電比率は、
2030年には半分の15%程度に下がるのだ。

▽このルールには例外があり、規制委の審査に通れば、
最長60年まで運転の延長が認められることになってはいるが、
先ほどの想定のように、原子力の比率を20%とするならば、
何基かを運転延長するか、あるいは増設や建て替えが必要になるわけだ。

▽まだ一基の再稼働もないという現実が、ここでも重くのしかかってくる。
その段階で、60年の運転延長まで想定することには、かなり無理がある。
経済産業省は、ある程度の幅を持たせた形での電源構成の骨格案を
今月末には示したい考えだが、
その数字が出てからが、むしろ本番の議論になりそうだ。

(関口博之 解説委員)

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/214507.html

 

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