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LNG、アジアでスポット価格低迷
昨年2月比で7割安 欧州とほぼ同水準
液化天然ガス(LNG)のアジア市場のスポット価格が低迷している。100万BTU(英国熱量単位)あたり7ドル前後まで下げ、欧州の天然ガス価格とほぼ並んでいる。アジアの価格が欧州に比べて高止まりする「アジアプレミアム」は解消し、価格交渉では買い手の優位が鮮明だ。中東のガス産出国が欧州向けの輸出を増やすなど、取引の構図も変わりつつある。
電力会社の在庫が高水準で需要が盛り上がらない(接岸するLNG船)
アジア向けスポット価格は2014年2月に最高値の20ドルをつけた後、7割近く下げた。欧州のガス指標、英国のナショナル・バランシング・ポイント(NBP)との値差は14年に最大10ドルあったが、今年2月に一時逆転する場面もあった。
オーストラリアでは今年、ゴーゴン(西オーストラリア州)などでの新規生産が相次ぐ。インドネシアでも増産計画が目白押しだ。英調査会社ウッドマッケンジーのアナリスト、ギャビン・トンプソン氏は「年間に1200万トンの新規供給が見込まれる」と語る。
一方、アジア諸国の需要は伸び悩む。日本は電力各社の在庫が高水準で、スポット市場で追加調達する意欲は乏しい。大手電力の調達担当者は「春の不需要期を迎えたうえ、産業向けの電力需要も計画を下回っている」と指摘する。「太陽光発電の買い取りが増えたことも影響している」(大手商社)
電力各社は原油安を受け、原油価格に連動する短期契約を新たに結んでいる。原子力発電所の再稼働をにらみ、期間1年などの契約で当面の必要分をすでに手当てしているケースが多い。
中国は経済成長が鈍化し、1〜2月のLNG輸入量は前年同期に比べて9%少ない。韓国も原発の再稼働などを受け、1〜2月の輸入量が前年比で2割近く減った。
アジアの需要が鈍く、余ったLNGは欧州に向かう。英国、ベルギーやスペインなど欧州各国のLNG輸入量は大幅に増えている。カタールはアジア向け販売価格を下支えする狙いもあり、権益を持つ英国などの受け入れ基地にLNGをため込んでいる。
欧州からアジアへ向かう「再輸出」はほぼゼロに落ち込む。ガス生産国や大手エネルギー会社は14年まで、LNGを欧州の受け入れ基地でいったん貯蔵。その後にアジア向けに高値で転売し、利ざやを稼いできた。アジアプレミアムが解消し、再輸出の採算が合わなくなっている。
需給構造の転換を好機に電力各社は安値の調達につなげる戦略を練る。一方、利ざや狙いのトレーダーは苦境に立つ。欧米系商社のトレーダーは「スポット取引が盛り上がりに欠け、まるで失業状態」とこぼす。
[日経新聞4月8日朝刊P.20]
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