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原発・石炭・水力で電源6割
30年構成、安定確保へ経産省案 震災前水準を目安に
経済産業省は30日、2030年時点の望ましい電源構成について、安定的に発電できる原子力、石炭火力、水力などで全体の6割を確保する必要があるとの考えを示した。液化天然ガス(LNG)や石油など燃料の調達コストの高い電源への依存を減らし、電力料金の引き下げにつなげる。原子力の活用には慎重論も根強く、経産省は温暖化対策などを念頭に、比率を検討する方針だ。
経産省が30日に開いた総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の長期エネルギー需給見通し小委員会で方針を示した。東日本大震災前の05年度時点の電源構成は、ベースロード電源とされる原子力が31%、石炭が26%、水力が8%で6割以上を占め、残りの4割弱がLNGと石油による火力発電などだった。
震災後の原発の停止で、13年度は原子力の比率が1%に下落。石炭は30%、水力は9%で安定電源の比率は4割に下落した。石油やLNGによる発電が増え、日本の家庭向け電気料金は震災前に比べて約2割、企業向けは約3割上昇した。
経産省はフランスやドイツ、米国、中国など主要各国でベースロード電源の割合が6割を超えているとして「低廉で安定的なベースロード電源を国際的に遜色ない水準で確保することが重要」との認識を示した。6割という割合は震災前の水準に戻すことを意味する。
経産省は今後、30年時点の望ましい電源構成の議論で、ベースロード電源比率を6割とすることを前提としたい考え。同省の試算では、30年時点の総発電量を全体で1兆キロワット時ほどと仮定した場合、水力と地熱で約1割を確保する。単純計算だと、残り5割ほどは石炭と原子力で分け合うことになる。
ベースロード以外の電源にはLNGや石油を燃料とする火力発電のほかに、発電が不安定な太陽光と風力などがある。ただコスト面に課題があるとされ、経産省は30年時点で約4割ほどに抑える意向だ。
30年時点の望ましい電源構成は、年末の第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)に向け、政府が二酸化炭素(CO2)など温暖化ガスの削減目標を決める前提になる。経産省は同日の会議では明示しなかったが、CO2排出量が少ない原子力で15〜25%は確保する必要があるとみている。
経産省はCO2排出量の削減に向け、石炭火力発電の高効率化を目指す方針も打ち出した。発電効率に一定の基準を設け、新設の発電所については基準以上の発電設備の設置を求める方針だ。
ただベースロード電源のあり方には異論も多い。会合では有識者から「原子力にも安定供給のリスクがある」など、原子力で一定の比率を確保することに慎重な意見があった。「LNGもベースロード電源に含めるべきだ」との声もあった。経産省は温暖化対策なども念頭に石炭と原子力の比率を検討する方針だ。
ベースロード電源とは
▼ベースロード電源 発電コストが安く、1日を通して安定的に発電できる電源のこと。政府が2014年4月に閣議決定した新たなエネルギー基本計画で定義し、地熱、水力、原子力、石炭の4つの電源を指す。電力需要の動向に応じて発電出力を調整する液化天然ガス(LNG)や石油による火力発電、発電が不安定な太陽光や風力などは含まない。
[日経新聞3月31日朝刊P.5]
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