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日ロ間にガスパイプライン ロシア側が建設提案 宗谷海峡経由
【モスクワ=田中孝幸】ロシア政府がサハリンと北海道をつなぐ天然ガスパイプラインの建設を日本側に提案していることが明らかになった。欧米の対ロ制裁が強まる中、日本との経済関係の拡大を目指すプーチン政権のアジア戦略の一環だ。実現すれば日本と他国を結ぶ初のパイプラインとなる。日本政府は外交面の影響も見極めて対応を決める方針だ。
複数の日ロ外交筋によるとロシア政府は9月、ガス資源が豊富なサハリンと北海道との間の宗谷海峡を経由する海底パイプラインの建設を日本側に提案した。11月10〜11日のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際に予定される日ロ首脳会談の議題となる可能性があるという。
ロシアがパイプライン建設を提案した背景には日本に安価なガス供給をちらつかせ、ウクライナ問題を巡る先進7カ国(G7)の対ロ包囲網を切り崩す狙いがある。
ただ日本側にはウクライナ問題で米国とロシアの関係が悪化する中、新規のエネルギー協力に慎重論もある。外務省幹部は「実施の可否はウクライナ問題や北方領土交渉に左右される」と語る。
[日経新聞10月15日朝刊P.1]
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ロシア、日本へガス管提案 制裁網にくさび狙う 過度の対中依存も警戒
【モスクワ=田中孝幸】ロシアによるサハリンと北海道をつなぐ天然ガスパイプラインの建設提案には、日本や欧米諸国による対ロ制裁網にくさびを打つ狙いがある。極東で急速に進む中国への経済依存への警戒感も透けて見える。
原発を再稼働できずに電気料金の上昇に苦しむ日本に安い火力発電用ガスの供給を提案することで、日本の対ロ感情を改善し、制裁の早期解除につなげる思惑がある。ガス火力発電は日本の総発電量の4割超を占めるが、燃料はタンカーで運ぶ割高な液化天然ガス(LNG)に全面的に依存する。加工せずに直接送るためガス価格を3〜4割安くできるとされるパイプラインができれば、日本の電気料金の引き下げにもつながる。
日本は北方領土問題の進展のためロシアには先進7カ国(G7)中で最も緩い制裁内容にとどめてきた。日本外務省幹部は「ロシアは日本を一気に取り込む道具としてパイプラインを使おうとしている」と語る。ロシアとの関係を悪化させている同盟国・米国のオバマ政権は日ロ間の新規のエネルギー協力に反対する可能性もある。
ロシア国営天然ガス会社ガスプロムのミレル社長は13日、サハリン沖のガス資源を使った極東ウラジオストクのLNG基地計画の撤回を示唆した。日本政府内ではパイプライン建設の話も絡み「サハリンから日本への供給分を確保する動き」との見方も出ている。
ロシアは一方で今年5月、中国に30年間にわたって年間最大380億立方メートルのロシア産天然ガスを輸出することで合意した。東シベリアでの大規模ガス開発計画のガス供給先も中国だけに限ることが内定したが、プーチン政権内では過度な対中依存への懸念もあった。ロシアは従来、LNG輸出を重視する立場から日本とのパイプライン構想には否定的だったが、極東開発に日本を関与させてバランスを取るための呼び水に使えるとの判断が働いたとみられる。
日本でも燃料調達コストの引き下げに向けたパイプラインへの関心は高い。2月には安倍晋三首相に近い河村建夫元官房長官が会長を務める議員連盟が、サハリンから茨城県日立市までのパイプライン敷設を求める提言をまとめた。
首相は16〜17日のアジア欧州会議(ASEM)と11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議の際にそれぞれプーチン大統領と会談する予定だ。
対ロ外交は米国や中国との関係にも大きな影響を及ぼすだけに、事業を進めるかは「首脳レベルの総合判断に委ねられる」(首相周辺)見通しだ。
[日経新聞10月15日朝刊P.5]
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