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太陽光発電の参入凍結 大規模施設
増設も認めず 買い取り価格、大幅下げへ 経産省検討
経済産業省は大規模な太陽光発電施設の新規認定を一時停止する検討に入った。高値で再生エネルギーを買い取る「固定価格買い取り制度」によって認定申請が急増、電力会社が受け入れきれなくなったためだ。既存事業者の新増設も凍結し、現時点で認定済みの設備の稼働を優先する。同時に太陽光発電の買い取り価格を引き下げ、再生エネルギーの供給体制を全面的に見直す。
経産省が15日に開く「総合資源エネルギー調査会・新エネルギー小委員会」で固定価格買い取り制度の見直し案を示し、年内に具体策を決定する。東日本大震災後に急拡大した再生エネルギー関連の産業や地方自治体は事業や政策の見直しを迫られそうだ。
2012年に始まった固定価格買い取り制度では、設備を短期間で準備できる太陽光事業への参入が急増した。直近の今年6月は出力50キロワット以上の中規模以上の太陽光発電施設だけで約400件の申請があった。九州電力など5電力が送電線の受け入れ能力を超えるとして、9月末に受け付け停止を発表し事業者に混乱が広がった。
見直し案ではまず、新規の大規模な太陽光発電業者の認定申請の受け付けを一時停止する。既存事業者の新増設計画も受け付けない。一般家庭向けの認定は継続する方向だ。送電線の能力増強も進め、認定済みの約7万件の比較的規模が大きい事業者の発電所を優先して稼働させる。
再生エネの急増で膨らむ国民負担も抑制する。再生エネを買い取る原資は現在、電気料金に上乗せする形で年2700円(一般家庭)を徴収している。現在の買い取り価格のまま認定済みの事業者が全発電所を稼働させれば、家庭の負担は1万円を超す。
経産省は新規認定を凍結する一方、買い取り原資の総額に上限を設ける方向で検討する。将来的には買い取り価格が大幅に下がる可能性が高い。 電力の買い取り価格についても、電源ごとに差をつける。太陽光を下げる一方、設備導入に時間がかかるが安定して電力を供給できる地熱・水力発電などは優遇する。太陽光では、国の認定を受けても発電を始めない事業者の買い取り価格を引き下げる案もある。
政府は温暖化ガス削減などを目的に、30年までに全電源のうち21%超を再生エネにする目標を掲げる。ただ、一連の混乱で制度設計の甘さが露呈したことから、制度の抜本見直しを迫られている。
固定価格買い取り制度とは
▼固定価格買い取り制度 政府が太陽光や風力発電など再生可能エネルギーの導入促進を目的に始めた制度。経済産業省が家庭や企業を再生エネの発電事業者として認定。発電した電力を最長20年間、一定の価格で電力会社に買い取ることを義務付ける。買い取り価格は太陽光や風力など電源の種類によって異なり、年度ごとに見直している。買い取り費用は「賦課金」として毎月の電気料金に上乗せし徴収される。14年6月末時点で小規模事業者も含め130万件超が認定を受けた。
[日経新聞10月11日朝刊P.1]
再生エネ普及策に転機 太陽光の参入凍結 見直し、波乱含み
東日本大震災後の再生可能エネルギーの普及策は転機を迎えた。経済産業省は大規模な太陽光発電所の新規認定を凍結し混乱の収束を急ぐ。ただ、認定済みの既存事業者の電力の受け入れを進める道筋はついていない。再生エネ普及策の見直しは波乱含みの様相だ。
「突然やめると言われても対応できない」。7日に東北電力が仙台市内で開いた説明会。岩手県や青森県で4000キロワットの太陽光発電を計画する男性(59)は語気を荒らげた。発電した電気を送電線につなぐ契約を結ぼうとしていた矢先に東北電が1日から新規契約を中断した。
電力5社が契約を中断したのは、太陽光発電をつなぐ事業者の申請が急増したためだ。天候で発電量が変わる太陽光が増えすぎると、電力需給を制御しにくくなる。「大規模停電の恐れもある」(九州電力)。
経産省は新規認定を凍結し、さらなる混乱の拡大を防ぐ。ただ、既存の事業者の設備を稼働させるには電力会社の受け入れを増やす必要がある。
電気をためるための蓄電池や、過疎地に設置された発電所から電気を送るための送電線の整備が急務だ。ただ数千億〜数兆円に上る送電網の増強費用を、誰が負担するかは決まっていない。電力会社が負担するなら、電気料金の上昇要因となる。補助金などの形で税金投入に理解を得られるかは微妙だ。
経産省は週明けから再生エネの中期的な見直し策も検討する。国民負担に上限を設けたり、太陽光以外の風力や地熱を拡大するため、買い取り価格に差をつける案を検討する。与党内では再生エネの拡大継続と見直しとで意見は分かれており、制度改正は難航する可能性もある。
[日経新聞10月11日朝刊P.5]
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