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もっと設置業者と利益の折半、風車レンタルビジネスモデルが増えれば普及する。

　【ワシントン＝矢沢俊樹】米環境保護局（ＥＰＡ）は２日、国内で稼働する火力発電所から出る二酸化炭素（ＣＯ2）の排出量を2030年までに05年比で30％減らすことを目指す規制案を発表した。州の権限も認め、オバマ政権の温暖化対策の新機軸とする。一方で石炭火力を事実上狙い打ちにする内容には、コスト増を招いて米家計や産業界に悪影響が及ぶと懸念する声が出ている。

新規制案は石炭火力に影響を与えそうだ（米モンタナ州の石炭火力発電所）＝ＡＰ
　長期で取り組む規制案には、15年末の合意を視野に入れる国連の温暖化対策の枠組み交渉を米国が主導する狙いもうかがえる。石炭火力の高度化を求める流れが強まり、新興国向けを含めてプラントの輸出拡大を目指す日本やドイツの戦略にも波紋を広げそうだ。

　石炭よりもクリーンとされる天然ガスを使った火力発電の活用を明記したほか、建設中の原子力発電所を完成する方針を示すなど温暖化ガスの排出を抑える手段として原発の役割にも言及した。太陽光や風力による発電など再生可能エネルギーの重要性も認めた。

　米政府が既存の発電所に対するＣＯ2削減の目標案を示すのは初めて。オバマ大統領は気候変動への対応をレガシー（政治的な遺産）に見据え、大量のＣＯ2を出す石炭火力への規制を強める構えを鮮明にした。温暖化対策や小児の呼吸器疾患の削減など健康増進につながると訴える構えだ。

　ただ具体的な削減方法は「州に最大限の柔軟性を認める」とし、国は個別プラントの排出規制に踏み込まない。各州はＥＰＡの最終案を待って16年夏までに計画を出す。州の権限に配慮した結果、規制の強制力や実効性が弱まる恐れはある。

　ＥＰＡは13年９月、「新設」の石炭火力発電所を対象にＣＯ2排出量を従来に比べ約４割も下回る水準に上限をはめる規制案を公表した。今回は既存のプラントに照準を定めた。

　石炭火力の多くは稼働から40年超がすぎ、老朽化が目立つ。新設と同様に厳しい規制になれば「大半の設備が基準を満たせず改廃炉が急増する」（米エネルギー業界関係者）との見方もある。

　ＣＯ2を回収して地下に貯留する最新の施設を整備すれば規制をクリアできそうだが、巨額の追加投資は不可欠だ。負担の転嫁で消費者や企業などが払う電気料金は大幅に上がりかねない。

　ＥＰＡは「大気浄化法」に基づく強力な権限が与えられ、ＣＯ2の規制に大がかりな法整備は必要ない。ただ経済界に近い野党・共和党が今秋の中間選挙をにらみ、厳しい案をつぶしに動くのは確実だ。マッカーシーＥＰＡ長官は適用除外の拡大など議会との妥協に柔軟な姿勢も示す。最終案作りを目指す15年夏に向け駆け引きが続く。