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ドイツ:再生可能エネルギーと地域社会(その2)送電線を市民の手に
http://www.asyura2.com/09/eg02/msg/1128.html
投稿者 蓄電 日時 2014 年 4 月 06 日 17:37:08: TR/B2VKXCoTU6
 

フィールドワークな日々

【49】ドイツ:再生可能エネルギーと地域社会(その2)送電線を市民の手に
http://miya.let.hokudai.ac.jp/modules/wordpress1/index.php?p=50

昨年九月のドイツ訪問のレポートのつづき。

ベルリンでとびきりおもしろいグループに出会った。協同組合「ベルリン市民エネルギー」(Bürger Energie Berlin)がそれ。
事務所もおもしろいところにある。
旧東ベルリン地区の元化学工場跡。現在、そこが集合住宅になっていて、社会的企業などさまざまな団体が集まっている。
その一室が「ベルリン市民エネルギー」の事務所。

代表のペーター・マスロッホさんたちが私たちを歓迎してくれた。
みんなボランティアだ。「「発電を市民が」から「送電を市民が」の段階に入っているのです。
シェーナウ村(地域の送電網を大会社から買い取ったことで注目されているドイツ南部の村)がその先駆でした。
二〇一一年一二月に設立した私たちの協同組合の目的は、ベルリンの配電網の営業許可を勝ち取ることです」。

ドイツでは、発送電分離が実現されているが、現在ベルリンの配電網を運営しているのはスウェーデンの大手電力会社。
しかしその契約は二〇一四年に切れる。その先は営業権をめぐる入札によって決まる。

「入札は政治的に決まります。私たちの協同組合は現在次の契約を勝ち取るためにお金を集めているところです」。
集めたお金は社会的企業への融資をする銀行として知られるGLS銀行の子会社GLS信託に預けている。
契約を勝ち取るまではそれに手を付けず、もし勝ち取れなければそれらのお金は出資者に返還される。

ドイツでは、誰が送電線の営業権をもつかは、自治体が決める。
そのため、マスロッホさんたちは、今後、州議会への働きかけなど、さまざまな政治的な動きをするつもりだ。

「私たちとしては、第一の目標は私たち自身が配電網を買い取ることです。
次善の策としては、ベルリン州が買い取ることです。
ベルリン州が買い取るための住民投票も考えています。
ベルリン州が買い取る場合は、私たちとしてもその一部を出し、その経営に参加したいと考えています」

ベルリン市民エネルギーの目的は再生可能エネルギーそのものというより、経済の民主主義化だ。マスロッホさんは言う、

「私たちの活動の目的は三つ。一つは経済を地域に戻すこと、二つ目は民主主義。

だから私たちのグループは、出した金額にかかわらず一人一票が確保される協同組合という形を選びました。
二〇一三年は総選挙がありますので、送電線の民主主義化について争点にしたいとも考えています。
私たちの試みがもし失敗しても、これはパイオニアとして他地域に波及するはずです」。

本気である。

(さっぽろ自由学校「遊」『ゆうひろば』2012年12月号)


【48】ドイツ:再生可能エネルギーと地域社会(その1)
http://miya.let.hokudai.ac.jp/modules/wordpress1/index.php?p=49

フランクフルトから南東に約五〇キロの地域で活動するウンターマイン(Untermainn)エネルギー協同組合を訪問した。鉄道からバスに乗り換えて一時間くらい、約束のバス停に降り立つと、協同組合(ドイツ語でゲノッセンシャフト)の中心人物五人が私たち(日本からの研究者六名)を歓迎してくれた。

この協同組合の前身は、二〇〇七年に設立した「ミルテンベルク・エネルギーフォーラム」というもの。これはこの地区において環境を考えるサロン的な「クラブ」だった。そこでの議論を土台に、実際に再生可能エネルギーの事業を始めるため、二〇一〇年、ウンターマイン・エネルギー協同組合を設立した(ミルテンベルク、ウンターマインともに地名)。

なぜ「協同組合」(ドイツ語で「ゲノッセンシャフト」)だったのか?

役員をしている建築士カールハインツ・パウルスさん、「一〇〇ユーロ払えば誰でも協同組合の組合員になれる。実際の事業への出資はそれとは別だが、出資額の多寡にかかわらず、協同組合の決定については誰もが一票と平等です。多くの人が公平な形でかかわることができるのが協同組合の利点です。

協同組合というしくみは長く農民たちの協同組合があったので、ドイツ人にとっては馴染みのある形態なのです。“地域のお金を地域へ”というスローガンをもつこうした協同組合は、分散型エネルギーの部門に向いてていると私たちは考えています。現在協同組合の役員はすべてボランティアです。

近い将来有給のスタッフが必要になるでしょうが、現在はいません。協同組合は、多くの人がかかわることによって、事業そのものが地域に受け入れられやすくなるのも利点です。自分たちが出資している風車なら、うるさいとは感じないのです。自分の風車、と感じるしくみが大事です」

地域の四つの銀行も協同組合に加えた。実際の事業では銀行から融資を受けるのだが、その銀行にも協同組合のメンバーになってもらう形だ。銀行としても地域の再生可能エネルギーにはかかわっていたいと考えている。よその事業者が入ってくるよりも、その方が地域の経済にとって有益だからだ。

現在ウンターマイン協同組合の組合員は九二名。組合員は各事業に投資する資格を持つ。投資は一人二〇〇〇ユーロ以上(二〇年契約。配当利回りは毎年変動。投資金の償還は一一年目から)。個人投資と銀行からの融資を組み合わせて事業は行われる。

ウンターマイン・エネルギー協同組合は現在四つの太陽光発電サイトをもっており、また、風力発電事業も計画中。

こんなエネルギー協同組合が現在ドイツには約六〇〇あり、今も増えつづけている。

(さっぽろ自由学校「遊」『ゆうひろば』2012年10月号)  

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