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http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1403/31/news019.html
地熱発電に45億円、政府系の債務保証で資金調達が進む
福島県と大分県の地熱発電事業に対して、総額45億円を超える長期借入金の80%をJOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)が債務保証することになった。民間の金融機関が評価しにくい地熱発電の事業リスクをJOGMECがカバーする。2カ所の地熱発電所は2015年に運転を開始する予定だ。
[石田雅也,スマートジャパン]
経済産業省は地熱資源の開発を促進するための財政投融資の予算として、2013年度に90億円、2014年度には150億円を充当する。いずれもJOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)を通じて実行するもので、このほど2件の開発プロジェクトに対する長期融資の債務保証を決定した。
地熱発電は再生可能エネルギーの中で事業リスクが最も高く、投資評価のためのIRR(内部収益率)は13%に設定されている(太陽光発電は6%)。建設前の掘削調査などに多額のコストがかかることから、事業者にとっては資金調達が大きな課題になっている。
JOGMECによる支援プログラムでは、発電事業者が民間の金融機関から融資を受ける際に80%までの債務を保証する(図1)。事業者は年率0.4%の保証料をJOGMECに支払うだけで融資を受けることができる。
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図1 「地熱資源開発債務保証」の事業スキーム。出典:資源エネルギー庁
債務保証の対象に選ばれた2つのプロジェクトは、福島県で計画中の「土湯温泉バイナリー地熱発電事業」と、大分県で建設中の「菅原バイナリー地熱発電事業」である。土湯温泉のプロジェクトでは建設費の一部にあたる5億5700万円を福島信用金庫から長期で借入して、その80%をJOGMECが債務保証する。
土湯温泉の発電設備は水冷のバイナリー方式で、発電能力は400kWになる(図2)。2014年7月に着工して、2015年7月に運転を開始する予定だ。地元の温泉協同組合が中心になって設立した「つちゆ温泉エナジー」が事業を運営する。発電した電力は固定価格買取制度で東北電力に売電することが決まっている。
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図2 「土湯温泉バイナリー地熱発電事業」の実施予定地と発電設備。出典:JOGMEC
一方の大分県のプロジェクトは地熱発電所が集積する九重町で実施するもので、すでに地熱の噴気試験を終えて建設が始まっている(図3)。空冷のバイナリー方式で発電能力は5000kWに達する。2015年3月に運転を開始して、固定価格買取制度により全量を九州電力に供給する計画だ。
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図3 「菅原バイナリー地熱発電事業」の実施予定地と噴気試験。出典:JOGMEC
事業者は九州電力グループの「西日本環境エネルギー」で、みずほ銀行と日本生命保険から40億円を借り入れた。そのうち80%の32億円をJOGMECが債務保証する。土湯温泉のプロジェクトと合わせて総額45億円を超える借入金に対して、JOGMECの債務保証額は36億円以上になる。
今回の2件はJOGMECによる地熱資源開発の債務保証案件では初めてのものである。2014年度の財政投融資の予算は2013年度を上回るため、今後さらに対象プロジェクトが拡大していく見込みだ。
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