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関電・中部電、火力を新設 石炭活用、事業費1000〜2000億円
電力大手が大型石炭火力発電所の新設に動き出す。関西電力と中部電力は2020年代前半の稼働をめざし、それぞれ100万〜150万キロワット規模の発電所を建設する。総事業費は1千億〜2千億円程度になるもよう。東北電力も凍結していた火力発電所計画を復活させる方向だ。国内16原発48基のうち再稼働を見込める原発は限られており、電力の安定供給には割安な石炭火力発電所の新設が不可欠と判断した。
関電は26日発表する電力供給計画に発電所建設の入札実施を盛り込む。大型原発1基に相当する150万キロワット分の電力を石炭火力で確保する。関電の発電能力は計3500万キロワット程度。大飯原発(福井県おおい町)など停止中の原発が発電能力全体の約3割を占める。
関電は外部企業と組んで自らも入札に参加する。06年に廃止した高砂火力発電所(兵庫県高砂市)の跡地を活用し、隣接地に老朽化した火力発電所を持つJパワーに100万キロワット級の大型火力建設を打診する方針だ。神戸製鉄所(神戸市)で火力発電所の増設を検討している神戸製鋼所の応札も有力視される。
150万キロワット前後の石炭火力の建設には2千億円規模の費用がかかるとされる。関電は入札で、建設費に運営費などを加えた総コストを最大1割程度抑えられるとみる。
中部電は14年度に100万キロワット級の石炭火力発電所建設の入札を実施する考え。東北電も同年度の供給計画に能代火力発電所3号機(秋田県能代市、60万キロワット)の建設再開を盛り込む方針だ。
中部電は浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)、東北電は女川原発(宮城県女川町など)の長期停止で両社とも老朽火力への依存が高まっている。原発の再稼働時期が見通せないなか、老朽火力に代わる電源を確保する。
東京電力も入札で計260万キロワットの火力電源確保する計画を打ち出しており、これまでに68万キロワット分の石炭火力の調達を決めている。
[日経新聞3月25日朝刊P.1]
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〈解説〉電力大手、火力シフト もろ刃の剣 CO2の削減課題に
電力大手が石炭火力発電所の増設に踏み切るのは、一部の原子力発電所の再稼働が中期的にもメドが立たないためだ。ただ、石炭火力は二酸化炭素(CO2)の排出量が大きい。環境面の性能向上が課題となる。
政府は足元では原発の再稼働を進める一方、中長期では原発への依存度を引き下げる方針だ。安全性に問題がない原発は再稼働できるが、厳しい安全基準に対応できない原発は廃炉を迫られる。
電力各社は「原発の選別」をにらみ、ガスや石油と比べコストが安い石炭火力を確保すべきだと判断した。早めに石炭火力を確保すれば、環境技術の開発も進めやすくなる。
石炭の問題はCO2排出。建設から運転までを合計した排出量は原子力の40倍超に達する。米国は昨年、石炭火力の新設を大幅に厳しくする規制を敷いた。
発電効率と環境保全をどう両立するか。太陽光など再生可能エネルギーにも期待がかかるが、発電量が安定しないため産業用の電力になりえない。原発も石炭火力も再生エネもエネルギー源として一長一短の事情を抱える。最適な組み合わせを考える冷静な議論が必要となりそうだ。
[日経新聞3月25日朝刊P.5]
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