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原発と自由化、両立するか:“電力自由化”のなかでは政府の債務保証や電力高値買取保証がなければ存続できない原発
http://www.asyura2.com/09/eg02/msg/1004.html
投稿者 あっしら 日時 2014 年 3 月 03 日 22:36:46: Mo7ApAlflbQ6s
 


[核心]原発と自由化、両立するか
投資リスク回避、米英に範 編集委員 滝純一


 昨年末に公表されたエネルギー基本計画の「原案」を「槙原敬之さんの歌詞のよう」と評したのは一橋大学の橘川武郎教授だ。
 「もう恋なんてしないなんて言わないよ」と口ずさめば恋する者の心の揺れが伝わる。基本計画の原案は「もう原発なんてつくらないなんて言わないよ」とでも言いたそうだった。重要な政策で、政府が国民をはぐらかすかのような説明をするのは願い下げだ。

 エネルギー安全保障や地球温暖化対策などの観点から、当面は一定量の原子力が必要だろう。
 2月25日にまとまった政府の「計画案」でもあいまいぶりは大差ない。原子力への依存を可能な限り低減させるとしつつ、新規建設にも含みを残す。
 ほかにも辻つまが合わない点がある。なかでも気になるのは、政府が進める電力システム改革(自由化)と原子力の関係だ。

 自由化市場では発電会社が電気の値段とサービスを競い合う。原子力を特別扱いはしない。そうした市場では「原子力は生き残れない」と京都大学の植田和弘教授は言う。

 米政府は2月、ジョージア州で建設中のボーグル原発2基に対し65億ドル(約6600億円)の債務保証を決めた。総建設費は150億ドル(約1兆5千億円)と報じられる。米国では安価な天然ガスとの競争に負け、この1年間で5基の原発閉鎖が決まった。政府による債務保証は原子力維持を狙った苦肉の策だ。

 英政府はより大胆な手段を繰り出している。新たに建設する原発に対し、市場価格の約2倍の値段で35年間にわたって電力を買い取ることを約束した。風力発電並みの価格だという。二酸化炭素(CO2)排出が少ないことから、再生可能エネルギーと同様の扱いをするわけだ。

 原発は建設費が巨額だ。日本国内の原発(出力120万キロワット級)では1基3千億円超。規制強化でさらにコスト高が進む。ちなみに天然ガス火力(100万キロワット級)は約1千億円とされる。
 確実に電気が売れ投資を回収できる見通しがないと巨額の建設資金を調達しにくい。米英の策は投資家や金融機関のリスクを減らし資金調達を容易にした。

 日本国内の原発はコストを積み上げて料金を決める総括原価方式と地域独占に守られ、建設投資のリスクを回避し、福島原発事故まで増設を続けられた。
 電力会社が発行する一般担保付き社債も、原発への安定した投資を支える仕掛けのひとつだ。稼働前から建設費の半分を減価償却でき負担を平準化する制度(建設仮勘定)もある。
 これから進める自由化で総括原価方式や地域独占を排した後、どう原発を生き残らせるのか。英米流を採用するのか。エネルギー基本計画案に記述はない。

 米バーモント・ロースクールのピーター・ブラッドフォード非常勤教授(元米原子力規制委員会委員)は米英の動きを「リスクシフトだ」と指摘する。
 米英では自由化でリスクを投資家が負うことにしたが、そのままでは原発新設が困難な情勢となった。そこで両国はエネルギーや環境政策の必要性からリスクを政府(納税者)や消費者に再び背負わせることにした。後戻りが起きている。

 日本で原発を新たにつくる場合、経済上のリスクを負うのはだれか。安全上のリスクの問題と同様に議論しておかねばならない。
 投資リスクは原発だけの話ではないが、国民の間には、再生可能エネルギーの拡大に伴う負担増は受け入れても、原発はだめという意見が少なくないだろう。原発維持にとって、より重い課題になりうる。

 既設の原発は生き残れるだろうか。再稼働すれば燃料費が火力に比べ安いことから「自由化された市場でも競争力を持つ」と、地球環境産業技術研究機構の山地憲治研究所長はみる。
 市場では値段の安い電気から買い手がつく。政策的な後押しがなくても自然に、安定して24時間動かし続ける電源(ベースロード電源)の地位を原発が占める可能性がある。
 問題は再稼働できない原発だろう。政府は安全性が確認された原発は再稼働を目指す方針だが、立地自治体の強硬な反対に直面した場合、あるいは事故で重要な社会インフラや文化的遺産が危険にさらされる恐れが大きい場合など、政府の判断で再稼働を見送るケースも想定すべきだ。

 廃炉の数が少なければ、会計制度の工夫などで電力会社がコストを吸収できる余地はある。しかし「廃炉が集中する会社が出た場合にどう対応するか」(日本エネルギー経済研究所の小笠原潤一研究主幹)という点については明らかではない。

 また仮に政府判断で稼働を許さないとしたら、ドイツのように電力会社からの訴訟や補償請求に対応する覚悟が必要だ。
 電力自由化政策の下で原発を維持できるかという問いは、これまでも自由化の議論が起きるたびに繰り返されてきた。大まかに言えば、原発と自由化は相いれないとの判断から全面的な自由化が見送られてきた。
 今回、自由化を断行するというなら、原発をどうするのかという問いにすぐ行き着く。2つをセットで考えねば、エネルギーの長期戦略はたたないはずだ。

[日経新聞3月3日朝刊P.4]

 

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コメント
 
01. 2014年3月04日 12:06:41 : YxpFguEt7k
はたともこ氏
「エネルギー基本計画案に僅かに記述のある水素発電。2030年には全発電の15%を占めるとの民間研究機関の報告もある。CO2排出ゼロの水素発電と最新型石炭火力の組合せでコスト低減も可能。
原発即ゼロで「高効率火力・電池3兄弟・水素発電」の国内外全面展開こそ「原発ゼロの成長戦略」なのだ。」
https://twitter.com/hatatomoko/status/440487529284763648

火・電池・水素 と覚えましょう。がんばれ川重!


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