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情報操作による経済不況の隠蔽
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2013/08/post-f6b2.html
Paul Craig Roberts
アメリカ経済とアメリカ国民とって、残り時間は僅かとなりつつある。ごく少数の例外を除き、経済マスコミや経済評論家連中は、この事実を世間に知らせないよう、うまくやりおおせている。
例えば、7月31日に発表された、第二四半期の実質GDP成長率“事前推定値”に加えられた情報操作を考えてみよう。2013年第二四半期の、年間1.7パーセントという実質GDP成長率は、実質GDPが第一四半期の1.1パーセント成長率から加速したとして楽観的に提示された。ところが、成長が“加速”した理由は、第一四半期予測が、1.8パーセントから、1.1パーセントへと、改訂され引き下げられた為だ。第二四半期GDP成長率も、推計値は改訂されることになっている。最終的な数値はより小さい可能性がきわめて高い。
実質GDPがプラスな理由は、実際より少なく見せるため改ざんされたインフレ値によって名目GDPが引き下げられている為だということをお考え願いたい。社会保障受領者生活費調整を認めなくする為、インフレ値は操作されてきた。統計学者のジョン・ウイリアムズ(shadowstats.com)は、もし前回の公式手法で引き下げられれば、2007年の悪化以来GDP成長はマイナスだと語っている。言い換えれば、“回復”は、もう一つの政府によるでっちあげだ。
経済マスコミと経済評論家のもう一つの過ちは、連邦準備金制度理事会の量的緩和政策の解釈だ。連邦準備金制度理事会は、事業投資と住宅市場を刺激するために、利子率を低くしているのだと言われている。この説明は、大きすぎて潰せない銀行の帳簿にある、負債にからむデリバティブ価格を押し上げ、高いまま維持するという、量的緩和の本当の目的の隠れみのに過ぎない。低い金利は、あらゆる債券類の価格を押し上げ、より高い価格は、銀行の貸借対照表上の価値を押し上げ、銀行が大いに支払能力がある、あるいは、さほど債務超過でない様に見せることに貢献するのだ。
連邦準備金制度理事会は、量的緩和が経済を再生しそこねているにもかかわらず、銀行が窮地を脱するに十分な収入を増やすのに成功することを願って、追い詰められている銀行の崩壊を押しとどめるべく、量的緩和を何年も継続している。
連邦準備金制度理事会の量的緩和政策は、経済の重要部門にとって、高くついている。年金受給者達は利子収入を得られずにいる。それが消費支出を減らし、更にGDPの成長を下げ、年金受給者達に、請求書に支払いをする為、貯蓄を引き出すよう強いている。
連邦準備金制度理事会の量的緩和政策は、過去数年間で、ドルの量を何倍も増加させて、アメリカ・ドルをも危くしている。債券価格を維持するため、連邦準備金制度理事会は、過去数年間にわたり、毎年新たに1兆ドル印刷してきた。ドル供給はドル需要を越えてしまい、ドルの交換価値に圧力を加えている。ドルを量的緩和から守ろうとして、連邦準備金制度理事会と、その子分の金地金売買銀行が、金価格を押さえる為、金の徹底的な空売りに取り組んだ。急速に上昇する金価格は、ドルに対する信頼の低下を示しており、連邦準備金制度理事会は、この信頼の欠如が、通貨市場にも広がることを恐れたのだ。
銀行を支援する為に、ドルを印刷することにより、連邦準備金制度理事会は、債権市場バブル、株式市場バブルと、ドル・バブルを生み出した。もし連邦準備金制度理事会が紙幣の印刷を止めれば、銀行の貸借対照表のみならず、債券、株や、不動産市場も打撃を被るのだ。富は消滅するだろう。もはや誰も経済が回復している振りは出来なくなる。
ドルに対する影響はさほど明らかではない。一方で、ドル供給の急激な増加の制限は、通貨を支援することになろう。一方で、株、債券や、不動産等のドル建て資産の価値の低下はドルへの需要を減らしかねない。例えばドル建て資産を売却する外国人は、ドル収益を、自分の国内通貨に転換しかねない。
経済マスコミの過ちに対しては、量的緩和、バブル経済や、本当のGDPの操作手口、インフレと失業に対して、私がした様な説明が必要だ。とはいえ、そうした説明は必要ではあるものの、それ自体、話を脇へ反らせてしまうことになる。
アメリカ経済が回復できない本当の理由は、海外移転してしまった為だ。何百万ものアメリカの製造業や、ソフトウエア・エンジニアリングの様な移転可能な専門サービス業は、賃金がアメリカにくらべてごくわずかな中国、インドや他の国々に移転してしまった。“自由貿易”を口実に使い、大企業は、人件費をプロフィットセンターに変えてしまった。人件費が低下すれば、利益は伸び、それが重役には、“業績手当て”として、また、株主には、キャピタル・ゲインとして分配される。アメリカの雇用に対する影響は、労働統計局月例就業者数データと、アメリカの低下しつつある就労率で見て取れる。就労率は、消費者所得が上昇し、より少数の家族しか労働人口として必要でなくなった為に下がっているわけではない。率が低下しているのは、求職意欲喪失労働者達が、就職口を探すのをあきらめて、労働人口でなくなった為だ。
アメリカ人労働者の代りに外国人労働者を使用することは、短期的には、重役達や株主のためにはなるが、長期的には有害だ。長期的な影響は、アメリカ消費者市場の破壊だ。
雇用の外国移転でアメリカ消費者所得の上昇が止まった際、連邦準備金制度理事会は、経済を回転させ続ける為、消費者所得増大の欠落を、消費者負債の増大で置き換えた。例えば、連邦準備金制度理事会議長アラン・グリーンスパンによって作り出された住宅バブルは、住宅所有者が、抵当を借り換えすることで、膨張した自宅所有権を消費することを可能にした。実際の給料・賃金増加が消失した分を消費者負債で置き換えることは、家計の借金の重荷によって限定されていた。政府と違って、アメリカ国民は、請求書の支払いをするためのお金を印刷できるわけではない。消費者が更に借金をすることが出来なくなると、消費者経済は拡大を止めた。
政府は、支払いを済ませる為にお札を印刷できるが、もし歴史が指針になるならば、政府は深刻な結果を招くこと無しに、永遠に紙幣を印刷することはできない。本当の経済危機は、印刷機では、バブル経済をもはや維持できなくなった際に到来する。
“ニュー・エコノミー”なる、ウォルマート型雇用は、消費者依存型経済を維持するほど十分な賃金を支払わないことは、経済学者には明らかなはずなのだが、どうやらそうではないらしい。オバマケアが段階的に導入されるにつれ、消費者の購買力は更に打撃を受ける。助成を受けた保険料でさえ高価で、控除と自己負担金という、保険を利用する為の費用は、大半の人々にとって寄りつけない程高額だ。会社が提供する給付金やメディケアが削減されるにつれ、経済危機のさなかに、医療危機は悪化しよう。
目下の経済危機の恐ろしい部分は、連邦政府財政赤字が拡大し、経済が縮小し、連邦準備金制度理事会が、ドルや米長期国債に対する信頼を失うことなしには、更なるドルを印刷することはできない状況にあることに気付いた時に起きる。そのような状況で、自暴自棄の政府は、一体何をするだろう? 政府は、わずかに残された個人年金を差し押さえ、税金を増やし、国民と経済を、体力が尽きるまで一層追いやるのだ。
これがアメリカ経済政策の進行方向だ。解決策は一体何だろう?
資本主義を機能しつづけさせ、銀行を潰すように出来るだろう。銀行を緊急援助するより、預金者を緊急援助する方が安上がりだ。
各企業の製品に対して価値を生み出している地理的な場所を基本に、大企業に課税することも可能だ。もし大企業が、アメリカ人に売る商品を外国で製造すれば、税金を高くするのだ。もし、アメリカ人労働者によって、価値を国内で生み出せば、税率を下げるのだ。税金額の差異は、製造を海外移転した人件費の利点を相殺するのに利用できるだろう。
この方法は時間はかかるが、雇用はアメリカに戻ってくるだろう。都市や、州や、連邦政府は次第に、課税基盤が再構築されてくるのを目にするようになる。消費者所得は、生産性と共に再度上昇し、経済も元通りにできるだろう。
連邦政府の赤字については、アメリカ政府の戦争を止めることで、大幅に減らすことが可能だ。様々な専門家達が明らかにしている通り、こうした戦争は極めて金がかかり、アメリカ政府の資金調達需要を何兆ドルも押し上げている。他の専門家達が示している通り、戦争は、軍/国防業界のわずかな一団を除き、誰の為にもならない。特別利益団体の為に、国民の未来を破壊するのは、明らかに民主的でない。
こうした解決策は実行される可能性はあるのだろうか、それとも強固な特別利益団体は、余りに強力、かつ近視眼的なのだろうか?
経済マスコミと経済評論家連中が現実の影響に動じずにいる限り、これを確かめる見込みは皆無だ。本当の状況が理解されるまでは、何の手の打ちようもない。問題が認識も、理解もされていない時に、解決策を売り込むのは困難だ。それゆえ、私は問題の説明に注力しているのだ。
Paul Craig Robertsは、元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えていた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the Westが購入可能。
記事原文のurl:www.paulcraigroberts.org/2013/08/01/double-feature-bradley-manning-verdict-convicts-washington-and-hiding-economic-depression-with-spin-paul-craig-roberts/
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私もこの元財務次官補とほとんど同じ見方だ。
消費者所得の上昇なくして経済成長なんてありえない。
バブル、ファイナンスによる消費者購買力の上昇では、
やがて限界に達して崩壊する。
こんなことはGDP恒等式を見れば簡単に分かる。
それにも関わらず政治家も経済学者も国民も誰も言わない。
騙しているのか馬鹿なのか。
阿修羅の現状を見るに知って居る人がほとんど居ないので、
たぶん馬鹿なのだろう。
おかげで経済板に投稿する意欲が薄れた。
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