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3Dプリンターの現実
3Dプリンターがずいぶんと注目を浴びている。ものづくりを変えるとか、はては社会を変えるとさえ言われている。しかし、そうだろうか。カメラが普及した結果、芸術家が増えただろうか。ワープロが普及した結果、小説家が増えただろうか。
例えば、車やテレビの出現は社会をかなり大規模に変えてしまった。しかし、車やテレビと同程度の変革を3Dプリンターがもたらすとは思えない。車はその移動の速さと移動量の大きさで車以前の時代とは全く異なったものをもたらした。テレビはそもそも以前にはなかったものだとさえ言える。以前は演劇や新聞などで得られていたものが家庭に居ながら動く映像で見られるのだからまさに革命的な変化だった。
3Dプリンターは確かに個人が簡単にモノづくりができるという点で大きな変化をもたらすだろう。しかし、物を大量に素早く作ることには向いていない。素材も限られている。将来的にはいくつかの材料を使い分けることができるようになるだろうが、それでも原理的に使える素材は限られている。だから、3Dプリンターの与えるインパクトはどちらかと言えばワープロ程度のものだ。
ただ、オバマ大統領が、3Dプリンターに関連して考えていられる変革は異なるだろう。3Dプリンターの特徴は3次元のモデルをデータさえあれば比較的短時間に、そしてたいした手間なしに作れるということだ。そして、アメリカはその情報網と言うデータ供給源を持っている。アメリカの特許戦略とともに、または、その情報戦略とともに、3Dプリンターをどう使っていくかが考えられているはずだ。
更に、多分アメリカは工業を国内に戻すことを予定しているはずで、いわゆる産業政策として3Dプリンターを生かそうとするはずだと思う。
何事も基礎があってこそ花が咲く。日本はどんな基礎の上にどんな花を咲かせるのか、まずそのことをもっと落ち着いて考えるべきではないだろうか。
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