http://www.asyura2.com/09/dispute30/msg/845.html
Tweet |
アメリカは国家としての存在とともに、今後は国際的な巨大企業の利益を代表して動く権力機構という意味合いが強くなると思う。
このことを前提にして、近い将来の日本、と言っても10年程度は先の話だと思うが、日本の姿が今のチェチェン共和国と同じようになるのではと思えてならない。
「チェチェンへ アレクサンドラの旅」という世界的な名作と言われる映画のサイト:
http://www.pan-dora.co.jp/chechen/intro.html
に紹介されている寄稿文を引用する。
チェチェン紛争〜日常と非日常の共存
――廣瀬陽子
『チェチェンへ アレクサンドラの旅』は数多くのチェチェンに関する映画の中では極めて希有なチェチェンで撮影された映画であるが、破壊された建物などが映されているものの、現実の戦闘シーンがないこともあり、ロシア兵とその祖母の深い愛、また敵であるはずのロシア兵の祖母に親切にするチェチェン人の姿を見れば、チェチェン紛争に何か温かいものすら感じるかもしれない。
しかし、現実のチェチェン紛争の悲惨さは筆舌に尽くしがたい。
チェチェン紛争は第一次(1994〜1996)と第二次(1999〜現在)の二つに分けられる。第一次紛争は、チェチェンの独立宣言と憲法採択を許さないロシアがチェチェンに軍を送ったことで始まり、首都・グロズヌイは破壊され、10万人近くが死亡したものの、ゲリラ戦に強いチェチェンは反撃に成功した。そして96年にロシアとチェチェンは「ハサブユルト和約」で停戦に合意し、チェチェンの地位は2001年12月31日までに決められることになり、チェチェンは停戦後、事実上の独立を確立したのである。小国チェチェンへの実質的敗北を認めるこの「ハサブユルト和約」はロシアにとっては非常に屈辱的なものであり、ロシアは復讐の機会を狙うことになる。
しかし、その和約が全うされる前に、第二次紛争が勃発する。1999年頃から、ロシア各地で連続テロが起き、そのテロはチェチェン人によるものとされ、ロシア軍がチェチェンに大規模な攻撃を開始したのである。この紛争で、プーチン大統領(当時)が支持率を急上昇させたが、様々な証拠から第二次チェチェン紛争の原因とされる一連のテロはロシアのFSB(ロシア連邦保安庁。KGBの後継機関)による自作自演であるという見解も強く持たれている。チェチェンは二度の紛争で、これまでに20万人近くの死者を出したと言われ、人権侵害の問題も大変深刻だ。
第一次チェチェン紛争や第二次チェチェン紛争初期は、諸外国はロシアのチェチェンに対する攻撃を激しく批判した。しかし、2001年の9・11テロ後、ロシアのプーチン前大統領は、「チェチェン人はテロリスト」だとして、チェチェンへの攻撃を正当化し、諸外国もロシアの残虐行為を黙認するようになった。
しかし、本映画で描かれているチェチェン人は、ロシアからの攻撃で破壊された街の中で普通の日常的な生活を送るチェチェン人である。アレクサンドラは市場で出会ったチェチェン人女性に親切にすらされる。コーカサスの人々は「家財を売り払ってでもお客を歓待しろ」という文化を今でも守り続けている。実際のチェチェン紛争でも、ただでさえ食べ物がない紛争中にチェチェン人の家で何日もかくまってもらって、命を救われ、「ロシア兵の仲間よりチェチェン人の方がよほど温かかった」と兵士をやめたロシア兵が数多くいる。
他方、ロシア兵も全員が積極的に戦闘に参加していたわけではない。戦争は人間の感情を非日常的なものへと変える。ロシア兵も家族を愛する普通の青年である。第二次チェチェン紛争の本質を動かしたのは、ロシア兵の母達だったと言える。チェチェン紛争で多くのロシア兵が死亡する中、その母達がアレクサンドラのように戦場に息子を訪ねたり(実際は会えないことが多かったようだが)、反戦デモを行ったりしたため、プーチン前大統領は、「チェチェン紛争のチェチェン化」を決め、ロシア軍を大規模撤退させる一方、チェチェン人のカディロフ父子(父はテロで死亡)による傀儡政権にチェチェンの統制を任せたのである。その結果、チェチェンはかえって混乱に陥った。カディロフ派は、国内の統制を名目に、殺人、強盗、誘拐、拷問、多額の身代金請求など悪事の限りを尽くしているからだ。また、武装派によるテロはチェチェンの近隣諸国に広がっており、チェチェンの混乱は収束するどころか、深刻化しているともいえる。
紛争は敵味方双方の多くの人々を傷つけ、建物やインフラはもちろん、社会構造や家族、人間の心をも破壊する。アレクサンドラの孫の上司に対する「あなたはどうやって破壊をするか知っているけれど、どうやって建設するかを知っているの?」という問いかけや「祖国とは何だろう?」という疑問は、チェチェン紛争に対する痛烈な皮肉であり、紛争への疑問を投げかけるものだ。
************************(以上引用終わり)
多分、日本はこのまま次の原発事故へ至るだろう。また、仮に次の原発事故が起こらずとも、福島第一原発事故の影響はすさまじいものがあり、少子化に拍車がかかり、財政赤字と円安による輸入物価高が日本社会を疲弊させると思う。
日本は、そういう状況下で、世界の核廃棄物処分場として機能せざるを得なくなり、それに反対する人々を今のチェチェン共和国のラムザン・カディロフのような政治家が抑えてつけていくような政治をするようになるのではないだろうか。
以下は参考リンク:
チェチェン総合情報
http://d.hatena.ne.jp/chechen/
2013-05-23
#407 世界中で消されていくチェチェン人たち、難民問題、その他
チェチェンニュース
なんだかいろいろな事件が起きまくっている。メモをまとめてみた。
FBIが、ボストン爆破事件の容疑者の知人のチェチェン人を射殺した。自宅での事情聴取中に。このチェチェン人、イブラヒム・トダシェフ(27)は、2011年に起こったという別の殺人事件についても事情を聞かれていたらしい。まるでミステリーの導入部のような事件。5月22日のこと。
http://www.cnn.co.jp/usa/35032426.html
調べていると、またわからないことが出てくる。
共同通信の報道だと、「調書にサインさせようとしたところ、刃物を持って暴れだしたので射殺した」。何だそれは。そもそも刃物がすぐに取り出せるような自宅で調書とりもないだろう。
そして、結果、「射殺せざるを得ませんでした」と言われても、不自然さが残る。アメリカの捜査当局は一体何をしているのだろう・・・
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130523/amr13052311060006-n1.htm
ところで、チェチェン独立派の chechencenter.info によると、トルコで、チェチェン支援者のメベット・ウンル氏が何者かに殺害された。ウンル氏はイチケリア・チェチェン共和国(つまり独立派)の名誉領事で、祈りのために事務所を出てモスクに行こうとしていたところを、来客を装った何者かに銃殺された。犯人は逃亡。5月22日のこと。
トルコはロシアから近いためか、チェチェン難民の数も多いし、反対にロシアのエージェントもたくさん入り込んでいる。それで、過去にこんな暗殺事件がイスタンブールであったのを思い出した。
http://d.hatena.ne.jp/chechen/20111017/1318861036
http://d.hatena.ne.jp/chechen/20111022/1319249025
何人ものチェチェン人が、白昼堂々イスタンブールで殺されているが、それらはいずれも未解決。今回、トルコで殺されたチェチェン支援者のウンル氏は、もともとチェチェンの血をひいているのだという。
http://news.yahoo.com/prominent-chechen-advocate-shot-dead-turkish-capital-151031055.html
トルコの難民支援団体イムカンデルは、ウンル氏の殺害について「チェチェンの親ロシア派、カディロフ政権の仕業」だと声明している。トルコには今もチェチェンからの難民が流入し続けている。
こんなふうに、カディロフ派は海外に出たチェチェンの難民に対して暗殺攻撃を続けている。
チェチェンでカディロフに捕えられ、その監獄から出て生き残って、オーストリアに逃げたウマール・イスライロフという人物は、ヨーロッパ人権裁判所で自分の体験を暴露しようとしたが、2009年の1月、ウィーンで殺害された。オーストリア警察によれば、犯人はカディロフの部下のレチ・ボガチュロフという名前の男だった。
ボガチュロフはすぐに姿を消した。逮捕状も出たが、今、ボガチュロフはチェチェン内務省の局長になっている。ロシア政府は、オーストリア政府からの引き渡し要求には、一切協力しようとしない。
http://d.hatena.ne.jp/chechen/20111107/1320666827
悪夢。
そのオーストリアで、新たにチェチェン難民の母子が強制送還の危機にある。夫と兄弟はロシア軍に誘拐され、行方不明。現地の支援者は、「このままでは母子は送還され、弾圧されてしまう。最後の望みは人道的滞在許可で、署名を集めている」とても人ごととは思えない。日本でも大勢の難民が、難民認定を受けられず強制送還されている。
http://www.waynakh.com/eng/2013/05/chechen-mother-and-her-children-face-extradition-from-austria/
ところで、「プーチンさんはすばらしい」と言ってロシア市民になったフランスの俳優ジェラール・ドパルデューが、カディロフからグローズヌイに家を与えられた。その上、息子を失ったチェチェン人に扮して映画出演の予定。どう見てもチェチェン人には見えませんが。
http://mainichi.jp/english/english/features/news/20130522p2g00m0et023000c.html
俳優エリザベス・ハーレーと、ドパルデューが、ラムザン・カディロフと仲良くしている様子を、写真入りでデイリーメールがお届けする記事。
記事のタイトルは「チェチェンから愛を込めて」。いい気なものだ。
カディロフが人権活動家ナターリア・エステミーロワを惨殺したことはほぼ確実だが、まるでそんな事、なかったみたいだ。
今、見てきたのは何だったろう。世界のさまざまな土地で、追い立てられ、嘲笑われ、何か大きな力にひきちぎられるようにして死んでいくチェチェン人たちの姿、ではないだろうか。
日本の人権派の政治家の間でも、「ボストンみたいな事件があるから、難民受け入れには二の足を踏まざるをえない」というような話が回っているのだという。
私はそういう話を聞くたびに、いきどおっている。そんな言葉では足りない。
難民をめぐって、こんなにもひどいことが起こっているのに、根本的な原因に目を向けないばかりか、その末端にいる難民にさえも、見てみぬふりをしようとしているのか・・・。
日本にも、チェチェンを含め、さまざまな国から難民がやってきている。その人々を受け入れるのは日本の義務だし、それを平和にやりとげるために必要なのは、社会が暖かく包摂することだ。収容所に閉じ込めるのではなく。迷惑者や余計者扱いをするのではなく。たぶんこれは、ボストン爆破事件の背景にもどこかでつながる。
難民たちを受け入れることで、私たちはようやく、世界で起こっている苦しみに気がつくだろう。チェチェンを例に取るなら、ロシアによる対チェチェン軍事侵攻がなければ、こんなことは起こっていない。根本的に事態を変えるためのキーポイントはそこにある。
難民条約の真の目的というのは、実は私たちの側からの〈発見〉──何か、あてはまる言葉に足りないのだが── にあるのではないだろうか。
(大富亮)
=======================================================================
▼チェチェンニュースは、ロシアによる対チェチェン軍事侵攻と占領に反対し、
平和的解決を求める立場から発行している無料のメルマガです。2001年から発行
しています。
▼新規購読はこちらから: http://chechennews.org/chn/index.htm
▼発行継続のためのカンパをおねがいします。いくらでもかまいません。
▼ 〈郵便振替口座番号 00130-8-742287 チェチェンニュース編集室〉
〈ゆうちょ銀行 019店 当座 0742287 チェチェンニュースヘンシュウシツ〉
▼ツイッター: @chechennews
▼転送・転載・引用歓迎です。
▼よろしければご意見、ご感想や情報をどうぞ: editor@chechennews.org
▼発行部数:1262部 発行人:大富亮
=======================================================================
Permalink | コメント(0) | トラックバック(0) | 02:48
2013-05-17
#406 チェチェン人から、日本政府への訴え(転送・転載・引用歓迎)
チェチェンニュース
日本にいるチェチェン人から、次のような声明を流してほしいという要望があり、仮訳しました。
日本に、傀儡のチェチェン政府関係者がたびたび来日しているのだという。
本当だろうか。
そういえば、何年か前から、チェチェン人のビジネスマンがときどき日本に来ているという噂は聞いていた。車を50台まとめて買うとか、いろいろ、バカバカしい遊びをしているとも。
ぜんぶロシアやチェチェンの人々から、巻き上げたお金だ。
こういった動きについて、何かご存知の方がいたら、教えて下さい。
大富亮(ootomi@chechennews.org)
■チェチェン人から、日本政府への訴え
昨今、チェチェンの民間ビジネスマンと、コーカサス、ロシア、ヨーロッパおよびアメリカで著名な、ロシア政府の傀儡であるカディーロフ政権の代表者が、たびたび日本を訪れています。
ロシアの人権団体メモリアルなど多くの人権団体は、(カディーロフ派が)数百人のチェチェン共和国市民を誘拐し、また、ロシア軍と戦うレジスタンス参加者の親族を殺害したり、彼らの家を放火するなどの犯罪を犯していると報告しています。
いま、クレムリンの意向に沿ったカディーロフの特使が、さまざまなビジネスプロジェクトや国際的なスポーツ大会など、あらゆる手段を講じてラムザン・カディーロフがチェチェンの首長であることを正当化しようとしています。
日本政府当局の代表者やビジネスマンが、カディーロフの使節に対して道義的、政治的な支援を行うことは、チェチェン全土で行われている人権侵害を支援することを意味します。ロシアによる迫害から逃れるため、チェチェン人は30万人がアメリカ、カナダ、ヨーロッパに移住しました。
これらのことを考慮し、われわれは日本当局にラムザン・カディーロフに対して、国際法の規範と原則に厳密に依拠し、国際人権宣言に基づいた客観的な態度表明を切に願うものです。
「自由コーカサス」在日代表
シャルハン・ガカーエフ 2013年5月16日
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。